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第十三章:新たな地

231.◇留守番ミルシェの奮闘記

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「ミルシェさま! 次はどこを手掛ければ良いですか?」
「それでしたら、ネコ族のシャトンの所に行って頂けますかしら? アックさまの希望では、ギルドを盛り上げたいようですので」
「承知いたしました。では、我らが!」
「ええ、お願いしますわ」

 アックさまたちがここ、イデアベルクから離れて数日。
 留守を任されたあたしミルシェ・オリカは、元々ここに居着いていたエルフと獣人たちを、まとめて仕切る役目を負っている。

 さらには、東アファーデ湖村にいたネコが、どこからか連れて来たネコ族。
 その彼女たちも見なければいけなくなった。

 それでも、シャトンは案外しっかり者なので、あたしがとやかく言うことは少ない。

「そこに置くニャ! 違う違う、そこじゃないニャ!!」

 釣りギルドのマスターということだけは、東アファーデ湖村で知っていた。
 それにしたってここへはどうやって来たのか、ネコ族の力は底が知れない。

「やはり水辺があるだけで、出来上がりも断然違いますわね」
「まだまだですニャ! でもここでは色々出来そうで何よりニャ。ミルシェも釣りどうニャ?」
「いいえ、あたしは結構ですわ」
「ふんふん。それなら、アックの帰りまでにメンバーを増やしておきたいニャ!」
「エルフたちや獣人を誘えばいいのではなくて?」
「それでは育たないニャ。ギルドの経営は簡単ではないのニャ!」
「……気が向いたら、探しておきますわ」
「よろしくニャ~」

 『ニャ~ニャ~』と、どうしてああもネコ族は、騒がしいのだろうか。
 アックさまはお優しすぎる。と愚痴を言いたくなりそう。

「ミルシェ。我の所に来てくれぬか? 兄が力を借りたいそうだ」
「あたしの力を……? それもサンフィアの兄御に……あたしが出来ることは多くありませんわよ?」
「いいや、アックと同等の力があるだけで十分すぎるほどの助けとなる!」

 アックさまと違って無限の魔力は無いけれど、あたしには防御に特化した魔法力が備わっている。
 エルフのサンフィアとその兄が、あたしを強く買っているのはそういう所だ。

「案内して頂けるかしら?」
「こっちだ。我らが手を入れている所は、まだ生い茂る森のような場所だ。我について来てくれ」
「ええ、そうさせてもらいますわ」

 イデアベルクのアルジであるアックさまが戻って来るまでに、どこまで再建ぶりをお見せできるかはあたしの腕にかかっている。

 そう思いながら、他種族をまとめて仕切る日々が続く。
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