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第二十二章:果ての王
482.砂地の記憶 ルティ編1
しおりを挟む「あれ~? あれれ? 確かこの辺に地下への入口があるはずなんですけど~」
「……ふむ」
ルティは時を止められ、魔王に囚われていたはずだった。しかし次元を勝手に動き回ったことにより魔王の手から離れ、時空の狭間を彷徨うことに。
だがそれが幸いしたのか、危ない所をウルティモに助けられルティはレイウルム半島にたどり着いた。ウルティモと精霊竜、エルフたちを地下都市レイウルムに案内しようと張り切るルティだったが……。
「おかしいですおかしいです……見渡す限りの砂地でどこにも見当たりませぇん~」
以前アック様と来た時に目印を付けておいたはずなのに、どこにも無いなんて。見渡す限りの砂地に、殺風景の景色の中のうっそうと生い茂った不気味な森……森? あれれ。
「ウルティモさん、ここは本当にレイウルム半島ですかぁ?」
「うむ。レイウルム半島であるな。言い忘れていたのだが、ここは過去の世界。ルティシアさんが訪れた世界とは異なると言っていい」
「ほえっ? 過去……世界? じゃあわたしの知るレイウルム半島じゃないじゃないですかぁぁ!!」
砂地は変わってないけど、あんな不気味な森は無かったしウルティモさんも人が悪いです。
「正確に言えば過去世界を見ているってことだよ、ルティちゃん」
「本当に来たわけじゃなくて?」
「そうだよ。いくらウルティモでも、それは難しいよ」
精霊竜のアヴィオルはルティの精霊竜。しかしかつてウルティモの下で育てられていた竜であり、時空魔道士ウルティモとともに行動していたことで、世界を知る存在でもあった。
ルティたちは見えない壁によって遮られ、一定の場所しか動けないようだ。
「ルティシアさんはレイウルムに遺跡があることはご存じか?」
「はい~。地下都市の先の方ですよね」
「うむ。そこに行き、レア魔石を取って来てもらいたい。過去にしか無い魔石であり、ルティシアさんじゃなければ取って来られないのだよ」
「ええっ!? ど、どうしてわたしですか?」
ウルティモはルティを見つめながら、砂地に向かって手をかざした。
すると、まるで地下に移動したかのような感覚に陥った。
そこで見えたのは、
「あれぇ? 盗賊さんじゃなくて、もしかしなくてもドワーフたちが暮らしているんですか?」
「……地下都市レイウルムは現代では盗賊が暮らしているが、かつてはドワーフが暮らす町だったのだよ。ドワーフは遺跡を掘り、魔石をかき集め己の力と変えていたのだが……」
「ほぇぇ……」
まさかドワーフたちが地下に暮らしていたなんて驚きです。てっきり父様たちは最初から火山渓谷にいたものとばかり。
でも地下にいたなら母様と出会えていないし、とにかくウルティモさんの話を聞かないと。
「ドワーフとしての力を存分に発揮出来るとすれば、ここで取れる魔石を手にするしかあり得ぬ。そうしなければ今のルティシアさんは、アックくんの力になり得ぬだろう」
「そ、それは嫌ですっ!」
ただでさえアック様の足手まといになっているのに、そんなのは嫌です。
「……もちろんそれだけではなく、この時代、すでにここを訪れた敵を知ってもらいたいのだよ」
「敵ですか?」
「薬師イルジナという敵が過去世界のここにいたはずなのだよ。そうでなければ、あの力は……」
ふむむ……。まさかドワーフたちの故郷があったなんて驚きです。
それにアック様の敵、わたしたちの脅威となっている敵がすでにいたなんて、どうすれば……。
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