真面目に掃除してただけなのに問題ありまくりの賢者に生まれ変わっちゃった~えっと、わたしが最強でいいんでしょうか?~

遥 かずら

文字の大きさ
上 下
25 / 25

第25話 トレニア帝国初の問題児誕生!?

しおりを挟む
泉崎村いずみざきむら――

夕方、琉球建築の人家が並ぶ住宅街は、人通りの少ないのどかな雰囲気に包まれている。

そんな中、守優と守善、世璋、守央の4人は、道を歩きながら話をしていた。

「兄上、さっきはシソウチンの応用技がうまく決まりましたね!」

「うん。あの時は無意識に体が動いちゃって、自分でも少し驚いてるよ。けど、世璋さん。あの壺のこと、無事に解決できるか心配ですね」

「一応示談条件はまとまったが、示談金が支払われるまではどうなるかわかんねぇし、あとは弁護士に任せるしかねぇな。それにしても、今日はお前ら二人のおかげで仕事が捗ったぜ。ありがとよ。お前らも元服して一段と頼もしくなったし、守央から教わってるティーの腕も上がったみてぇだな」

「今年で守善は17歳、守優は15歳になるが、幼い頃から兄弟揃って修業してるおかげで随分と上達したな」

守央は世璋と話を続ける。

「お前の娘もティーの修業は順調か?」

「ああ。俺が教えた型も技もすぐ覚えるし、いい感じだぜ。うちの美嘉みかも守優と同い年だが、物心ついた頃から修業してるおかげでだいぶ技がうまくなったな。今頃はあいつも自主稽古してるだろうが、せっかくだし今からお前らもうち来いよ」

「いいのか? なら、少し寄らせてもらうぞ」

守央たちが道を歩いている頃、世璋とその家族が住む家の庭では、若い男と少し小柄な少女が組手をしていた。

男は恰幅が良く、短い黒髪と純朴な目、薄く整えた髭が印象的で、黄土色の上衣と同色の細帯、白い長ズボン状の琉球袴を身に着けている。

少女は長い暗褐色の髪を後頭部で一つにまとめて垂らし、左斜め分けの前髪と大きな目が快活な雰囲気を感じさせ、桜色の上衣と同色の細帯、白い長ズボン状の琉球袴を身に着けていた。

男は左足を1歩前に踏み込み、少女の顔面目掛けて右正拳上段逆突きを繰り出す。

少女は左腕で男の右拳を右下へ受け流すと、右上段肘打ちを男の顔面に食らわせた。

男が頭を仰け反らせると、さらに少女は両手で男の右上半身を掴み、右中段膝蹴りを男の腹に食らわせる。

男の体がくの字に曲がると、少女は左腕を男の右脇の下に通し、両手で男の体を引き込んだ。

男が仰向けに投げ倒されると、少女はすかさず右正拳下段突きを男の顔面に寸止めで放ち、すぐに右拳を引いて残心する。

男が顔をしかめると、少女は自然な立ち方に戻った。

「よし! 今の技、結構動きよかったかも! 英典えいてん、最後にもう一回いくわよ。そしたら、次はあんたの番ね」
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ

柚木 潤
ファンタジー
 実家の薬華異堂薬局に戻った薬剤師の舞は、亡くなった祖父から譲り受けた鍵で開けた扉の中に、不思議な漢方薬の調合が書かれた、古びた本を見つけた。  そして、異世界から助けを求める手紙が届き、舞はその異世界に転移する。  舞は不思議な薬を作り、それは魔人や魔獣にも対抗できる薬であったのだ。  そんな中、魔人の王から舞を見るなり、懐かしい人を思い出させると。  500年前にも、この異世界に転移していた女性がいたと言うのだ。  それは舞と関係のある人物であった。  その後、一部の魔人の襲撃にあうが、舞や魔人の王ブラック達の力で危機を乗り越え、人間と魔人の世界に平和が訪れた。  しかし、500年前に転移していたハナという女性が大事にしていた森がアブナイと手紙が届き、舞は再度転移する。  そして、黒い影に侵食されていた森を舞の薬や魔人達の力で復活させる事が出来たのだ。  ところが、舞が自分の世界に帰ろうとした時、黒い翼を持つ人物に遭遇し、舞に自分の世界に来てほしいと懇願する。  そこには原因不明の病の女性がいて、舞の薬で異物を分離するのだ。  そして、舞を探しに来たブラック達魔人により、昔に転移した一人の魔人を見つけるのだが、その事を隠して黒翼人として生活していたのだ。  その理由や女性の病の原因をつきとめる事が出来たのだが悲しい結果となったのだ。  戻った舞はいつもの日常を取り戻していたが、秘密の扉の中の物が燃えて灰と化したのだ。  舞はまた異世界への転移を考えるが、魔法陣は動かなかったのだ。  何とか舞は転移出来たが、その世界ではドラゴンが復活しようとしていたのだ。  舞は命懸けでドラゴンの良心を目覚めさせる事が出来、世界は火の海になる事は無かったのだ。  そんな時黒翼国の王子が、暗い森にある遺跡を見つけたのだ。   *第1章 洞窟出現編 第2章 森再生編 第3章 翼国編  第4章 火山のドラゴン編 が終了しました。  第5章 闇の遺跡編に続きます。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

処理中です...