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第四章:謎追いの旅へ

42.水棲美女と魔女、遭遇する 前編

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「はひ~……スキュラさん~まだ着かないです~?」
「もうすぐ着きますわ。というか、あなた力はあるのに、意外に体力がありませんのね」
「違いますよ~お腹が空いて動けなくて~……」
「呆れますわね。アックさまといる時はそんなそぶりを見せなかったというのに、甘えが過ぎますわ」
「アック様といる時は気合が入って、お腹が空かなくなりまして~……」
「はぁ……シャキッとして頂かないと、小さな町でも恥ずかしい思いをすることになりますわよ?」
「はひぃ~」

 ルティ、スキュラのふたりは、アックたちとは別の道を進んでいた。
 途中でしつこい騎士たちと戦うこともあったが、あっさり撃退。

 その後は、一本道をひたすら歩くだけ歩いていた。
 騎士国からの道中は魔物が出なかったこともあり、一足先にふたりは町に到着する。

 アグエスタの支配から外れている町ルタット。
 そこで再会することにしていただけで、特に警戒はしていなかったスキュラだったが……。

「おぉぉ~!! スキュラさんっ! 町ですよ~町に着きましたよ~!!」
「ルティ。あなたさっきまで、お腹を空かせて動けないんでは無かったかしら?」
「町に着いたらそんなの忘れちゃいましたよ~!」
「アックさまのご苦労が浮かぶ娘ですわね……」
「スキュラさんっ! あの、わたし――」
「大して広くはない町ですわ。ご自由になさっては?」
「はいっっ! ではでは」

 ルタットに入ったふたりは、特にどこに行くとも決めていなかった。
 それもあってはしゃぐルティを特に引き留めず、スキュラは単独で町を歩き出す。

 ルタットは、冒険者が寄り道するほどでもない規模の町。
 ここはあくまで、一時的に休息する程度である。

 必要最低限の宿と、道具屋があるだけだ。
 ギルドはなく、依頼を受けるには直接町に住む人から話を聞くしかない。

 ルタットへの道中に流れていた小さな川が、町の中にまで続く。
 その為、水を利用した水車小屋があちこちに見えている。

 人間の姿はあまり見られないものの、滅多に見られない美女が来たとあって、スキュラは注目を集めていた。

「――ふん、何てことはない町ですわね。ここまで来る価値も無いと騎士たちも思っているということかしらね……それにしても」

『どこから来られなすった? 町で見たことのない美人さんじゃな!』
『オラもお話したい~!』
『もしや、あのお嬢さんのお知り合いなんだべか?』

 外を出歩く女性の姿が少ないにもかかわらず、スキュラの周りに集まったのは見事に男ばかり。
 物珍しさに加え、若い女性が圧倒的に少ないせいもあった。

「あたくしは、見世物ではありませんわ!」
「あんた、宿に泊まっているお嬢さんのお知り合いだべ?」
「宿の……? ルティ……なはずがないし、ふん。どんな人間か来ているのか、会ってみるのも面白いわね」

 小さな町で騒がしくなるのを嫌ったスキュラは男たちの案内で、宿に向かう。
 アグエスタとは比べられない小さな宿に着いたスキュラだったが、

『――!? あなたは、あの時の魔女……だったかしらね?』
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