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第二十二章:果ての王
490.ルティシアの強化特訓 1
しおりを挟む「ルティシア……これは?」
「はいっ! 過去のドワーフさんたちがいる町から拾って来た魔石です!」
「過去の……あぁ、さっきまでいた変わった方が説明していた"大事なもの"がそれなの?」
「ウルティモさんですよ、母様」
わたしとウルティモさん、それにアヴィちゃんとエルフさんたちとでロキュンテにやって来ました。故郷に帰って来るのは本当に久しぶりです。
ロキュンテに到着したところで、わたしを残してみんなイデアベルクに移動して行ったけど。わたしはわたしで頑張るだけなのです。
「アックさんはいないの? あなたにしては変わった人たちと行動していたみたいだけど」
「ええと、アック様は~……きっとイデアベルクにいるです」
アック様やミルシェさんたちがどうなったのかは分からないけど、きっときっとご無事に決まってます。ウルティモさんもそう言っていたし、アック様は大丈夫。
こうして長いこと会えないこの時こそ、わたしがもっと強くなるいい機会です。拾って来た魔石を使って、母様に何とかしてもらえるはず。
「あなた、これ魔石じゃないわよ?」
「ほぇっ!? ええぇ? じゃ、じゃあ何ですか?」
「これは――あの人に聞かないと分からないかな。ドワーフの町から拾って来た物なら、あの人に聞く方がいいと思うわ。あの人なら火口近くにいるから呼んで来てね」
なんということでしょう……。焦ってはいたけどちゃんと魔石だと思って手に取って来たのに、まさか魔石じゃなかったなんて。
◇
ウルティモによって過去世界に飛んだルティシアは、ザームの敵イルジナの正体を確かめ終えたところでようやく敵の恐ろしさを知った。
「正体を確かめたら、ドワーフに紛れて魔石を拾ってくれたまえ」などと言われたルティシアは、過去世界ドワーフの町レイウルムで、魔石を拾うことに成功。その成果を認められ、ルティシアは時空魔道士ウルティモの転移魔法で、故郷であるロキュンテに帰って来られた。
「あらっ? ルティシア? 一体どこから現れたの? それにこの人たちは……」
ロキュンテに着いてすぐ、ルティシアの母ルシナが彼女たちに気付いた。
すると、
「われはウルティモ。イデアベルクにて、ルティシアさんにお世話になっております。あなたが母君ということは承知。よって、われらはこれにて失礼いたす。ルティシアさんが手にした魔石をよろしくお願いいたす」
「は、はぁ……?」
突然の訪問に首を傾げるルシナに説明し終えると、
「ではルティシアさん。われらは先にイデアベルクに戻ります。アックくんが戻っているかはまだ分からないが、われはルティシアさんのことを伝える必要があるのだよ」
「ルティちゃん、頑張ってね~」
「ルティシア様。私たちエルフ一同も、あなた様に期待をしています。どうかお気をつけて」
「は、はいいい~寂しいですけど、わたし、頑張りますね!」
ウルティモ率いる精霊竜、エルフはルティシアの強化の邪魔をしたくないということで、ウルティモの転移魔法でイデアベルクへと帰って行くのだった。
一気に寂しくなったような……。でもせっかく過去に行ったし、わたしもアック様のお荷物とならないように強くなってみせる。
とりあえず、まずは父様を探さなきゃ。
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