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第十二章:認められし者
197.閑話:異種族たちの決意
しおりを挟む「――あたしは人間のようで、そうではありませんわね。亜人……そう呼んで頂いても差し支えありませんわ」
◇◇
アックが光に包まれ、深い眠りについていた頃。
脅威の去った旧居住区には、続々と異種族たちが集まっていた。
ルティシアとシーニャ、フィーサを除き、異種族と話すことが出来るのは、ミルシェただ一人。
エルフ筆頭のサンフィアを代表とした彼らは、ミルシェに対し今後について相談を持ちかけた。
「我らは長らくここの森林を守り、生き続けてきた! だが、真の主であるイスティが、国を立て直そうとしている」
「ええ」
「我らはイスティに従い、イスティが望む国を作りたいと願っている。女! キサマの意見を問いたい!」
アックがいない状態で話を進めることについて、ミルシェは戸惑いを隠せない。
しかし彼が目覚めたあかつきには、歩調を合わせてもらうことを条件に、彼らの意見を承諾することを決める。
「ところで、あたしは女……ではなく、ミルシェ。そう呼んで頂けないかしら?」
「ミルシェ……キサマは人間か? 気配からするに、我ら側に近いのだが」
「亜人……そう呼んで頂いても構いませんわ。元々は、水棲の生きる魔物でしたもの」
「ほぅ……? 人間のイスティが魔物を従えているとはな」
口の利き方に癖があるエルフと感じていたミルシェだったが、味方となる者を上手く扱う為にも、黙ることにした。
「……それで、あなたの周りにいるエルフと獣人たちには、名前はありませんの?」
「無論、あるに決まっている。だが、イスティが目覚めた時に知らせたいと思っている!」
「何か理由でも?」
「イスティならば名を聞いた時点で、役割を与えてくれるはずだからだ」
「役割……?」
「ミルシェとやら。全てはイスティの為の我らにあることだ! それまで待つことだな!」
根本的に合いそうにないと感じたミルシェは、アックが目覚めるのを、ひたすら待つしかなかった。
『ミルシェさ~ん!! アック様が~!』
『ウニャ! 早く来るのだ!』
『今すぐ行きますわ!!』
待ち望んだ主の目覚めに、ミルシェを喜びを隠し切れなかった。
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