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19.ぴあの、抱かれる

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 ぴあのの隘路はヴォルナールが触る前からぐずぐずに緩み、さらにその愛撫によって男を受け入れるのに最適な状態に整えられていく。呪いによって犯され、孕むことにだけ特化した雄に都合のいい内臓に作り替えられているのだ。頭ではわかっていても、掻き分けるたびにうねる襞の熱さとひっきりなしに聞こえてくる己の愛した記憶に酷似した喜悦の呻き、漂ってくる煽情的なめしべの香りが彼の理性のたがをやんわりと、しかし確実に取り去ろうとしてくる。だらしなく口を開けて瑞々しい果物を咀嚼するようないやらしい水音が、ヴォルナールが指を動かすたびに部屋に響き、それに合わせて白くむっちりとした女の尻がへこ、へこ、と弱々しく動いて先をねだっていた。ほら、もう食べごろだよ。あなたの精が欲しくてじっとしていられないの。はやく、はやく、その硬くなってる熱いのを奥まで一気に入れて。きっととっても気持ちいいよ。ぴあのはそんなことは言っていないのに、欲望を駆り立てられるヴォルナールの目の前で揺れている淫らなかたちがぱくぱくとそんな言葉を自分に投げかけているような、そんなふうに感じてしまうのだ。

(ぐっ……早く挿れたい……今すぐにでもここに埋まって、自分勝手に腰を打ち付けてしまいたい……)

 しかし、彼は虐げられていた女に乱暴を働くようなことはしない男だ。だから爆発しそうな昂りを必死で抑えながら、エルフの陰茎を迎え入れたことのない彼女が少しでも辛くないように丁寧に、丁寧にその中を整え続けた。彼女が喜ぶところを指の腹で軽く叩くとそこはぷっくりと膨らみ、もっと触って触って♡ とその指にアピールしてくる。

「ヴォ、ルナール、さん♡ んひぃ♡ はや、く、は、やくぅ♡ わたし、狂っちゃう、イイとこ、ばっかり……ンあぁ♡ そんなに、やさしく、すりすり、された、らぁ♡ 狂っちゃ、へん、になっちゃ、うぅうう♡♡♡ ひうぅうう……♡ んひッ♡」

 大きく体を痙攣させて、ぴあのはヴォルナールの指が差し込まれたままの隙間からぷしゅッ、と透明な飛沫を噴いた。枕に埋めたままの顔は見えないが、肩から上が真っ赤に染まり小さく震える女の細い首を見ていると優しい彼でも暴力的な気分が沸き上がりそうになってくる。征服欲。ぴあの本人にはまことに不幸なことだが、彼女は男のそういうものを誘発してしまうタイプの女なのだ。

(……そういうことか……だが俺はそんな奴とは同じにはならないぞ……)

 どういう感情で顔も知らない誰かが彼女の肩に痣を作ったのか理解できそうになって、ヴォルナールは目を閉じて首を横に振ることで沸騰しそうな頭を一旦冷静に落ち着けた。そして行き場のなくなった獣欲を最小限で発散させるために、ぴあのに覆いかぶさって彼女の白い首筋を軽く、ごく軽く噛んだ。

「んィッ♡ ひぃいいいぃ……いいィン……ッッ♡♡」

 男の綺麗に揃った前歯で首根っこを捉えられ、その鮮烈な刺激にぴあのはまた激しく痙攣しながら透明な飛沫を連続で噴く。その勢いがあまりに激しいのでヴォルナールの上を向いた掌にしずくが溜まって手首まで流れるほどだった。

「これだけ濡れれば充分だな……、おい、女。挿れるぞ」
「い……やぁ……♡」
「嫌だと? ここまできて何を……」
「な、まえ、名前呼んで……ッ♡ わたしの、名前、ぴあの、っていう、のぉ……♡ 変な、名前だけどッ、大事な、名前ッ……だから、呼んで……くださいぃ……♡」
「……」

 名前を呼びながら交わってしまったらまるで愛し合っているかのようではないか。そう思ってヴォルナールはこの行為の最中彼女の名前を呼べていなかった。それどころか彼女と会ってから一度も名前を呼んでやっていないことに気が付く。

「……すまなかった。ぴあの、と呼べばいいか?」
「はあっ♡ ああぁ……ぴあの、です……♡ ありがとうございます……、ください……ヴォルナールさんの、ぴあのにください……ッ♡♡♡」

 顔を見られる体位にすればよかった、と喘ぎ声混じりに懇願するぴあのの声を聞いてヴォルナールは少し後悔した。しかし、もう止められない。彼は己のいきり立った肉の槍を片手で捧げ、狙いを定めると、それに貫かれたがってひくひくと開閉を繰り返す痛々しい傷口の様な花弁にずぶずぶと入りこんでいった。

「あ゛ッ、はあぁぁあぁぁ……ああ゛あァぁああああ~ッッ♡♡♡」

 ずにゅぷぷぷぷ……と粘膜の襞を割り開き、ぴあのの胎内の中をエルフの熱い昂りが突き進んでいく。あまりに長いそれは大きく張った笠でごりごりと内壁を擦りながら、彼女が知っている場所をやすやすと通り過ぎて知らない場所をどんどん切り拓いていく。いくつもの感じる部位を掻きほじられて、ぴあのの視界はぱちぱちと明滅を繰り返した。

「い゛ひィッ、イッ♡ しら、にゃい♡ わたしの知らにゃい、すごいとこ、奥、届いて……ッ、ア゛ン、うぅ……♡♡♡」

 ヴォルナールが腰を進めるにつれ、膝を軽く立てていたぴあのの腰が押しつぶされて、彼女の漏らした雫で湿ったベッドにべちゃりと潰れる。構わずまだ押し付けられた彼の腰はやがて隙間なくぴったりと合わせられる。それと同時にその槍の先端は彼女のまだ誰も知らない奥の奥にみっちりと押し付けられた。

「ん゛、お゛ォぉ……おお゛ぉ……お゛ぉ……♡♡♡」

 男の重たい体で潰れた肺から出したことのない濁った声が漏れたが、ぴあのはもうそれを恥ずかしいと思う余裕すら残せていなかった。今日ヴォルナールとの秘め事で初めて知った、痛みではなく快感で泣かされる弱い場所を抜けたそのさらなる先に、自分の本当の弱点があることに気付いたと同時に、そこにこれ以上何かされたらもう戻ってこれなくなってしまうのではないかという根源的な恐怖と、それがわかっていてもその先を知りたいという欲望と期待に塗りつぶされ、彼女の脳髄は甘美な液体で満たされた浴槽に沈んでいるような快楽に溺れていた。

「動くぞ……ッ
「ら、めェ♡ お゛ッ♡ お゛ッ♡ お゛ッ、おッ、ォお゛~ッ♡♡♡」

 ずりゅッ、どちゅ♡ どちゅ♡ どちゅ♡ どちゅ♡ どちゅッ♡

 ゆっくり、ゆっくりヴォルナールは抜き挿しを始めた。ちょっと腰を引いて突くを繰り返すだけで、ぴあののまだ誰も触れていなかった最奥は簡単に叩かれてしまう。軽い打擲だというのに、その衝撃はぴあのの背骨から脳天までビリビリと走って、恐怖や不安を一瞬で消し去ってしまう。それほどにヴォルナールとのセックスは気持ちよかった。彼とのセックスはこんなにも気持ちがいい。お酒を飲んでコンディションがいい喉で十八番の歌を伸びやかに歌っている時より気持ちのいいことを知らなかったぴあのの中で、次々と爆発が起こっては消える。

「ヴォ、る、な……るしゃっ♡ お゛ひ♡ ん゛おッ♡ イ♡ んひ♡ ほぉ♡ お゛♡ お゛ッ♡♡」
「っく……、煽る声だ、たまらないなッ……」

 ぱんッ、ぱんッ、パンッ! どっちゅ♡ どっちゅ♡ どちゅどちゅどちゅどちゅッ!!! ばちゅんッッ♡♡♡

「あ゛~ッ♡ あ゛ッ♡ あ゛ッあッ♡ あ゛ンッ♡ ん゛あッ♡ ああ゛イく♡ イく♡ 初めてなの♡ こんなの、知らないッ、よぉ♡ イぎゅ♡ イぎゅのッ♡ イっちゃ……♡ はぁああぁ……♡♡♡」
「ぐううッ……なんという……くっ……俺も……ッああッ……!」

 抑えられないぴあのの喜悦の啼き声に情欲を激しく掻き立てられたヴォルナールの腰が激しく打ち付けられ、叩かれて柔らかくなった彼女の最奥の最弱の部分を連続で押しつぶした。それをもたらしているヴォルナールもまた絶頂にぎゅうぎゅうと収縮して己を包み締め付ける動きに誘発された射精感にたまらずうめき声をあげる。

「出すぞ……ぴあのッ、これが欲しかったんだろ……ッ、俺の精を受け取れッ……ぐうぅううッ!!!!」
「ッああ゛ァ~ッッ♡♡♡ あ、りがとう、ございま、ひ、あああ゛ぁぁぁああぁ~ッッッ♡♡♡」

 どぷ♡ びゅるるるッ♡ どぷッ、どぷッ、どくどくどくどくッ♡ どくどくどくどく……♡♡

「ッふーッ、ふーッ♡ ふーッ♡」
「は……あ……、あッ……♡ ァ……♡♡♡」

 激しい痙攣と共に仰け反るぴあのの体をきつく抱きしめたヴォルナールは、一番奥に先端をぐちゅりと強く押し付けたまま、一滴も残さず精を流し込めるようにぴったりと体を密着させてその欲望のたけを流し込んだ。
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