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水曜日の今日は、放課後、本の整理を手伝う日だった。
この作業は嫌いではなかった。本は好きだったし、ファーレン先生は、あらゆることに深い知識と理解を持ち、分かりやすく伝える能力があった。
ファーレン先生は、この学院で水曜だけ歴史の授業を担当している。外部から来ている教師だった。
「先生、私はもう図書室の資料整理のお手伝いはしませんわ!」
驚いたようにファーレン先生は顔を上げた。
「メイベルさんには長い間図書室の仕事を手伝ってもらっていたね」
「ええ。入学してからですからもう2年以上はしています」
「そうか」
目録を作ったり、本の修繕をしたり、ここでの仕事内容は多岐にわたる。
週に1時間だけの作業だったが、学ぶことも多かった。
ファーレン先生は聞き上手であり、明確かつ適切に情報を伝えることができる。
いろんな話をこの図書室でしたように思う。それこそ政治から夕食の話まで。
「今まで君に甘え過ぎていたかもしれないね。嫌だった?」
「嫌ではありませんでした。けれど何故、私だけこの作業を手伝わなければならなかったのか、疑問に思っていました」
決して嫌ではなかったし、私は先生を尊敬していた。
先生は生徒の意見や気持ちを尊重し、自分の意見を押し付けず、偏見なく評価する人だった。
「そうか。君じゃなければできないと言ったのが駄目だったのかな」
「他の方でもできる仕事だったと思います」
「そんな事はないけど、まぁ、仕方がないね。分かったよ。今までありがとう」
「こちらこそ、お世話になりました。」
すんなり辞めることを了承してもらい、少し拍子抜けした。
この場所は学院の中でもゆったりとした時間を過ごせた好きな場所だった。
緊張感を感じさせない雰囲気作りが上手な先生だった。一緒にいると自然とリラックスできた。
もう会えないとなると少し寂しい。
「お礼にと言っては何だけど、なにか望みはないかな?僕にできる事があれば何でも相談に乗るよ」
「そうですね。今、たちまち考えなければならないことは、自分の進路でしょうか」
先生の口元がわずかに歪み、目尻に軽いしわが寄る。
彼は顎に手を当てて何か考えているようだった。
「立ち入った話になるかもしれないけど、メイベルさんは学院を卒業したら、侯爵家の仕事を手伝うのではなかったのかな?結婚も決まっていたように記憶している」
「はい。その予定でしたけど、結婚しないことにしました。ですから、自分で働いて生きていく今後の進路を考えています」
「それはまた、急だね。けれど、君は優秀だから、どこに出てもやっていけるだろう。文官の試験に挑戦することもできると思うよ」
「ええ。それを考えています」
「そうか……」
先生を困らせる訳にもいかないので、早々に話を切り上げた。
「自分でいろいろ考えてみます。現時点では、父にも認めてもらっていませんし、婚約も解消できていません。ただ、私の決意は固いので、家を出て行くことも視野に入れています」
「それは少し時期尚早だな。準備はちゃんとしておくべきだよ。明日寝るところがなくなってしまう可能性だってあるんだから」
「そうです。だから学生でいる間に、ちゃんと自分の居場所を見つけようと思います」
もう最終学年だ。私は自分の事をしなくてはならない。
図書室の手伝いは今日で終わりだ。
先生は謎の多い人で、確か王族の血を引いていると噂で聞いたことはある。
本人は否定しているけど、隙間に見せる所作は平民のそれではないと思っていた。
年齢不詳だ。多分まだ20代のような気がする。
眼鏡姿で落ち着いているけれど、かなり鍛え上げられた肉体であることは確かだ。
シャツの上からでもわかる筋肉は、騎士たちの中に混ざっても引けを取らないだろう。
けれど、先生は義足だった。
事情を聞いたわけではないけど、戦いに身を置いた事があるのかもしれないと私は思っていた。
「ところで……ここの資料は、君の祖父にあたる前の侯爵様が、寄付した資料が多いことを知っているよね?」
「ええ。存じています。だから私が整理を手伝っていたのですよね?外部の人に任せるわけにはいかないと聞きました。ファーレン先生が、そうおっしゃいました」
その資料を纏めて、分かりやすく書き写した。ノート10冊分にもなって、大変な作業だったわ。
「侯爵家の歴史が書かれている。君の亡くなったお爺様の話だ。自叙伝かなと思ったけど、フィクションの小説のようにも感じる」
確かに、まとめている時に感じたのは、これは実話ではないんじゃないかという事だった。
あまりにもドラマティックで、夢のような文章もあり、史実に基づいたものもあった。
そこを上手く纏めなければならず、とても苦労した。
「ええ。お爺様の恋の話なのかなとも思いました。支離滅裂な一貫性のない文章もありました」
「ああそうだね、いろんな事が書いてあった。その資料を、君は上手に構成して、つじつまを合わせて纏めてくれた。僕はこれほど、上手く読みやすく纏め上げられる君の能力に感心した。そして出来上がったこの話に、とても興味があるんだ」
「興味ですか?」
私は先生が何に関心を持ったのか分からなかったので、私が書いた物を書棚の奥から引っ張り出してきた。
「君は自分でこれを書きながら何か感じなかった?」
自分がまとめた物をぺらぺらとめくりながら、感想をのべた。
「読み物として面白いなと思いました。それと、我が国の歴史が分かる、文化的にも貴重な資料だなと思いました。ただ、これはお爺様の私見もたくさん入っていて、文化的資料というよりはヒストリカルロマンス文学のような気がしました。作業中は、大衆娯楽小説を纏めていた気分でした」
先生は、ハハハ、と、声を出しておかしそうに笑った。
「そうだね。確かに恋の話もあったよね。戦争の話もあり、政治の話もあり、当時の世相、世の中のありさま、社会の様子も細かく記してある。そしてそれを自身の恋愛に絡め、愛憎劇要素もあって読者を引き付ける。難しい歴史書を読むより、よほど勉強になると思ったよ。だって、面白いから」
「そう、ですね。確かに面白いと思いました」
「君が纏めたから、面白く仕上がったんだ。そして、これは書籍として出版できると思う」
「ええ!出版ですか?」
「ああ。これは学院に寄付されたものだから、後はどう使おうがかまわないだろう。かなり前の物で、著作権は消滅している。そもそも寄付された時点で、ラッシュ侯爵はそれを放棄している」
「これを本として売り出すということですか?」
「君がこの本の作者だ。メイベルさんは侯爵家の血を引いているし何の問題もないだろう」
「私が作家になると言う事でしょうか……」
「やってみる価値はあるんじゃないかな?だって面白いし」
この作業は嫌いではなかった。本は好きだったし、ファーレン先生は、あらゆることに深い知識と理解を持ち、分かりやすく伝える能力があった。
ファーレン先生は、この学院で水曜だけ歴史の授業を担当している。外部から来ている教師だった。
「先生、私はもう図書室の資料整理のお手伝いはしませんわ!」
驚いたようにファーレン先生は顔を上げた。
「メイベルさんには長い間図書室の仕事を手伝ってもらっていたね」
「ええ。入学してからですからもう2年以上はしています」
「そうか」
目録を作ったり、本の修繕をしたり、ここでの仕事内容は多岐にわたる。
週に1時間だけの作業だったが、学ぶことも多かった。
ファーレン先生は聞き上手であり、明確かつ適切に情報を伝えることができる。
いろんな話をこの図書室でしたように思う。それこそ政治から夕食の話まで。
「今まで君に甘え過ぎていたかもしれないね。嫌だった?」
「嫌ではありませんでした。けれど何故、私だけこの作業を手伝わなければならなかったのか、疑問に思っていました」
決して嫌ではなかったし、私は先生を尊敬していた。
先生は生徒の意見や気持ちを尊重し、自分の意見を押し付けず、偏見なく評価する人だった。
「そうか。君じゃなければできないと言ったのが駄目だったのかな」
「他の方でもできる仕事だったと思います」
「そんな事はないけど、まぁ、仕方がないね。分かったよ。今までありがとう」
「こちらこそ、お世話になりました。」
すんなり辞めることを了承してもらい、少し拍子抜けした。
この場所は学院の中でもゆったりとした時間を過ごせた好きな場所だった。
緊張感を感じさせない雰囲気作りが上手な先生だった。一緒にいると自然とリラックスできた。
もう会えないとなると少し寂しい。
「お礼にと言っては何だけど、なにか望みはないかな?僕にできる事があれば何でも相談に乗るよ」
「そうですね。今、たちまち考えなければならないことは、自分の進路でしょうか」
先生の口元がわずかに歪み、目尻に軽いしわが寄る。
彼は顎に手を当てて何か考えているようだった。
「立ち入った話になるかもしれないけど、メイベルさんは学院を卒業したら、侯爵家の仕事を手伝うのではなかったのかな?結婚も決まっていたように記憶している」
「はい。その予定でしたけど、結婚しないことにしました。ですから、自分で働いて生きていく今後の進路を考えています」
「それはまた、急だね。けれど、君は優秀だから、どこに出てもやっていけるだろう。文官の試験に挑戦することもできると思うよ」
「ええ。それを考えています」
「そうか……」
先生を困らせる訳にもいかないので、早々に話を切り上げた。
「自分でいろいろ考えてみます。現時点では、父にも認めてもらっていませんし、婚約も解消できていません。ただ、私の決意は固いので、家を出て行くことも視野に入れています」
「それは少し時期尚早だな。準備はちゃんとしておくべきだよ。明日寝るところがなくなってしまう可能性だってあるんだから」
「そうです。だから学生でいる間に、ちゃんと自分の居場所を見つけようと思います」
もう最終学年だ。私は自分の事をしなくてはならない。
図書室の手伝いは今日で終わりだ。
先生は謎の多い人で、確か王族の血を引いていると噂で聞いたことはある。
本人は否定しているけど、隙間に見せる所作は平民のそれではないと思っていた。
年齢不詳だ。多分まだ20代のような気がする。
眼鏡姿で落ち着いているけれど、かなり鍛え上げられた肉体であることは確かだ。
シャツの上からでもわかる筋肉は、騎士たちの中に混ざっても引けを取らないだろう。
けれど、先生は義足だった。
事情を聞いたわけではないけど、戦いに身を置いた事があるのかもしれないと私は思っていた。
「ところで……ここの資料は、君の祖父にあたる前の侯爵様が、寄付した資料が多いことを知っているよね?」
「ええ。存じています。だから私が整理を手伝っていたのですよね?外部の人に任せるわけにはいかないと聞きました。ファーレン先生が、そうおっしゃいました」
その資料を纏めて、分かりやすく書き写した。ノート10冊分にもなって、大変な作業だったわ。
「侯爵家の歴史が書かれている。君の亡くなったお爺様の話だ。自叙伝かなと思ったけど、フィクションの小説のようにも感じる」
確かに、まとめている時に感じたのは、これは実話ではないんじゃないかという事だった。
あまりにもドラマティックで、夢のような文章もあり、史実に基づいたものもあった。
そこを上手く纏めなければならず、とても苦労した。
「ええ。お爺様の恋の話なのかなとも思いました。支離滅裂な一貫性のない文章もありました」
「ああそうだね、いろんな事が書いてあった。その資料を、君は上手に構成して、つじつまを合わせて纏めてくれた。僕はこれほど、上手く読みやすく纏め上げられる君の能力に感心した。そして出来上がったこの話に、とても興味があるんだ」
「興味ですか?」
私は先生が何に関心を持ったのか分からなかったので、私が書いた物を書棚の奥から引っ張り出してきた。
「君は自分でこれを書きながら何か感じなかった?」
自分がまとめた物をぺらぺらとめくりながら、感想をのべた。
「読み物として面白いなと思いました。それと、我が国の歴史が分かる、文化的にも貴重な資料だなと思いました。ただ、これはお爺様の私見もたくさん入っていて、文化的資料というよりはヒストリカルロマンス文学のような気がしました。作業中は、大衆娯楽小説を纏めていた気分でした」
先生は、ハハハ、と、声を出しておかしそうに笑った。
「そうだね。確かに恋の話もあったよね。戦争の話もあり、政治の話もあり、当時の世相、世の中のありさま、社会の様子も細かく記してある。そしてそれを自身の恋愛に絡め、愛憎劇要素もあって読者を引き付ける。難しい歴史書を読むより、よほど勉強になると思ったよ。だって、面白いから」
「そう、ですね。確かに面白いと思いました」
「君が纏めたから、面白く仕上がったんだ。そして、これは書籍として出版できると思う」
「ええ!出版ですか?」
「ああ。これは学院に寄付されたものだから、後はどう使おうがかまわないだろう。かなり前の物で、著作権は消滅している。そもそも寄付された時点で、ラッシュ侯爵はそれを放棄している」
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