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第四章:謎追いの旅へ
44.眷属改め、ビーストテイマー認定?
しおりを挟む「イスティさま、天井に2匹!」
「おっと」
「それだと遅いの!!」
「い、いやぁ、慣れないとだね」
「……あの虎娘はいい動きしてるのに~!」
「獣の俊敏な動きは厳しいかと。でもほら、力を得られてからフィーサを使いこなしているわけだし」
「そうじゃないの! マスターの動きだと力があっても駄目なものは駄目なの!!」
「難しいな」
山の中の洞窟に入ってからだいぶ経つ。
特化スキルを得たおれは、本来の重さであるフィーサを使いこなすことが出来ている。
しかし剣を扱うのはそういうことじゃないらしく、フィーサは不満を漏らす。
広域スキャンのおかげで、事前に敵のいる位置が分かっているおれだったが……。
「遅~い!! 力だけじゃ使いこなすと認めるわけにはいかないの!」
「そう言われてもな……」
「イスティさまを完璧な剣士と認めるにはすごく時間がかかりそうだけど、その分一緒にいられるから許してあげるのなの!」
「努力するよ。あはは……」
完璧な剣士になるとか、それも魔石による試練がありそうだな。
山の麓から進んできた洞窟だが、シーニャの働きのおかげもあって、大した魔物に出遭うことが無かった。
シーニャは嗅ぎつけにより、おれよりもずっと先で張り切って魔物を倒し続けている。
そんなわけで、おれが宝剣フィーサを振り回す機会は、ほとんど無いに等しい。
「そう言えばイスティさま」
「どうした、フィーサ?」
「あの虎娘は自らを眷属と言っていたけれど、手懐けたということならイスティさまは、テイマースキルを覚醒させたはずなの! 魔石にもそれが現れているはずなの~」
「テイマースキル?」
「間違いないはずなの! そうじゃなきゃ、虎娘専用の装束が出るはずないもん」
フィーサの言うように、魔石を手にしてみた。
魔石から見える魔法文字は、
【アック・イスティ テイマースキル Lv.1】
【ビーストテイマー 習得】
なるほど、確かに。
色んなスキルが覚醒しまくっているが、スキル上げが果てしないぞ。
「フィーサの言った通りだった。スキルが覚醒してたよ」
「ほらほら、やっぱり! イスティさまはたくさん覚えられると思うの!」
「スキルを?」
「そうじゃなくて、剣士にもテイマーにもなれるし、限りが無いと思うの~!」
「まぁ、ジョブなしだからね。何にでもなれるといえばなれるかな」
「イスティさまの魔石から出せる物も、きっと常に変化していくよ~」
変化と言えば、シーニャ向けのアイテムが出たのもそうなのか。
今のところ、おれが望んだものが出ているわけじゃない。
それがスキル変化で変わるとしたら、意図的に欲しい物が出せるようになる可能性がありそうだ。
しかしその為にも、所持金は余裕を持っておきたいところだが……。
『アック~! こっちに来て欲しいのだ!!』
ん? シーニャの声が聞こえたか。
山の洞窟の終わりが見えて来たかな。
「イスティさま! 虎娘を手懐けたのはいいとしても、呼び捨ては許せないの~!」
「強制的に呼ばせるつもりはないからね。シーニャが呼びやすいようにさせるよ」
「む~~!!」
「とにかく、シーニャのいる所に進もう」
不貞腐れながらも、フィーサは鞘に収まってくれた。
その足で進むと、
「ウニャ! アック、ここ山の頂上! これ以上行けないのだ。シーニャ、空飛べない」
「――う?」
「でも景色いい! アック、気に入る!」
「あぁ、確かに……」
これはとんだミスだ。
広域スキャンで魔物のいる場所は確実に掴んできた。
しかし肝心の道に関しては一切気にせず、ひたすら進んでいただけだ。
それほど複雑な洞窟でも無かったが、横穴といった所を気にすることが無かった。
その結果が頂上とは。
確かにすぐ近くに雲が広がり、地上までどれくらいあるのか見えない。
景色を見るために登ってきたわけじゃないだけに、これはショックだ。
「イスティさま、テイマースキルを使うのもありなの!」
「へっ? いや、シーニャにしてもおれにしても、ここから駆け降りるのは厳しい……」
「虎娘じゃなくて、テイマースキルをここで使って欲しいなの!」
「……こんな所で?」
「イスティさまは竜を呼んだことがあるはずなの。ここでそれを使って、スキルを試すのも手なの!」
そういや、限定召喚でそんなことがあった気が。
あの時はおれ自身が竜になっていたような……。
それはともかく、限定召喚で何か呼んでみるか。
ここから引き返すのも厳しいし、勘弁して欲しい。
「ウニャ? アック、何をするのだ?」
「シーニャ、そこから離れておれの後ろに下がっていてくれ!」
「分かったのだ!」
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