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第二章 帝国と王国
第20話 猫姉妹、再会する
しおりを挟む「さっきの魔物がいるだけじゃなく、獣人までもが王都にいるとはどういうわけだ!」
「放して!! リナス! リナスー!!」
「リナス……だと? 何故獣人が奴の名を呼ぶというのだ? 奴は辺境送りにしたというのに――む? お前の顔……見覚えがあるな」
うかつだった。神殿騎士が後から追い付いて来たとはいえ、ゾルゲンが王都門の方に近づいていたなんて。
カニャン以外の人間が退避してしまったことで、目立ってしまったということか。
神殿騎士はサリルに止めておいてもらい、まずはゾルゲンだ。
王都門までは数百メートル。
すでにカニャンがゾルゲンに詰められていることを考えれば、魔法攻撃をするしかないが――。
「そこの黒い者! 私の手に掴まりなさい!!」
「――!」
女性の声にとっさのことではあるが、俺は素直に手を差し出す。
彼女の後ろに乗せられると、そのまま勢いに乗って王都門へ駆けだした。
馬で駆ける神殿騎士が俺に声をかけ馬に乗せた。
つまり、
「神殿騎士アルミド?」
「あなたはリナス・ジョサイアですよね。妹を、カニャンを探してくれたうえ面倒を見てくれている……そうですよね?」
「何故分かったんです?」
「先ほど神官長にかけた魔法の効果ですぐに分かりました」
足止め程度の魔法だったが、さすがに神殿騎士には分かられたか。
「しっかりつかまっててください! このまま突っ込みますので」
他の神殿騎士に足止めを喰らいそうになったが、アルミドも来ていたのは幸運だ。
馬で駆けると、王都門へはすぐに迫ることが出来た。
カニャンを捕まえていたゾルゲンに対し、俺は馬上から麻痺魔法を発動。
ピンポイントでゾルゲンに命中させたところで、俺は馬から飛び降りた。
「ぬ、ぬぬ……!? 何だこれは? か、体が動かんでは無いか!」
ゾルゲンは痺れの効果がすぐに表れ、その場で膝をついた。
そこに近づくと、
「ぬぅぅ、さっきの黒い魔物が何故ここに……。こ、この麻痺も貴様か?」
「俺のことはお忘れですか? ゾルゲン神官長」
「ぐ、ぬぬ……まさかリナス!?」
漆黒ローブだけで判断したゾルゲンだったが、ようやく俺に気づいた。
一方、カニャンはアルミドの馬に抱き上げられていたようで無事のようだ。
「んん、リナスじゃない……誰?」
「忘れたの? カニャン。私の声とこの顔を」
アルミドはヘルムを脱ぎ捨て、隠していた顔をさらけ出した。
「その耳、ま、まさか、アルミドお姉ちゃん?」
「そう、そうだよ。カニャン! ようやく会えたね」
「にゃうぅ!!」
生き別れていた猫姉妹がようやく再会出来た瞬間だった。
しかし俺の目の前にいるゾルゲン神官長には話を聞かなければならない。
王都に来た理由、そして何故カニャンを捕まえようとしたのかを。
これをはっきりさせないと王都で問題を起こしかねない。
まずはゾルゲン神官長の回復を待って、それからだ。
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