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第十三章:新たな地
219.魔石ガチャで戦闘準備完了?
しおりを挟むネクロマンサーのこともそうだが、フィーサは何かを知っているようだ。
町の名前が分かった以上、不明なことははっきりさせておかなければ。
「何がやっぱりなんだ? フィーサ」
「……イスティさま」
「ウニャ? どうしたのだ?」
「はぇ? 何です~?」
「グライスエンドは、末裔がひっそりと暮らす町なの……」
末裔というと、代々続く血筋の一番最後の者か。
元々の能力者や術者は、すでに世界から忘れ去られている者が多い。
勇者や賢者は放っておいてもまた生まれて来るが、特殊なスキルを持つ者は、血が絶えればいなくなってしまう。
そんな特殊スキルを使う末裔が、ひそかに生き残っていたということになる。
「イデアベルクを取り戻さなければ知らないままだったな……」
生命力を高める温泉村もそうだし、この地には不思議な場所が人知れずあるようだ。
フィーサの言葉に少し驚きはしたが、おれ自身もレアなスキルを持っているので戸惑うほどではない。
「アック様、町に入らないんですか~? 私、どこかで休みたいですっ!」
「ウニャッ! そうなのだ。シーニャも休みたいのだ」
「まぁ、待て。外門から中へ入ったら、すぐに戦うことになるかもしれないから準備を整えておくぞ」
今さら強さのランクに警戒する必要は無いが、末裔が繰り出すものは冒険者のそれとは異なるだろうし、気を付けておく必要がありそうだ。
「イスティさま。魔石を使うの?」
「あぁ、そうだ。久しぶりすぎるが、ここでガチャをする」
「……じゃあわたしと、シーニャの魔石も混ぜて欲しいの」
「専用魔石か?」
「うん。きっとソロの戦闘で必要になると思うから……」
フィーサの言うとおり、パーティー戦闘となった場合、個々で戦う場面が出て来るはず。
彼女たちはそれぞれ、苦手な戦いがある。
苦手なことの克服は容易でもないし、全て守ることが出来るわけでもない。
ここは魔石に懸けてみるか。
「あれれ~? アック様、魔石ガチャをするんですか~?」
「まぁな」
「そういえば私専用の魔石って……まだ無いんでしたっけ?」
「……ルティの魔石はまだ覚醒してないな。名前だけは魔法文字で見えているが……」
「えぇぇ~!? 私だけ何でなんですかぁ?」
「分からないが、そのうちに変わるだろ」
「むむむむ……」
ルティに魔石を触れさせても、何の変化も起きない。
つまり今の時点では、まだその時ではないということなのだろう。
それはともかく、シーニャとフィーサの魔石を混ぜながら魔石を握りしめ、地面に放り投げた。
【Lレア エレーヴクローク 木属性を覚える 潜在:攻撃を受ける 獣人専用】
【Lレア ミンストレルリキッド 潜在:対象の攻撃を受けると? 神剣専用】
「ウニャッ! シーニャの新しい装備なのだ?」
「わたしのは一体何かなぁ?」
「シーニャ、そのクロークを着てみるといいぞ」
「分かったのだ!」
「悪い、フィーサのそれは分からない。透明な液体のようだが……」
「シーニャのもわたしのも、攻撃を受けるのが条件なんだ~? 痛いのは嫌なのに~」
「それでも、剣に戻れば問題は無いんだろう?」
「そうだけど~……」
人化の時は大人びていると思っていたが、慣れて来たのか剣の時と変わらない。
それにしても、やはり彼女たちの魔石を混ぜると、おれに関係したアイテムは出てくれないようだ。
もっとも、今の時点では恐れるものは何も無いわけだが。
「アック様は出さないんですか~?」
「いや、必要ないだろうと思って」
「駄目ですよ! 何か起こるかもしれないじゃないですか! わたしの代わりに、何か出しちゃってくださいっ!! さぁさぁさぁ!」
「ん、そうか? それなら……」
自分のアイテムが出ないにもかかわらず、ルティがジッとおれを見つめている。
シーニャは真新しいクロークに着替えているし、フィーサは出たものを眺めまくりだ。
何が出るか、魔石をシャッフルさせて地面に放り投げた。
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