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第二十三章:全ての始まり
505.覚醒のミシックソード? 後編
しおりを挟む「フィーサ。もう一度、おれに分かるように教えてくれ。魔剣ルストはどこへやったんだ?」
光神によって覚醒を果たし、以前よりもさらに力をつけて来たのは確かだ。
それ自体は歓迎すべきことだが、おれに奇襲攻撃をしたと思わせて魔剣に仕掛けた結果が消失。
冗談にもならない事態だ。
「きょ、共存という選択をしたなの……」
「共存……つまり、フィーサの中で魔剣ルストが生きてるってことか?」
「そ、そう思ってもらっても構わないなの。でもでも、魔剣そのものの姿は……」
「なるほど。理解したよ」
今まで2本の剣で戦い方を変えて来た。
といっても、魔剣の使い勝手が良すぎてフィーサの使いどころが分からなくなっていた……。
フィーサにしてみればおれにずっと使われる為にガチャで出たのに、魔剣の覚醒でそういう機会が失われていたことは悔しかったはず。
しかし魔剣そのものを吸収したことで、使われないということは無くなったことになる。
ザーム戦の前に最終的な覚醒を果たしたのはいいことなのだが……。
「イスティさまには違和感なく使って欲しいなの。片手剣にもなれるし、魔剣のスキルも問題無く使えるなの! だ、だから許して欲しいなの……」
フィーサブロスは両手剣だったが、自在に変えられるようになったわけか。魔剣自体の意思疎通は無く会話することが無かったとはいえ、何とも複雑な気分になるな。
「魔剣のスキルを使う時、フィーサはどういう状態になるんだ?」
「意思を魔剣ルストに譲るなの。わらわの意識は一時的に眠った状態になるなの」
「なるほど……魔剣を吸収したのはフィーサの方が上回ったからだよな?」
「そういうことになるなの! わらわは光神様に認められたミシック武器になったなの」
神に認められたミシックか。
「ちなみに人化するとどういう姿に――」
――っと言ってる間にフィーサが人化していた。
そこにいたのは……。
「あれっ? その姿って……」
「イスティさまに初めてお呼ばれした時よりも若返ってしまったなの。でもでも強さは保証するなの」
魔剣を取り込んでますます幼女化するとは。
ともかくこれでザームに向かうのに、陣容的なものは揃った訳か。
「アック~! フィーサと会えたのだ?」
「シーニャ? あれ、今までどこに?」
「上に浮かんでた奴と遊んでいたのだ! 退屈しのぎには丁度良かったのだ! ウニャッ」
上に浮かんでいた……ラファーガとアヴィオルか。
アヴィオルはともかく、風神をいじめすぎると神族国を永久追放されかねないな。
「はふぅぅぅ~あれれ、フィーサが戻って来たんですかぁ?」
「大丈夫だったか? ルティ」
「耳が大変でしたけど、問題無いですっ!」
あの劈きの音はルティとミルシェだけに向けられていた。ということは、余計な力の介入を避けたということになる。
特にミルシェは何かしらの動きを見せてくれたはずだし、無理も無いが。
「……小娘ごときにしてやられましたわ。ところで、アックさまの魔剣はどうされたんですか?」
「あー……うん。移動中に話すよ」
「――? え、ええ」
「フィーサ。ここからザームに行けるってことで合ってるか?」
色々戸惑いはあったがこれでようやく行けるのか。
「ええとええと、ここから行けるのはレイウルム半島になるなの」
「えぇ? そこから歩くとかになるのか?」
「そうじゃないなの。そこに行けば、魔王が何とかしてくれるってあの男は言っていたなの」
てっきりバラルディア王国の孤島で待っているかと思っていたのに。
「魔王がレイウルム半島で待ってるとはな……ってことは、そこから始まるわけか」
「多分そうなるなの」
フィーサに最後の覚醒をさせた方がいいってことをあいつは言っていたが、そういうことか。
「ルティ、シーニャ、ミルシェ、それと精霊竜アヴィオル」
ここで気合いを入れさせた状態で行く方がいいな。
「ウニャ?」
「はいっっ!」
「いよいよですのね。フフッ」
「はいは~い! アヴィもちゃんといるよ~!」
フィーサは腰に帯びさせなくてもいいとして、
「ここからレイウルム半島に飛ぶぞ。そこから開始するから、しっかりと準備しといてくれよ?」
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