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第8章 悪役令嬢は知られたくない
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次の日の朝早く目が覚めた私は唖然とした。
(ど、どこ?・・・え!?)
別荘の私の部屋で寝たはずなのに、起きたら見知らぬ奇妙な場所に居たのだ。
(オレンジ色の布の天井と壁?・・・それにやたらと狭い)
すると「んんっ」と声がして誰かが右隣で寝がえりをうった。驚いて目をやるとそれはミリーだった。
(え!?)
慌てて身体を起こすと左にはリリーが寝ている。
(こ、これテントじゃん!。なんで私がここに・・・!?)
一瞬パニックになりかけたが、はたっと思いついた。
(アリアナ~~~~~!。やってくれたね!?)
私はテントの中、三角座りで頭を抱えた。
「昨日、夜中にアリアナ様がいらっしゃたのです」
朝食のお皿を並べながらリリーが笑った。
「そうそう、今までテントで寝た事無いからって」
レティもクスクス笑っている。
(そういう事だろうとは思ったけど・・・)
昨日の夜、授業参加者では無い私はクラークに送って貰って別荘に戻った。
(まあね、私も少し寂しかったけどさ)
驚かされたけど、なんだか憎めない。だけど、
「寝るまで4人で話をしてたんです。疲れてたから早く寝てしまいましたけど」
リリーがそう言うのを聞いて、つい羨ましくなってしまった。
「いいなぁ。私もみんなと一緒が良かった」
「一緒にはいたんだけどね。それにしても4人用のテントで良かったわ」
そう言いながらミリアはフライパンのパンケーキをひっくり返そうとした。ところが、
「あっ!?」
「どうしたの?」
「焦げてる・・・それに形も酷いわ」
見ると黒く焦げてぐちゃぐちゃな物体がフライパンにこびりついていた。
「お料理って難しいのね・・・」
ミリアはしょんぼりと眉を下げた。
今回のキャンプはピクニックとは違い、『実戦』と言う言葉に引きずられてか、食事も自分達で準備するようだ。
(普段、お抱えシェフに作って貰ってる貴族にいきなり料理は厳しいでしょうよ)
周りを見ても、パンケーキどころか水を沸かすのにも苦労している。お茶の淹れ方すら知らない様子。
どうも、魔術実技のレブナン先生は理想に突っ走る傾向があるようだ。
私は溜息をついて、
「貸してミリー。私がやってみても良い?。」
「は、はい」
「リリーはお茶の用意をお願いね」
私は慣れた手つきでぱぱっと4人分のパンケーキを作って、お皿の上に乗せていった。
「はい、出来上がり」
ミリアとレティシアの尊敬の眼差しを背中に感じた。
(ふっふっふ、自炊歴10年は伊達じゃないのだよ)
9歳の時から大学に入るまで祖父と二人暮らしだった。パンケーキごとき文字通り朝飯前なのである。
リリーと二人でサラダも作り終えて他のグループに目をやると、
「フライパンなんて持ったことないわ・・・」
「おい!火が消えたぞっ!」
「野菜って洗うのか!?」
「お茶の葉ってどれくらい入れるの?」
どうやら朝食準備だけで阿鼻叫喚の様子である。
私はリリーと顔を見合わせて、
「手伝って来ましょうか?」
手分けして他のグループを手助けする事にした。
二組ほど周ってふと隣を見ると、そこではトラヴィスが見事な円形のパンケーキを焼いていた。フライパンを軽く煽るとパンケーキはくるりとひっくり返り、見本の様なきつね色に焼けている。
「お見事ですね!殿下」
(なんか意外)
そう思いながら近づき小声で、
「驚きました。料理人並みじゃないですか!ねーさん、前世でもやってたんですね」
「ううん、全然」
「えっ?」
トラヴィスは綺麗に焼けたパンケーキを皿に移すとバターを乗せた。
「料理なんて全くしてなかったわよ。100%外食」
「え・・・でも凄く上手ですけど?」
彼はもう一つのパンケーキを焼き始めながら、
「知識さえあればトラヴィスは何でも出来んのよ。設定もそうだったでしょ?」
ふふんっと得意そうに笑って、再び職人のようにパンケーキをひっくり返した。
(チート設定恐るべし・・・)
よく見るとディーンやクリフ、パーシヴァルでさえも、やった事ないであろう食事の準備をてきぱきとこなしている。
(攻略者って・・・)
私の出る幕は無いようだ。
何となく負けた気分で、すごすごと戻ろうとした私をトラヴィスが引き止めた。
「ちょっと待ちなさい。野外授業1週間の間で1日だけ自由日を作ったわ。その日に調査に行くわよ」
早口でそう言った。
「大丈夫ですか?。他の生徒が着いて来そうですけど・・・」
(特に女生徒が)
「クラークに頼んで滝までの道を通行止めにして貰ったわ。私達はあんたの別荘に招かれた事にして裏から出発するわよ」
「なるほど。さすがの悪知恵ですね」
そう言うとフライパンを持ってない方の手で、軽く頭を小突かれた。
(ど、どこ?・・・え!?)
別荘の私の部屋で寝たはずなのに、起きたら見知らぬ奇妙な場所に居たのだ。
(オレンジ色の布の天井と壁?・・・それにやたらと狭い)
すると「んんっ」と声がして誰かが右隣で寝がえりをうった。驚いて目をやるとそれはミリーだった。
(え!?)
慌てて身体を起こすと左にはリリーが寝ている。
(こ、これテントじゃん!。なんで私がここに・・・!?)
一瞬パニックになりかけたが、はたっと思いついた。
(アリアナ~~~~~!。やってくれたね!?)
私はテントの中、三角座りで頭を抱えた。
「昨日、夜中にアリアナ様がいらっしゃたのです」
朝食のお皿を並べながらリリーが笑った。
「そうそう、今までテントで寝た事無いからって」
レティもクスクス笑っている。
(そういう事だろうとは思ったけど・・・)
昨日の夜、授業参加者では無い私はクラークに送って貰って別荘に戻った。
(まあね、私も少し寂しかったけどさ)
驚かされたけど、なんだか憎めない。だけど、
「寝るまで4人で話をしてたんです。疲れてたから早く寝てしまいましたけど」
リリーがそう言うのを聞いて、つい羨ましくなってしまった。
「いいなぁ。私もみんなと一緒が良かった」
「一緒にはいたんだけどね。それにしても4人用のテントで良かったわ」
そう言いながらミリアはフライパンのパンケーキをひっくり返そうとした。ところが、
「あっ!?」
「どうしたの?」
「焦げてる・・・それに形も酷いわ」
見ると黒く焦げてぐちゃぐちゃな物体がフライパンにこびりついていた。
「お料理って難しいのね・・・」
ミリアはしょんぼりと眉を下げた。
今回のキャンプはピクニックとは違い、『実戦』と言う言葉に引きずられてか、食事も自分達で準備するようだ。
(普段、お抱えシェフに作って貰ってる貴族にいきなり料理は厳しいでしょうよ)
周りを見ても、パンケーキどころか水を沸かすのにも苦労している。お茶の淹れ方すら知らない様子。
どうも、魔術実技のレブナン先生は理想に突っ走る傾向があるようだ。
私は溜息をついて、
「貸してミリー。私がやってみても良い?。」
「は、はい」
「リリーはお茶の用意をお願いね」
私は慣れた手つきでぱぱっと4人分のパンケーキを作って、お皿の上に乗せていった。
「はい、出来上がり」
ミリアとレティシアの尊敬の眼差しを背中に感じた。
(ふっふっふ、自炊歴10年は伊達じゃないのだよ)
9歳の時から大学に入るまで祖父と二人暮らしだった。パンケーキごとき文字通り朝飯前なのである。
リリーと二人でサラダも作り終えて他のグループに目をやると、
「フライパンなんて持ったことないわ・・・」
「おい!火が消えたぞっ!」
「野菜って洗うのか!?」
「お茶の葉ってどれくらい入れるの?」
どうやら朝食準備だけで阿鼻叫喚の様子である。
私はリリーと顔を見合わせて、
「手伝って来ましょうか?」
手分けして他のグループを手助けする事にした。
二組ほど周ってふと隣を見ると、そこではトラヴィスが見事な円形のパンケーキを焼いていた。フライパンを軽く煽るとパンケーキはくるりとひっくり返り、見本の様なきつね色に焼けている。
「お見事ですね!殿下」
(なんか意外)
そう思いながら近づき小声で、
「驚きました。料理人並みじゃないですか!ねーさん、前世でもやってたんですね」
「ううん、全然」
「えっ?」
トラヴィスは綺麗に焼けたパンケーキを皿に移すとバターを乗せた。
「料理なんて全くしてなかったわよ。100%外食」
「え・・・でも凄く上手ですけど?」
彼はもう一つのパンケーキを焼き始めながら、
「知識さえあればトラヴィスは何でも出来んのよ。設定もそうだったでしょ?」
ふふんっと得意そうに笑って、再び職人のようにパンケーキをひっくり返した。
(チート設定恐るべし・・・)
よく見るとディーンやクリフ、パーシヴァルでさえも、やった事ないであろう食事の準備をてきぱきとこなしている。
(攻略者って・・・)
私の出る幕は無いようだ。
何となく負けた気分で、すごすごと戻ろうとした私をトラヴィスが引き止めた。
「ちょっと待ちなさい。野外授業1週間の間で1日だけ自由日を作ったわ。その日に調査に行くわよ」
早口でそう言った。
「大丈夫ですか?。他の生徒が着いて来そうですけど・・・」
(特に女生徒が)
「クラークに頼んで滝までの道を通行止めにして貰ったわ。私達はあんたの別荘に招かれた事にして裏から出発するわよ」
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