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第八章:因果の国
107.宝剣の生まれ故郷へ出発!
しおりを挟む「神族……? しかも国家って言った?」
「わらわの始まりは、神族なの。イスティさまのガチャが出したのは、きっと導きだと思うなの!」
「それはつまり、フィーサの生まれた場所……ってことかな?」
「そう思ってもらっても構わないなの! そこに行けば、きっと上手く行くに違いないなの」
ラクルを出る前に、南方エリアのことを町の連中に聞いてみた。
しかしやはりというべきか、倉庫の連中は手広く活動をしない習性。
最近は冒険者の訪問も減ったとかで、大した情報を得られていない。
広域スキャンで南の方を探ってみたが、途中までしか分からなかった。
馬で行けるのか歩いて行けるのか、それすらも未知だ。
まずは途中まで見えた村や町、大きめの国に立ち寄るしかない。
どうしようもなくなったその時は、ガチャに頼ることにする。
空を飛ぶことも考えたが、悪魔族を気楽に呼ぶのは控えるべきだろうな。
「アック、行かないのだ?」
「いや、そろそろ行く」
「シーニャ、役に立つ! アックの爪! ウニャッ!」
「そうだな、シーニャには明らかに敵意を持つ魔物が襲って来たら、その時は遠慮なく倒していい」
「人間もなのだ?」
「人間の場合は、様子を見るんだ。いいね?」
「ウニャ」
ラクルの倉庫では、彼女たちそれぞれに部屋を持たせた。
そのおかげもあってか、シーニャはもちろんのこと、ルティも暴れたそうにしているようだ。
ただ一人、宝剣であるフィーサだけが、おれの元で不安そうにしている。
いつもなら大人しく鞘の中に収まっているが……。
「わらわも外の世界、空気に触れないとダメダメなの! だからイスティさまのお手を煩わせて申し訳ないなの!」
「それはいいが……、戦う時はすぐに振ることになる」
「もちろんなの! 大体、イスティさまはちっともわらわを使ってくれないなの。錆びた剣を大事にして、わらわのことなんて放置しているなの!!」
「そんなことは……」
「とにかく!! 敵が来たらバンバン斬って斬りまくって欲しいなの!」
ううむ、言われてみればその通り。
もちろんレイウルム半島での時は、除いている。
ソードスキルを習得していながら、まともに宝剣を使っていない。
ルティの影響で、何だかんだで拳で解決してしまいがちだったりする。
魔法剣としても、未だに使いこなしていないのが現状だ。
神族国がフィーサの生まれ故郷で、作った者がいるとすれば、使いこなしていないとまずい気がする。
そこにたどり着くまでフィーサに負けず、戦いに繰り広げなければ。
「アック様。お食事と休憩は、どこで取られるんですか?」
「何? ルティ、お前もう疲れたのか?」
「違いますよ~!! アック様はわたしをいつもいつも~!」
「いつも気にしているぞ? 色んな意味で……」
「き、気にして頂けている!? はふぅぅ!! そ、そんなアック様には、こちらを!」
商売やら交渉事、料理や錬金術に至るまで、ルティに頼っているのは事実。
おまけに村にすら入れなかったおれとは違い、薬師の知識を一部得て来たらしい。
そういう意味で気になる存在ではあるが、どこか心配になる娘でもある。
天真爛漫な娘でもあるし、放っておけないのは確かだ。
「ウニャウ!! アック、人間が近づいて来るのだ! 戦うのだ?」
「近付いてって、おれたちの方に?」
「まだ分からないのだ。でも、強さを感じる気がするのだ!」
「強さを……? ということは、ジョブありの人間ってことか。単なる旅人なら、気にする必要は無さそうだが……」
ラクルから南に向けて歩くこと数十分。
この辺りであれば、まだ冒険者パーティーの姿や、ギルド依頼をこなす人間を見ることがある。
シーニャは回復魔法を使える虎娘ではあるが、獣ならではの察知スキルが高い。
おれは目に見えて危険な存在、もしくは気配を出しているものには気付ける。
だが相手が人間であればあるほど、そこまで気にすることがない。
そういう意味では、シーニャのスキルはおれよりも長けていることが分かる。
「んんん? アック様、何か感じているんですか~?」
「おれじゃなく、シーニャがだな」
「ふむむ……それならば! アック様には、とっておきの薬を飲んでいただきましょう!」
「――薬? 薬師の知識で作ったのか?」
「その通りなのです!! アック様だけに使いなさいと教わりまして~」
「おれ専用か」
「はいっ! 大丈夫です。全然薬っぽくない味に改良をですね~」
「む、むぅ……」
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