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第3話 二度目の人生
しおりを挟む二度目の人生。
気が付いたら病院のベットで目が覚めた。
最初は理由がわからなかった。
時間が経つにつれて自分がタイムリープしたことに気がついた。
「本郷さん、面会にお義母さんがいらっしゃいましたよ」
看護師の人の案内で夫の母親がやってきた。
義母は大量の食べ物を持参している。前回と同じだった。
「まぁまぁ、美鈴さん大丈夫?」
義母の化粧の匂いで気持ちが悪くなった。
恋人だと紹介された当初から、義母は両親がいない私の境遇が気に入らなかったようだ。
結婚してから、会う度平気で嫌味を口にした。
「……はい」
「妊娠は病気じゃないんだから、悪阻くらいで入院なんてして本当に甘えているわね。しっかりしなくちゃ駄目よ」
頷いて無理やり笑みを顔に張り付けた。
1度目の時もそうだった。バナナにミカン、プリンとロールケーキ持参の義母。
視界に入れただけで吐き気が込み上げてきた。
「雄一さんも仕事で忙しいだろうから、あまりお見舞いにこれないでしょう。何かいる物があったら遠慮なく言いなさいね」
「あ、りがとう……ございます」
鼻で呼吸をするのをやめて口で息を吐いた。
起き上がる事ができないので失礼かもしれないが寝たまま話を聞く。
「私の時にはね、悪阻でしんどくても、朝からちゃんと家事をして夫を送り出したわ。赤ちゃんが産まれたらもっと大変なんだから、今から寝てばっかりだと体力が落ちて動けなくなるわよ。無理やりにでも食べなくちゃ元気が出ないわ。食べられそうなものを持って来たから、しっかり食べなさいね。それに、なに、そんなに痩せ細って、お腹の子にちゃんと栄養がいくのかしら、丈夫な子を産むのが母親の務めよ。少しくらい辛くても我慢しなくちゃ」
ひとりでしゃべり続ける義母は相手の気持ちはお構いなしだ。
まるで拡声器のような騒音に耳を塞ぎたくなる。
ガラッッとカーテンを開ける音がして看護師さんが入ってきた。
「ああ……すみません。本郷さん、これから検査がありますので、面会時間は終わりなんです」
「え!そうなの?それならラインで教えてくれなくちゃ駄目じゃない。美鈴さん、今日お見舞いに行くって言ったわよね?私のメッセージちゃんと読んだ?」
返事に戸惑う私の代わりに、看護師さんが義母に告げる。
「申し訳ないです。検査の時間が決まっていないので、本郷さんには分からないんです。スマホも院内ではできるだけ見ないようにお願いしてます。ゆっくり休んでもらうために、ネットの使用は控えてもらってます」
「……すみません」
私は、お義母さんに弱々しく謝った。
看護師さんが入り口までお義母さんを案内してドアを開けた。
仕方ないといった様子で義母は部屋から出て行った。
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