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天然少女
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この学校の七不思議に、「必ず願いが叶う部屋」というものがある。この部屋で勉強した人は必ず100点が取れて、この部屋で告白した人は必ず恋人同士になれるという。
そんな不思議な、超自然的な場所が、この学校のどこかにあるのだ。
ある日、高校2年生の花子は、学校のパソコン部で「反復すること」についてプレゼンをすることになった。花子は全く練習していないにも拘らず、自分は伸びしろだけは凄いからプレゼンくらい大丈夫だと思っていた。
「花子、プレゼンの準備は大丈夫?」友人の太郎が心配そうに尋ねてきた。
「うん、心配いらないよ!私の伸びしろに任せて!」と無邪気に答える花子。その返答に太郎は苦笑した。
プレゼン当日、部室には緊張感が漂っていた。部員たちが花子のことを心配していた。けれど花子は堂々と壇上に立った。「皆さん、今日は『反復すること』についてお話しします!」
最初は順調だったが、突如としてプロジェクターが故障して画像が映らなくなった。部員たちはざわめき始め、不穏な空気が室内に広がる。しかし、天然少女の花子にはそんなことは関係なかった。「皆さん、プロジェクターが壊れちゃったけど、気にしないでください!私が直接説明します!」
この言葉に部員たちは困惑した。花子は説明を続けるが、話が反復していることに気づかず、同じことを何度も繰り返してしまった。「それで、『反復すること』はとても重要なんです。だから、『反復すること』がいかに重要かを説明します……」
部員たちは次第にいら立ちを隠せなくなって、不満の声を上げた。太郎も額に手を当てて、ため息をついていた。
その日の部会が終わり、太郎が花子に訊ねた。「花子、今日はどうしてあんなに繰り返しばかりだったんだい?」
「えっ?反復の重要性を伝えたかっただけだよ!」無邪気に答える花子。
「なるほど、実践して伝えてたんだな」太郎もようやく納得したようだった。花子は自分のプレゼンが認められたと思い嬉しかった。
翌日、花子はなぜか、また学校のパソコン部で「反復すること」についてプレゼンをしていた。そしてまた、翌日「反復すること」についてプレゼンをした。次の日もまた「反復すること」についてプレゼンをし、その次の日も同じことをした。
花子は反復の重要性が皆に伝わるまで、みずから実践して反復を繰り返していた。彼女は反復のループに嵌ってしまったのだった。
自分の伸びしろを信じ、いつかはきっと上手くいくと反復を繰り返す花子。その願いが叶うまで、この部屋から抜け出せないことに、天然少女は気付いていなかった。
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ある日、高校2年生の花子は、学校のパソコン部で「反復すること」についてプレゼンをすることになった。花子は全く練習していないにも拘らず、自分は伸びしろだけは凄いからプレゼンくらい大丈夫だと思っていた。
「花子、プレゼンの準備は大丈夫?」友人の太郎が心配そうに尋ねてきた。
「うん、心配いらないよ!私の伸びしろに任せて!」と無邪気に答える花子。その返答に太郎は苦笑した。
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部員たちは次第にいら立ちを隠せなくなって、不満の声を上げた。太郎も額に手を当てて、ため息をついていた。
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