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第二十五章:約束された世界

後日譚4 シーニャのたどり道2

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 シーニャたちは思い当たる場所をたどるため、時空魔道士ウルティモの移動魔法を使わせる。アックがいた時はあまり絡むことが無かった者だっただけに、シーニャは不安を感じながら移動することに。

「ウニャ……本当に大丈夫なのだ?」
「ウルティモの魔法は時空移動じゃなくてただの移動だから、大丈夫だと思うよ~」
「お前、不安は無いのだ? ドワーフの竜がどうして人の姿をしているのだ?」
「アヴィって呼んで~! ルティちゃんとはまた再契約しないと飛べないの~」
「ドワーフの竜のことはよく分からないけど分かったのだ」

 言葉の意味を理解出来ないシーニャ。しかし竜人アヴィオルとはそこそこ一緒にいた仲ということもあって、何となく納得したようだ。

 それから間もなく、ウルティモの移動魔法によりシーニャたちはとある場所に到着する。

「始めはここからのようだ……なるほど。神に近しい場所か」
「ここはどこニャ? 何だかすごく怖そうな雰囲気ニャ~」

 シャトンが気にしている場所は、かつてアックたちが神族国を目指そうとした時に来た所だ。

「ウニャ? 建物が所々で壊れているのだ」

 ひと気の無い場所に建つ宮殿廃墟。
 宮殿を囲む小さな家々は今もひっそりと残っている。
 
 イデアベルクから移動して来た時はまだ明るさが残る空だった。しかし付近は薄暗い空間が形成されていて、何かがいる気配さえ漂う。

「……ふむ。以前ここは、シシエーラなる場所だったようだ」
「アグニ様の気配を微かに感じるけど、もしかして魔族の村だったのかも~」

 魔族の村シシエーラ、そしてアックを神として崇めた謎めいた場所である。

「なるほど。魔族の村か……今は魔の気配だけを残しているだけに過ぎないが、シーニャさんはここに来たことがあるのでは?」
「ウニャ? シーニャ、よく覚えてないのだ。アックが途中でどこかにいなくなったのだけは覚えてるのだ」
「それはおそらく……いや――」

 シーニャは神族国で闇化したことがあり、それ以前の記憶はすっかり抜け落ちていた。ウルティモだけがそれに気づいたが、シーニャの言葉を聞き口をつぐむ。

「それにしても何も無いのだ。男はどうしてここに移動して来たのだ?」
「あぁ、それは……アックくんたちの根強い思いが感じられたからなのだが……ぬっ?」
「男! 何かが飛んで来るのだ!!」

 ひと気の無い旧魔族村。
 そこに突如として現れたのは、魔法で放たれた無数の矢だった。

「ニャ~!? ボクは攻撃が苦手ニャ~! アヴィオルに任せるニャ」
「ええっ? わたしは守るのが得意じゃないのに~」

 アヴィオル、シャトンが慌てふためく中、シーニャとウルティモは冷静に様子を見ていた。

「魔法付与の矢を放つとは穏やかではないな。よかろう、われが何とかしんぜよう! シーニャさんは何もせず、そこで立っていてくだされ」
「ウニャ?」
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