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第21話 レンケン司祭との再会?
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「ひえええええええええええええええ!!! 目、目が回るぅぅぅぅぅぅ!」
サハギンのギンがいた場所から転送されたエドナは水の渦に巻き込まれ、まるで前世の洗濯機の中に放り込まれたような状態に陥っていた。
元々転生する前も浴槽から流されて来ただけあって、水による移動は普通じゃない感じになるとエドナは感じていた。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? も、もう無理いいいいいいいいい!!」
激しい渦の中にいるせいか、いつもなら言わない泣き言を思わず言ってしまうエドナに対し、どこからか聞き慣れた声がエドナを叱る。
「何が無理なんじゃ? 弱音を吐くような子に心当たりは――な、何と!?」
「はへぇぇぇぇぇぇぇぇ……」
エドナがたどり着いたところがどこなのかは不明ながら、着いた先は自分を育ててくれたレンケン司祭の手の上だった。
「エドナ……? エドナなのか!? 何と!」
「ほへぇぇぇぇぇ……」
「目を回しておるな。仕方あるまい。町へ運ぶとしよう」
ランバート村ではないどこかの川で、偶然にも手を洗っていたレンケン司祭。その手の上にエドナが流れて来た。まさかと思ったレンケン司祭だったが、エドナに違いないと確信し、近くの町へとエドナを運ぶのだった。
「…………う~ん」
「まぁまぁ! 目を回して倒れていたなんて、急いで見てもらいましょ」
「ママー! お風呂は?」
「後でまた入れ直せば入れるのだから今は我慢しなさいね」
「ちぇー」
エドナが目を回していると、周りから沢山の人の声が聞こえてくる。その声はこの世界の声ではなく、前世でしていた仕事先での声だった。
「エドナ……こりゃあ! いい加減目を覚まさんと食事がとりづらいじゃろうが!」
「……うーん」
「エドナ・ランバート!! 起きろ!」
「はいいっ、た、ただいまおきま……あれっ?」
怒声に変わった声にエドナは慌てて飛び上がるように起きた。すると、夢で聞こえていた声の主はどこにもいなく、代わりにレンケン司祭と見知らぬ人たちがエドナを見ていた。
「あれれ? おじいちゃん?」
「久しぶりじゃのぅ。あれからどうしていたかと話していたところだったんじゃが、まさかここで出会うとはのぅ」
落ち着いたところで改めてレンケン司祭を見ると、エドナの知る優しいおじいちゃんの姿はそこにあった。
隣に見える二人の女性は見たことの無い女性で、エドナのことをただ黙って見守っているだけのようだ。
「ここはどこ? どうしてランバート村じゃないの?」
「これこれ、いっぺんに言うでない。まず、ここはトレニア帝国の南に位置するリネアリスという町じゃ。温泉がいいとこなんじゃよ」
「温泉!? えっ、温泉があるの?」
「そりゃあ、あるじゃろ。なにせここは火山地帯じゃからの。それにここはサラの故郷でもあるんじゃよ」
サラの故郷なんだ……。それなら熱いところに決まっているよね。
それに火山地帯って。何だか色んな所に飛ばされてるなぁ。せっかくギンに転送を使わせてもらったのに、結局トレニア帝国に近づけていないし。
エドナが寝かされていた部屋の中を眺めてみると、外がよほど熱いのか冷気によってひんやりとするような青白い色の壁に囲まれている。
気のせいでも無く、少しだけ寒さを感じるような気がしていた。
「おじいちゃんはどうしてここに?」
「わしは村を守る者と違って忙しいんじゃよ。エドナも成長して村から出て行ったことじゃし、やることなんて限られるんじゃよ。だからここでの~んびりしてるんじゃ」
「のんびりしてるだけなの?」
「それ以外に何があるって言うんじゃ?」
「う~ん……無いかなぁ」
何か隠している――そう思ってしまうも、せっかく再会出来たレンケン司祭を下手に怒らせても前に進めない。そんな考えがよぎってエドナは強く言い返せないでいる。
「えっと、ちょっと教えて欲しいんだけど、リネアリスからどうやってトレニア帝国に行くことが出来るの?」
もういい加減、魔法学園があるトレニア帝国に着きたい。それなのになかなかたどり着けないことに、エドナは焦りを感じている。
「うん? トレニア帝国? そこに行くには――まぁ、エドナであれば苦労なく行けるじゃろうが……しかしそれよりもわしも聞きたいんじゃが、冒険者の彼女たちはどうしたんじゃ? 一緒ではないのか?」
冒険者のみんな、大丈夫なのかな。転送がもしきちんと出来ていれば今頃先についているんだろうなぁ。でもそれを知りようがないんだけど。
「それなんだけど――」
――エドナはかいつまんでレンケン司祭にこれまで起きたことや、どうしてここに流れ着いたのかを正確に話してあげた。
「……何じゃと!? サハギンを助けてここに転送された? そんなバカな……あの種族はすでに絶滅しているはずなんじゃが……」
「サハギンのギンさんはたった一人だけでそこに住んでいたよ。だからもう会うことは無いんじゃないかなぁ」
あの転送装置も多分動かせないだろうし、わたしの方からも会いにいけそうにないや。
「むぅ……そこにたどり着いたということは、エドナは時を進めたかあるいは――。いずれにせよ、冒険者たちと出会うにはもう少し時間が必要か……」
エドナが経験してきたことを聞いたレンケン司祭は、ぶつぶつと呟いて一人静かに頷いている。
そんなレンケン司祭の隣にいる女性が、気を利かせたのかようやくエドナに口を開く。
「エドナ・ランバートさま。ようこそリネアリスにおいでくださいましたね。住人はとても歓迎しておりますよ。温泉に浸かれば、きっと良き地へ向かえることでしょう」
二人の女性のうち、一人の女性がエドナに諭すように伝えてきた。女性の見た目はランバート村にいるサラのように赤い髪色をしていて、全身全て真紅の色に染まっているように見えている。
「……え? 温泉に? それって……ってあれれ?」
エドナに伝えるだけ伝え、目の前にみえていた女性は一瞬にして見えなくなった。それに引き換え、レンケン司祭の姿ははっきりと見えている。
「おじいちゃん! おじいちゃんってば!!」
「む? な、何じゃ?」
「さっきまでおじいちゃんと一緒にいた女性たちは?」
「なぬ? 女性? ここにはわししかいないぞ? 何を寝惚けているんじゃ?」
「そんなっ! だっていたよ? わたしを見守っていてくれていたもん!」
エドナの言葉を聞いたレンケン司祭は首をかしげるばかりで何も分かっていないようだ。そんなはずはないと粘ろうとするエドナに対し、レンケン司祭は聞く耳を持ってくれない。
そんなことを思っていると、またしてもエドナの前に赤い髪の女性が現れる。そして女性が壁に立て掛けられている地図に向かって指しているのは、トレニア帝国にほど近い大きな湖のような場所だった。
「おじいちゃん。あそこの湖? はどこなの?」
「む? あそこは湖ではなく、滝つぼじゃな。トレニア帝国も水を資源としているからのぅ。その滝つぼは天然の水風呂と呼ばれておってな。そこもいいんじゃよ」
「ふぅん……そこって何があるんだろ」
「あぁ、思い出した! サラからもらった剣があるじゃろ? それを目覚めさせるのがそこの滝つぼなんじゃよ。機会があったら行ってみるとええ」
何だかおじいちゃんは本当にただの観光客って感じ。さっきいた女性のことも知らないって言うし、何にも教えてくれそうに無いしこのままここにいても仕方がないって気がする。
「まぁいいや。おじいちゃんはここにずっといるの?」
「そうじゃな。ランバート村に戻るのはしばらく先になるじゃろうな」
司祭っていうくらいだから、旅をしながら布教してるはずだとエドナは思っていた。そうでなければただの旅行客だから。
「そっか。おじいちゃんに会えて嬉しかったよ。わたし、そろそろ行くね! おじいちゃんも元気でね!」
エドナにだけ見えていた女性の指し示した滝つぼを目指し、エドナはそこを目指すことを決める。
「ほぅ! 心配していたがなかなかどうして、きちんと成長しているようで安心じゃな。いつかお前がさらに成長して賢者として名を馳せる時が来ると信じておるよ。ではまたの!」
レンケン司祭と再会し、久しぶりの会話を楽しんだエドナは謎の女性に示されたところを目指しつつ、トレニア帝国へたどり着くことを目指すのだった。
サハギンのギンがいた場所から転送されたエドナは水の渦に巻き込まれ、まるで前世の洗濯機の中に放り込まれたような状態に陥っていた。
元々転生する前も浴槽から流されて来ただけあって、水による移動は普通じゃない感じになるとエドナは感じていた。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? も、もう無理いいいいいいいいい!!」
激しい渦の中にいるせいか、いつもなら言わない泣き言を思わず言ってしまうエドナに対し、どこからか聞き慣れた声がエドナを叱る。
「何が無理なんじゃ? 弱音を吐くような子に心当たりは――な、何と!?」
「はへぇぇぇぇぇぇぇぇ……」
エドナがたどり着いたところがどこなのかは不明ながら、着いた先は自分を育ててくれたレンケン司祭の手の上だった。
「エドナ……? エドナなのか!? 何と!」
「ほへぇぇぇぇぇ……」
「目を回しておるな。仕方あるまい。町へ運ぶとしよう」
ランバート村ではないどこかの川で、偶然にも手を洗っていたレンケン司祭。その手の上にエドナが流れて来た。まさかと思ったレンケン司祭だったが、エドナに違いないと確信し、近くの町へとエドナを運ぶのだった。
「…………う~ん」
「まぁまぁ! 目を回して倒れていたなんて、急いで見てもらいましょ」
「ママー! お風呂は?」
「後でまた入れ直せば入れるのだから今は我慢しなさいね」
「ちぇー」
エドナが目を回していると、周りから沢山の人の声が聞こえてくる。その声はこの世界の声ではなく、前世でしていた仕事先での声だった。
「エドナ……こりゃあ! いい加減目を覚まさんと食事がとりづらいじゃろうが!」
「……うーん」
「エドナ・ランバート!! 起きろ!」
「はいいっ、た、ただいまおきま……あれっ?」
怒声に変わった声にエドナは慌てて飛び上がるように起きた。すると、夢で聞こえていた声の主はどこにもいなく、代わりにレンケン司祭と見知らぬ人たちがエドナを見ていた。
「あれれ? おじいちゃん?」
「久しぶりじゃのぅ。あれからどうしていたかと話していたところだったんじゃが、まさかここで出会うとはのぅ」
落ち着いたところで改めてレンケン司祭を見ると、エドナの知る優しいおじいちゃんの姿はそこにあった。
隣に見える二人の女性は見たことの無い女性で、エドナのことをただ黙って見守っているだけのようだ。
「ここはどこ? どうしてランバート村じゃないの?」
「これこれ、いっぺんに言うでない。まず、ここはトレニア帝国の南に位置するリネアリスという町じゃ。温泉がいいとこなんじゃよ」
「温泉!? えっ、温泉があるの?」
「そりゃあ、あるじゃろ。なにせここは火山地帯じゃからの。それにここはサラの故郷でもあるんじゃよ」
サラの故郷なんだ……。それなら熱いところに決まっているよね。
それに火山地帯って。何だか色んな所に飛ばされてるなぁ。せっかくギンに転送を使わせてもらったのに、結局トレニア帝国に近づけていないし。
エドナが寝かされていた部屋の中を眺めてみると、外がよほど熱いのか冷気によってひんやりとするような青白い色の壁に囲まれている。
気のせいでも無く、少しだけ寒さを感じるような気がしていた。
「おじいちゃんはどうしてここに?」
「わしは村を守る者と違って忙しいんじゃよ。エドナも成長して村から出て行ったことじゃし、やることなんて限られるんじゃよ。だからここでの~んびりしてるんじゃ」
「のんびりしてるだけなの?」
「それ以外に何があるって言うんじゃ?」
「う~ん……無いかなぁ」
何か隠している――そう思ってしまうも、せっかく再会出来たレンケン司祭を下手に怒らせても前に進めない。そんな考えがよぎってエドナは強く言い返せないでいる。
「えっと、ちょっと教えて欲しいんだけど、リネアリスからどうやってトレニア帝国に行くことが出来るの?」
もういい加減、魔法学園があるトレニア帝国に着きたい。それなのになかなかたどり着けないことに、エドナは焦りを感じている。
「うん? トレニア帝国? そこに行くには――まぁ、エドナであれば苦労なく行けるじゃろうが……しかしそれよりもわしも聞きたいんじゃが、冒険者の彼女たちはどうしたんじゃ? 一緒ではないのか?」
冒険者のみんな、大丈夫なのかな。転送がもしきちんと出来ていれば今頃先についているんだろうなぁ。でもそれを知りようがないんだけど。
「それなんだけど――」
――エドナはかいつまんでレンケン司祭にこれまで起きたことや、どうしてここに流れ着いたのかを正確に話してあげた。
「……何じゃと!? サハギンを助けてここに転送された? そんなバカな……あの種族はすでに絶滅しているはずなんじゃが……」
「サハギンのギンさんはたった一人だけでそこに住んでいたよ。だからもう会うことは無いんじゃないかなぁ」
あの転送装置も多分動かせないだろうし、わたしの方からも会いにいけそうにないや。
「むぅ……そこにたどり着いたということは、エドナは時を進めたかあるいは――。いずれにせよ、冒険者たちと出会うにはもう少し時間が必要か……」
エドナが経験してきたことを聞いたレンケン司祭は、ぶつぶつと呟いて一人静かに頷いている。
そんなレンケン司祭の隣にいる女性が、気を利かせたのかようやくエドナに口を開く。
「エドナ・ランバートさま。ようこそリネアリスにおいでくださいましたね。住人はとても歓迎しておりますよ。温泉に浸かれば、きっと良き地へ向かえることでしょう」
二人の女性のうち、一人の女性がエドナに諭すように伝えてきた。女性の見た目はランバート村にいるサラのように赤い髪色をしていて、全身全て真紅の色に染まっているように見えている。
「……え? 温泉に? それって……ってあれれ?」
エドナに伝えるだけ伝え、目の前にみえていた女性は一瞬にして見えなくなった。それに引き換え、レンケン司祭の姿ははっきりと見えている。
「おじいちゃん! おじいちゃんってば!!」
「む? な、何じゃ?」
「さっきまでおじいちゃんと一緒にいた女性たちは?」
「なぬ? 女性? ここにはわししかいないぞ? 何を寝惚けているんじゃ?」
「そんなっ! だっていたよ? わたしを見守っていてくれていたもん!」
エドナの言葉を聞いたレンケン司祭は首をかしげるばかりで何も分かっていないようだ。そんなはずはないと粘ろうとするエドナに対し、レンケン司祭は聞く耳を持ってくれない。
そんなことを思っていると、またしてもエドナの前に赤い髪の女性が現れる。そして女性が壁に立て掛けられている地図に向かって指しているのは、トレニア帝国にほど近い大きな湖のような場所だった。
「おじいちゃん。あそこの湖? はどこなの?」
「む? あそこは湖ではなく、滝つぼじゃな。トレニア帝国も水を資源としているからのぅ。その滝つぼは天然の水風呂と呼ばれておってな。そこもいいんじゃよ」
「ふぅん……そこって何があるんだろ」
「あぁ、思い出した! サラからもらった剣があるじゃろ? それを目覚めさせるのがそこの滝つぼなんじゃよ。機会があったら行ってみるとええ」
何だかおじいちゃんは本当にただの観光客って感じ。さっきいた女性のことも知らないって言うし、何にも教えてくれそうに無いしこのままここにいても仕方がないって気がする。
「まぁいいや。おじいちゃんはここにずっといるの?」
「そうじゃな。ランバート村に戻るのはしばらく先になるじゃろうな」
司祭っていうくらいだから、旅をしながら布教してるはずだとエドナは思っていた。そうでなければただの旅行客だから。
「そっか。おじいちゃんに会えて嬉しかったよ。わたし、そろそろ行くね! おじいちゃんも元気でね!」
エドナにだけ見えていた女性の指し示した滝つぼを目指し、エドナはそこを目指すことを決める。
「ほぅ! 心配していたがなかなかどうして、きちんと成長しているようで安心じゃな。いつかお前がさらに成長して賢者として名を馳せる時が来ると信じておるよ。ではまたの!」
レンケン司祭と再会し、久しぶりの会話を楽しんだエドナは謎の女性に示されたところを目指しつつ、トレニア帝国へたどり着くことを目指すのだった。
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