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第四章:謎追いの旅へ

45.テイマースキル、爆上げする!

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 以前使用した限定召喚の書が無い。
 手にかさばりそうな物は全て腰袋に入れていたおれだったが、入っているのは魔石だけだ。

「あれっ!? な、無いぞ……何で」
「イスティさま? 何が無いの?」
「限定召喚をする時に使う書というか紙切れというべきか……それが無い」
「何だ~そんなの簡単なの」
「ん?」
「イスティさま、忘れっぽいの。魔石で覚えたモノは、イスティさまの中に記憶しているはずなの。だから一度でも使えば、紙切れはその場で消えて無くなっているはずなの。覚えていない~?」
「――あ」

 正確には、使った後のことは気にしていないが正しい。
 特に限界召喚は、グルートと戦っている最中だっただけに余裕もなかった。

 限定召喚といえば、効果が出るまでかなり長かったはず。

「解決したなの? それじゃあ限定召喚を――」
「いや、それはいいんだけど、しばらく待つことになるな」
「イスティさまと一緒にいられるから、妾は嬉しい!」
「そ、そうなんだ……」

 ルティたちと合流すれば、間違いなくフィーサと話す時間は減りそうだ。
 ただでさえルティとフィーサは相性が悪いしな。

「それじゃあ、使うよ! 山の頂上から地上に連れて行ってくれそうな何か、竜の軍団でも召喚出来れば……」
「うんうん、イスティさまなら大丈夫なの!」

 シーニャはおれから少し離れたところの、傾斜の所で自分の装束にうっとりしている。
 あれなら軍団召喚が成功して大挙して来ても、平気だろう。

 そんな願いも込めて、魔石を強く握りしめて投げた。
 しかし予想外なことが起きる。

『ウニャッ? 変な石が転がって来たのだ!』

 投げる方向をあまり意識していなかったせいで、シーニャのいる所に転がってしまった。
 これはまずい。

『シーニャ! それに触れては駄目だっ!!』
『ビ、ビックリしたのだ……石なら空めがけて蹴り返したのだ!』 
『えええ!? そ、空に?』

 シーニャのせいじゃないが、魔石が空に……。
 これはどうなるんだ。

 他の魔石でもガチャは出来るが、あの魔石は特別なモノのはず。
 空というか地上のどこかに落ちたとしても探しようがないぞ……。

「シーニャ、駄目なことした?」
「だ、大丈夫だ。よしよし……」
「フニャン……」

 シーニャは耳を垂らしながら、落ち込んでいる。
 彼女のせいでは無いので、すかさず頭を撫でて落ち着かせたが……。

わらわが虎娘を慰めるの。だからイスティさまは、空を見ていて欲しいの!」
「空を? しかし……」

 鞘に収まっていたフィーサだったが、シーニャの落ち込む姿に見かねて人化した。
 シーニャを落ち込ませた原因はおれにあるので、素直に従うことにする。

 竜の時もしばらく経ってから姿を現わした限定召喚だ。
 まして今回は魔石がどこかへ飛んで行ってしまったし、何が起こるか。

『何かたくさん聞こえて来るのだ。すごく早く動いているのだ!!』

 フィーサに付き添われているシーニャだったが、耳をピンと立たせて声を張り上げた。
 何かの気配を感じ取っているのか。

 そう思いながら空の向こう側を眺めていると、

「……うっ? 何だあれ……」

 さっきまでよく見えていた景色が、黒一色になっている。
 しかもかなりの数が動いていて、こっちに向かっているようだ。

『イスティさま、何が見えているなの?』
『ウーウウウー!! たくさん、たくさん来るのだ』

 ゴゥッとした重苦しい風が洞窟内に吹き込む。
 それと同時におれの目の前には、見たことも無いような姿の魔物が立っている。

 魔物は群れを成しているようだ。
 嘘だろ……こんな数相手にどうしろと。

『……マセキ』
「え? あ……」

 どういうわけか、正面にいる魔物が魔石をおれに手渡してくれた。
 間違いなく空に投げられた魔石だ。

『メイレイ?』

 言葉を話す魔物の群れの名前が出ている。
 そこには、キング・デーモン……とあった。

 悪魔の王!? 
 翼があるから空を飛んで来たのか……。

 手渡された魔石を腰袋に入れようとすると、熱さを感じると同時に魔法文字が浮かんだ。

 【アック・イスティ テイマースキル Lv.666】
 【デーモンテイマー 習得】

 デーモンテイマーか。
 いや、スキル上がりすぎだろ!? 限定召喚というか軍団召喚だからか?

 何やらおれからの命令を待っているようだし、地上に向かってもらうしか無さそうだ。

『ウウウ……怖いのだ怖いのだ!!』
『イスティさま、妾、剣に戻るなの……』

 デーモン族は、狭い洞窟の中にまで入って来ていない。
 しかしシーニャもフィーサも、尋常じゃないほど震えている。
 
 てっきり竜が来るかと思っていたのに、デーモンって。
 とにかくこれで地上に降りられるし、2人には辛抱してもらうしか無い。

 いや、その前にこの流れでおれの装備を変えておくか。
 魔石が熱いうちにガチャをした。

 【Lレア デーモンヘルム Lv.666】
 【SSSレア デーモンメイル Lv.6】
 【SSレア デーモンリング】
 【SSSレア デーモンレギンス Lv.66】
 【SSSレア デーモンマント】

 見事にデーモン装備になってしまった。
 しかも全部位じゃない辺りがひねくれてる。腰衣はルティのを履いておけばいいか。

 全身真っ赤な炎装備から一転して、真っ黒な装備になってしまった。
 しかしようやくルタットに向かえそうだ。
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