Sランクパーティーから追放されたけど、ガチャ【レア確定】スキルが覚醒したので好き勝手に生きます！

第一章：生まれつきのスキル

11.不穏な気配と魔法助言者

　魔法国レザンスの魔法ギルドで、新たなスキルが覚醒した。
　一部は条件付きらしく、そのことでバヴァルから意外な提案を出されてしまう。

「――え？　一時的に仲間入りを……？」
「老齢な魔法士と一緒に行くのは嫌かな？　しかしスキルこそ目覚めただけで、属性の使い方を知ることは叶わない。それなら、私が一緒について行きながら極めるまでお教えする……それでどうかな？」

　魔石のことを隠しても、すでに魔力開放で知られていたも同然だった。
　そのうえで魔石ガチャのことを話したら、こんなことになっていた。

「それはいいですが、何故？」
「何かあんたからは不穏な気配を感じる。この先々の行く道、通り道で、何かしらの悪意が降りかかる予感がしてね」
「……悪意？　それはともかく、ギルドをどうするつもりが？　依頼もあるはずでは？」

　おれを追放した勇者たちのことは、バヴァルには話していない。
　魔導書の変化から何かを感じたのか、あるいは予知スキルでも持っているのか。

　いずれにしても拒む理由は無いが、
　
「……あぁ、ギルドのことなら見ての通り！　ここに来てくれたのも何かの運命。あんたが来てくれなければ、閉めようかと思っていたのさ。依頼クエストなら、私があんたにお願いするよ」

　ここへは無理やり招待されたんだが……やはりそうだった。
　ルティやフィーサは何とも思わなそうだが。

　スキュラは人間嫌いそうなところがあるし、心配だな。

「それじゃあ、街に仲間を待たせているので行きますか」
「その前に、ここで魔石ガチャを見せてもらえないかね？」
「ガチャを……？」
「それ次第では――」

　ギルドにはおれとバヴァル以外、人の気配は無い。
　警戒する必要も無さそうなので、ガチャをすることにした。

　魔石を手の平に置いて握り、ガチャを引く……。
　いつもどおりの流れだ。

　【Uレア　時戻しのローブ　Lv.－52】【Uレア　魔獣変化スキル　Lv.99】
　【Lレア　軍団召喚の書　Lv.１】

　今回は3つか。
　ユニークレアで防具というのも珍しいが、レベル表記がマイナスなのは何なんだ。

　他にも魔獣変化……？
　レジェンドレアに軍団召喚とあるが、レベルが1しかないのはどういうことなのか。

「ふむふむ……これはすごい！　こんなにすごいスキルならば、冒険者に狙われるのも無理は無い」
「しかし、最初はこんなんじゃなかったですよ？」
「そうだとしたら、やはり覚醒の力が凄まじかったということでしょうな」

　出たアイテムのうち、防具はバヴァルに渡した。
　スキルに関しては覚えておき、召喚の書は保留にしとく。

「では今度こそ参りましょうかね」
「あ、そうですね」

　召喚のことはあまり要領を得なかったが、そのうち分かるだろう。

『あ～～！！　アックさん！　遅かったじゃないですか～！　いったいどこで何をををを！？』
『隅に置けないお方でしたのね、やはり』

　ギルドを出て、2人を待たせていた場所に向かうと、物凄く驚かれてしまった。
　ルティの反応は相変わらずだが、スキュラは何か違う。

　なるべくゆっくり歩いて来たつもりだが、おれの後ろにいるバヴァルに驚きでもしたか。

　あまりにも2人がポカンとしているので、後ろを振り向いてみたら……、
『――へっ！？　ど、どちら様で？』

「そちらがアック様のお味方なのですね？　わたくし、レザンス魔法ギルドマスター兼アック様付きの助言者、バヴァル・リブレイと申します。以後、よろしくお願いしますね！」

　どういうことだこれは。
　見た目から何から変わりすぎじゃないか。

　若返りにしても、おれよりはやや年上のお姉さんといったところだ。
　金色に光る短い髪はしっかり者に見えるし、はっきりと物事を言いそうな目つきをしている。

　ふと気づいたが、レアガチャで出した時戻しのローブを身にまとっているようだ。
　全体的に白いローブだが、何か渦のような模様が刺繍されているが、そういうことか。

「あわわわわ！？　これはわたしも負けていられませんよ」
「全くですわね。見るからに強力な気配を感じますわ……」
「え、えーと……そういうことだから、みんなもよろしく頼む」
「アック様。わたくしのことは、ヴァルと気軽にお呼びくださいませ」
「は、はい」

　勇者たちとの再会が近いことを暗示しているのか、妙な味方が増えた。
　魔石ガチャのことも、召喚ガチャのこともまだ分からないままだ。

　だが、こればかりは魔物を倒し続けて行くしか方法は無さそうだ。

　レア確定ガチャで出たルティとフィーサのふたり。
　そしてガチャで出したアイテムで、味方となったスキュラとバヴァルたち。

　これなら全て上手く行けそうだ。