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メイドの交代

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私は一緒に食事を取らないかとマリリンさんを食堂に誘ってみた。

彼女は遠慮して自分は部屋で食事をしますと言うので、直接コミュニケーションを図るのが難しかった。

バーナードは何度かスコット様のご両親の家に話に行っているようだ。
 とても気になったので、どうだったか様子を尋ねる。

「スコットの両親は、息子の子供だとは認めないと頑なだ。駐屯地でマリリンとスコットは恋人同士だったと言っても信じられないという」

誰の子かわからないような子を自分の孫だとは認めない。と厳しい返答で今のところ取り付く島がないという。

「今後どうされますか?」と聞いてみたけど。

「顔を見ればきっと スコットの子供だとわかるはずだ。時間がかかるかもしれないけど、血を分けた家族だ。必ず孫に会いたいと思うに決まっている。それまではうちの邸で彼女たちの面倒を見るつもりだ」

それがバーナードの答えだった。





「ソフィア様、以前からマリリンさんに付いていたメイドが交代したのを御存じですか?」

ミラが私の部屋に花を飾りながらそう言った。
庭に咲いたラッパ水仙を少し摘んできて、可愛い花瓶に生けてくれている。

「メイドが代わったの?」

マリリンさんは初めての子育てだ。子供を産んだことのある古参のメイドにマリリンさん達の世話を頼んでいた。
あくまでも不便な事がある時の相談役として付けていた者で、世話をするといっても自分たちの事はできるだけ自分でやってもらうようにとことづけていた。

「洗濯とか食事を取りに行くとか、ご自分でできる事はご自分でそろそろやって下さいと担当メイドが申し上げたら、メイド長に自分の使用人を変えて欲しいと願い出たそうです」

まぁ……
かなり驚いた。でも直接本人から聞いたわけではない。

「ダミアからは聞いてないけど……」

「メイド長が旦那様に確認したら、今はまだ客人として接して欲しいと言われたみたいです。旦那様は奥様には自分から伝えるとおっしゃったそうで……」

「そう……」

バーナードは何も言っていなかった。
忙しくて顔を合わせてなかったから、話すタイミングがなかったのかしら。

ミラの事は信用していないわけではないけど、私びいきな所があるから、気を付けて話をしなければならない。

「ありがとうミラ。お花がとてもかわいいわ。いい香りもするから素敵ね」

なんだかいろいろ考えて疲れてしまう。
戦時中のドタバタした中でみんなで一丸となって邸と領地を守っていたころが懐かしい。あの時の方が肉体的にはしんどかった。

けれど苦しいとは思わなかった。
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