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第二十五章:約束された世界

後日譚2 フィーサのやり直しな日々

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「ま、まだまだなのっ!!」

「――フン、お前自身の強さに変化は無いと思っていたが、あの男によって鍛えられたか」

 さすが氷神さまの太刀筋には鋭さがあるなの。イスティさまが氷神さまに会うことは無かったけれど、純粋な勝負をしていたらかと思うと……。気のせいかそう思うだけでゾッとするなの。

「さ、さすがはフィーゴスさまなの! 身も凍えるようなその動き、わらわにはまだまだ到達出来ないものがあるなの」
「……む? あぁ、すまんな。力を入れすぎて周囲を凍らせていたようだ。凍えたか? フィーサブロス」
「そ、そうだったなの?」

 ただの勘違いだったみたい。それにしてもわらわの実力が少しだけ上がっていたのは驚き。これもアック・イスティさまとの戦いの賜物だとしたら、わらわももっと鍛えなければ。

「して、フィーサブロスよ。お前は魔剣ルストとやらと一体化し、力を得たはずであろう? それがなぜ自ら外れ、神族国へと戻った? なぜ主であるあの男から離れた?」

 氷神フィーゴスさまの疑問はもっともなこと。でも、そもそもイスティさまに必要とされなかったわらわが悪いのだけれど、わらわ自身が怠っていたのも事実。

 結果的に使い勝手のいい魔剣ばかり使われて、わらわの役目、使われ方に迷いが生じたのが始まり。だからこそ、もう一度わらわは剣としてのスキルを上げなければいけない。

 それに、小娘とイスティさまを一緒にさせておくのも大事な事。シーニャにはわらわと一緒にいて欲しかったけど、シーニャはきっと自分だけでイスティさまを見つけるに決まってる。

 だから今は、わらわだけで頑張るしかない。

「やり直すのは大事なことなの! 剣として必要とされなかったのは、わらわが未熟だからに決まっているなの! 言葉を話さない魔剣に負けないように、わらわはもっともっと鍛えたいなの」
「やり直しか。そうか、ならば私も氷神としてお前に伝授せねばならぬな」
「望むところなの!!」

 イデアベルクはミルシェ・オリカがいるから問題無いとして、シーニャ……あの子は他の者と上手く動けているか心配。きっとシーニャなら、イスティさまを探し出すことが出来るはずなの。

 わらわも頑張る。だから、シーニャもきっと大丈夫に決まっているなの。
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