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第二十章:畏怖
424.通じ合う心 ルティ視点
しおりを挟むゴブリンはどうしてわたしを追って来るんでしょう。何でと思っている内に、アック様に上空へ飛ばされて。気付いたらミルシェさんの背中にしがみついていました。
「あれぇぇ? アック様に飛ばされたと思っていたら、ミルシェさんじゃないですか!」
「重いのだけれど? どうしてあなただけで登って来れたの?」
「え~とそれはですねぇ……ゴ、ゴブが」
「……あぁ、なるほどね。相変わらず変なのに好かれるのね、あなた」
好かれてるわけじゃないのに、でも言われてみればそんな気も。でもこうしてミルシェさんにおんぶしてもらっているのに、はがそうとしないのはさすがです。
アック様はきっと下で戦っているのだとすると、ゴブリンでは無く別の何かと戦っているに違いありません。わたしを執拗に追って来てるのは見事にゴブリンだけ。それなら戦うのみです。
「ゴブリンなんて雑魚なんだから、さっさと吹き飛ばせばいいじゃない」
「で、でもですよ~シーニャやフィーサにも助けてもらわないと、数が多すぎますよぉぉ」
「虎娘と小娘ならどこかに行ったわよ?」
頂上にはシーニャを始め、フィーサが待っていると思っていました。それがまさか二人とも自由に動いているなんて思わなかったです。
「えええっ!? じゃ、じゃあわたしとミルシェさんだけ!?」
ミルシェさんだけでも十分強いのは分かっています。だけど数の多いゴブリンを相手に戦ってもらうのは、しんどそうです。
「あなたの拳は結構痛いのだけれど、それでは駄目なの?」
「ええとええと……」
アック様に言われたのは不正確さと、慌てすぎによる集中力低下。いくら一撃の攻撃力が高くても、それはあくまで相手が静止している状態での攻撃。
ゴブリンは今の時点でわたしを追って来ていて、しかも地を這うくらいの低さ。これでは思い切った攻撃は難しい……。
「まぁ、言いたいことは分かるわ。仕方ないわね……」
いつもいつもミルシェさんには申し訳ないです。それでもわたしを見捨てることは無いので、種族は違ってもお姉さんのような感じがします。
「ど、どうすれば~」
「あなたはそのまましがみつきながら敵の動きと場所を伝えてくれる? そうすればいちいち後ろを見る必要が無く攻撃が出来るわ」
「は、はいい~」
難しいことじゃなく、分かりやすく指示してくれた。これならミルシェさんの邪魔をせずにゴブリンを追い出すことが出来るかも。
「しょうがないけれど、あの方に似て放っておけないもの。守ってあげるわ」
「よ、よろしくお願いしますです~」
ゴブリンを倒して、そうしたらきっとアック様に再会出来るはず。そうなる為にも、ミルシェさんを精一杯応援します。
応援ありがとうございます!
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