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「どうしてお姉様は私に意地悪を言うの?レイン様のことは本当に気が付かなかったの。忙しいお姉様の代わりに私が相手をしなくちゃと思ってしまったの。本当にごめんなさい」
サーシャは綺麗な瞳に涙を浮かべる。
自分が意地悪されていると思っているのね。この子は自分の事をまだ幼い子供だと思っている。
「サーシャ、あなたはもう立派なレディーなの。独身の男性にむやみに近づくべきではなかったわ。それは間違った行動だった」
「ごめんなさい。自分が浅はかだったって反省しているわ。レイン様はお姉様の婚約者で、私のお兄様みたいな方だったから、つい距離が近くなってしまったの。手を握ったりハグをしたかもしれないけれど決してキスはしていないわ。でも、考えなしの行動だった」
「あなたは良かれと思ってやっていたのよね。私のために」
「ええ!そうよ。いつも忙しくて時間がないお姉様の代わりに、私ができる事はないかと思ってレイン様の相手をしていたの。お姉様は私と違ってとても優秀だわ。何でもできて、綺麗で、完璧で。だからお父様の難しいお仕事も、学院での先生たちのお手伝いも、お姉様じゃなきゃできないしそれはとてもすごい事でしょう?だから、少しでもお姉様に近づきたかったのごめんなさい」
仕事や勉強の手伝いはできないけれど、レインの相手はできると思ったのだろう。サーシャは素直だし、単純、そして浅はかだ。
嘘をついていない分、サーシャはとても厄介な子だ。
誰にでも優しく明るく接するこの子は、皆の目には天使のように映るのだろう。
事実、冷たい私の容姿に比べると、色白の小さな顔と、大きくくりんとした目、ブロンドの豊かな巻き毛。
見た目も庇護欲をそそり、小動物のように可愛らしい。
頭の悪さだって逆に天然で好感がもてる。
「わかったわ。サーシャ、私は病み上がりで調子が悪いの。だから、一人になりたい。そっとしておいてほしい」
距離を置きたい。
話をするだけで頭が痛くなってしまう。
「そんなことをおっしゃらないで。大好きなお姉様と仲直りしたいの。私たちは二人だけの姉妹でしょう……」
サーシャが姉として私をちゃんと愛しているのは分かっている。
私が疲れている時にハーブティーを持って来てくれたり、街に出かけたらお土産を買って来てくれたり、いつも私を気遣ってくれている。
けれど、お土産に買って来てくれた流行りのお菓子。私がそれを受け取った時の気持ちは考えない。
ハーブティーを飲んでリラックスする時間が取れないことも知らない。
プレゼントしてくれる香水は、あなた好みの香りでしょう。
たくさんくれる花束もあなたの好きなユリ。花粉が服につくと取れないの。
毎週花を生けてくれる、執務室の大きな花瓶。倒して書類を濡らしてしまったら大変だ。
良かれと思ってやっていることが、全て迷惑だということにサーシャは気が付いていない。
優しいあなたを傷つけないように、私がどれほど気を遣わなければならないか、まったくサーシャは分かっていない。
あなたは悪気がないのよ。そこに私は恐怖を感じるの。
「明日からは学院に通うわ。一緒の馬車で行きましょう。それでいいでしょ?」
「え……と、あのね。レイン様がいつものようにお迎えに来て下さると思うの。だから、お姉様はレイン様の馬車で学園まで行くことになっているわ」
……やられた。
お父様は私に侯爵家の馬車を使わせてくれないようだ。学院まで行くにはレインの馬車に同乗するしかない。
馬車の中だったら、二人きりで話ができるだろうと考えたのだろう。
私が窓から落ちて療養している間に、お父様はレインと話し合ったようだった。
***
「レインはメイベルの夫になると決めている。侯爵家に婿入りするのは、レインの家、ウィスパー伯爵のために、そして将来のためにも必要な事だ。これは政略結婚だとお前も理解しているだろう」
確かに政略結婚の常識で、私も理解して納得していた。
レインがお父様に伝えたらしい私に対する思いは、政略結婚する者の当たり前の答えだ。
家のために、そして将来の自分のためにする結婚。
私も、前世の千鶴の記憶が戻る前までは確かにそう考えていた。
ただし、互いに礼節は重んじるべきだ。
「姉妹である妹に恋心を抱き、妻になる者の前で、その姿を見せつける行為は非道。夫婦になるのなら、守るべき行動や作法、それなりの敬意の表し方があるはずです」
「メイベルは、サーシャに嫉妬しているようにしか見えない。お前はそんな娘ではなかったはずだ。嫉妬や嫉みは卑しいだけだ。今後、サーシャとレインは節度も持って付き合うようにいい聞かせた。婚約者であるお前を差し置いて、二人きりで会うなと言った」
「婚約者をサーシャに変更すれば問題ないでしょう。愛し合っている二人が結ばれるのが一番です」
「何度も同じことを言わせるな。サーシャでは侯爵家の執務を任せられない。レインも今は騎士としてやっていこうと思っている。侯爵家としても、ウィスパー伯爵との結びつきは必要だ」
堂々巡りだ。
私は卑しいのだろうか、嫉妬でサーシャとレインを嫉んでいるのだろうか。
だとしたら、私はどうすればいいのだろう。
このまま婚約が継続されれば、私はまるで愛し合う二人を引き裂く悪役令嬢ではないか。
「侯爵家のための結婚……」
「そうだ。そのために時間をかけて、跡継ぎとしてメイベルに教育を施してきた。だが、お前の話を聞き、今までお前には、大きな責任を背負わせ、いろいろ詰め込み過ぎたと反省している。自由に過ごすサーシャを羨ましいと感じたのは当然だろう」
私はサーシャが羨ましかったのか。
そう言われると腹が立つ。サーシャなんかとは比べられないほど努力した。その自分の今までの軌跡を、真っ向から否定された気分になってしまう。
……けれど。
私が『羨ましかった、嫉妬している』と認めれば、果たしてどうなる?
サーシャは綺麗な瞳に涙を浮かべる。
自分が意地悪されていると思っているのね。この子は自分の事をまだ幼い子供だと思っている。
「サーシャ、あなたはもう立派なレディーなの。独身の男性にむやみに近づくべきではなかったわ。それは間違った行動だった」
「ごめんなさい。自分が浅はかだったって反省しているわ。レイン様はお姉様の婚約者で、私のお兄様みたいな方だったから、つい距離が近くなってしまったの。手を握ったりハグをしたかもしれないけれど決してキスはしていないわ。でも、考えなしの行動だった」
「あなたは良かれと思ってやっていたのよね。私のために」
「ええ!そうよ。いつも忙しくて時間がないお姉様の代わりに、私ができる事はないかと思ってレイン様の相手をしていたの。お姉様は私と違ってとても優秀だわ。何でもできて、綺麗で、完璧で。だからお父様の難しいお仕事も、学院での先生たちのお手伝いも、お姉様じゃなきゃできないしそれはとてもすごい事でしょう?だから、少しでもお姉様に近づきたかったのごめんなさい」
仕事や勉強の手伝いはできないけれど、レインの相手はできると思ったのだろう。サーシャは素直だし、単純、そして浅はかだ。
嘘をついていない分、サーシャはとても厄介な子だ。
誰にでも優しく明るく接するこの子は、皆の目には天使のように映るのだろう。
事実、冷たい私の容姿に比べると、色白の小さな顔と、大きくくりんとした目、ブロンドの豊かな巻き毛。
見た目も庇護欲をそそり、小動物のように可愛らしい。
頭の悪さだって逆に天然で好感がもてる。
「わかったわ。サーシャ、私は病み上がりで調子が悪いの。だから、一人になりたい。そっとしておいてほしい」
距離を置きたい。
話をするだけで頭が痛くなってしまう。
「そんなことをおっしゃらないで。大好きなお姉様と仲直りしたいの。私たちは二人だけの姉妹でしょう……」
サーシャが姉として私をちゃんと愛しているのは分かっている。
私が疲れている時にハーブティーを持って来てくれたり、街に出かけたらお土産を買って来てくれたり、いつも私を気遣ってくれている。
けれど、お土産に買って来てくれた流行りのお菓子。私がそれを受け取った時の気持ちは考えない。
ハーブティーを飲んでリラックスする時間が取れないことも知らない。
プレゼントしてくれる香水は、あなた好みの香りでしょう。
たくさんくれる花束もあなたの好きなユリ。花粉が服につくと取れないの。
毎週花を生けてくれる、執務室の大きな花瓶。倒して書類を濡らしてしまったら大変だ。
良かれと思ってやっていることが、全て迷惑だということにサーシャは気が付いていない。
優しいあなたを傷つけないように、私がどれほど気を遣わなければならないか、まったくサーシャは分かっていない。
あなたは悪気がないのよ。そこに私は恐怖を感じるの。
「明日からは学院に通うわ。一緒の馬車で行きましょう。それでいいでしょ?」
「え……と、あのね。レイン様がいつものようにお迎えに来て下さると思うの。だから、お姉様はレイン様の馬車で学園まで行くことになっているわ」
……やられた。
お父様は私に侯爵家の馬車を使わせてくれないようだ。学院まで行くにはレインの馬車に同乗するしかない。
馬車の中だったら、二人きりで話ができるだろうと考えたのだろう。
私が窓から落ちて療養している間に、お父様はレインと話し合ったようだった。
***
「レインはメイベルの夫になると決めている。侯爵家に婿入りするのは、レインの家、ウィスパー伯爵のために、そして将来のためにも必要な事だ。これは政略結婚だとお前も理解しているだろう」
確かに政略結婚の常識で、私も理解して納得していた。
レインがお父様に伝えたらしい私に対する思いは、政略結婚する者の当たり前の答えだ。
家のために、そして将来の自分のためにする結婚。
私も、前世の千鶴の記憶が戻る前までは確かにそう考えていた。
ただし、互いに礼節は重んじるべきだ。
「姉妹である妹に恋心を抱き、妻になる者の前で、その姿を見せつける行為は非道。夫婦になるのなら、守るべき行動や作法、それなりの敬意の表し方があるはずです」
「メイベルは、サーシャに嫉妬しているようにしか見えない。お前はそんな娘ではなかったはずだ。嫉妬や嫉みは卑しいだけだ。今後、サーシャとレインは節度も持って付き合うようにいい聞かせた。婚約者であるお前を差し置いて、二人きりで会うなと言った」
「婚約者をサーシャに変更すれば問題ないでしょう。愛し合っている二人が結ばれるのが一番です」
「何度も同じことを言わせるな。サーシャでは侯爵家の執務を任せられない。レインも今は騎士としてやっていこうと思っている。侯爵家としても、ウィスパー伯爵との結びつきは必要だ」
堂々巡りだ。
私は卑しいのだろうか、嫉妬でサーシャとレインを嫉んでいるのだろうか。
だとしたら、私はどうすればいいのだろう。
このまま婚約が継続されれば、私はまるで愛し合う二人を引き裂く悪役令嬢ではないか。
「侯爵家のための結婚……」
「そうだ。そのために時間をかけて、跡継ぎとしてメイベルに教育を施してきた。だが、お前の話を聞き、今までお前には、大きな責任を背負わせ、いろいろ詰め込み過ぎたと反省している。自由に過ごすサーシャを羨ましいと感じたのは当然だろう」
私はサーシャが羨ましかったのか。
そう言われると腹が立つ。サーシャなんかとは比べられないほど努力した。その自分の今までの軌跡を、真っ向から否定された気分になってしまう。
……けれど。
私が『羨ましかった、嫉妬している』と認めれば、果たしてどうなる?
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