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第二章 帝国と王国

第22話 王都ミケルーア

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 ゾルゲン神官長と神殿騎士たちを見逃した後、俺たちは王都ミケルーアに入った。

「あんたのおかげで王都門が破壊されずに済んだ。帝国のいけ好かない連中を懲らしめてくれて感謝するよ!」 

 王都門はアグリッピナが話を通してくれたおかげもあったが、ゾルゲンを懲らしめたことに対し、何故か門兵からお礼を言われついでに王都のことについても丁寧に教えてくれた。

 おかげで、市街地にはすんなりと進むことが出来た。

「ここが王都……」
「にゃあ。同じ耳の人、見える」
「そうですよ、カニャン」

 リッセンド王国の最大都市ミケルーア。

 王都ミケルーアは獣人と人間が共生している都市で、ギルドも多くあることから冒険者や旅人がよく訪れる場所だ。

 王都門は中央部の南に位置し、北と東、西にはそれぞれ王国軍がいて王都を守備している。

 北部にルーア王宮、東部はサザール邸、西部はレヤレー高原などがあり、それぞれの区画は許可を得ないと立ち入りが出来ない。 

 市街地は正面に中央広場があって、お店やギルドの建物は全て石造りで統一されている。何故か雑貨屋を中心に、区画をきっちり分けられているようだ。

「どこから見ればいいのやら……」
「あるじ!」

 そういえばサリルの文句への答えがまだだった。

「あるじには色々と言いたいことがありますわ! だけれど、わたくしは王都で別行動を取らせて頂きますので、文句はその後にしますわ」

 などと言い放ち、サリルは黒羽を隠すことなくどこかに行ってしまった。
 一方、神殿騎士アルミドはゾルゲンを追うでもなく、俺について来ている。

 カニャンと会えたのはいいとしても、これから先どうするのか。

「リナス様。市街地に入りましたが、どちらへ行かれますか?」
「え? えーと……」

 これといって目的があるわけではなく、王都へはアグリッピナを送るというだけで来た。それだけにどこへと言われると何とも言えない。

「リナス。ピナはどこ?」
「……ピナ? それはどなたのことです?」
「ピナは地下洞から一緒に来た人。危なっかしいから王都に連れて来たの」
「そうなんだ……それじゃあ、その人にもお礼を言わないとだね。リナス様。その人のところに案内して頂けませんか?」

 と言われても、肝心のアグリッピナが見当たらないわけで。
 
 彼女を探しつつ周りを見回すと、カニャンのように猫耳をした獣人はもちろん、半竜、ドワーフ、エルフの姿があり、人間よりも獣人の方が多い印象がある。

 王都は共生の場所と聞いていたが、どうやら話は本当だったようだ。
 漆黒ローブを着ている俺に注目しているようで獣人たちが集まってくる。

「キミは魔物……じゃナイみたいだネ?」
「俺は人間ですよ」
「どこのギルドに入る予定ダネ?」
「えっ? いえ、それは……」

 警戒といったものというよりも、興味を持たれている感じだろうか。しかもどこかのギルドに入るのが決まっているかのような話しぶりだ。

「リナス様。ミケルーアではギルド所属で扱いが変わると聞いております。どこかに入られてはいかがですか?」
「いえ、ここへは長く滞在するつもりは無いもので……カニャンに教えたいことがありますし」

 辺境のク・ベルハを出てから王都にまで来てしまった。ゾルゲンの問題もあるとはいえ、王都にとどまる考えには至らないがどうするべきか。

 そこに、

「リナス、リナスさーん! こちらに来てくださーい!」

 アグリッピナの大きな声が雑貨屋の方から聞こえて来た。
 ギルドのことは後で考えるとして、まずは彼女がいるところに向かうことにする。
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