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第8章 悪役令嬢は知られたくない
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「禁書だからね・・・。誰でもほいほいと部屋に入れちゃいけないのは分かるけど、隠し方がいやらしいのよ。建前では許可があれば入室出来るように見せかけて、その方法を有耶無耶にするなんて」
苦いものを噛んだような顔でトラヴィスは言った。
(隠したのは恐らく何代か前の皇帝、もしくはその血統にあたる人だろう)
トラヴィスにはそれが分かっているのだ。
(昔の皇帝が隠したかった事・・・?)
「ゲームではどう言う内容だったのですか?。それに、そもそもゲームではどうやって禁書ルームに入れたんです?」
「イーサン様が保管していた鍵を盗み出したのよ」
呆れた様子で両手を広げた。
「ようするに力技。厳重に張られていたシールドを、魔術でぶっ壊したってわけ。もちろんイーサン・ルートじゃないと起きないイベントよ。その時に調べたのは確か、闇の組織の地下神殿の場所だったわ」
「という事は、やっぱり闇の組織についての文献がそこにはあるんですね!?」
これでやっと、闇の組織に一歩近づくことが出来る。私は片手で小さくガッツポーズした。
最初は単にイーサンをとっちめたくて調べ始めた事だったが、今は純粋に闇の組織と闇の魔力について知りたかった。
それはイーサンが言ってた『闇の魔力の持ち主は昔から迫害されていた。そして国はそれを隠してきた』という事が気になったから。そして精神魔術を使える者達も、同様に皇国から弾圧を受けていたと言う事実。
(この皇国はゲームで思ってたような、純粋でキラキラした世界では無いんだ)
私は上辺の綺麗さに騙されないで、この国の事をちゃんと知りたいと思ったのだ。
きっとトラヴィスも同じ思いなのかだろう。私に全面的に協力してくれている。・・・いや皇太子という立場の彼は、私よりももっと強い思いを持っているのかもしれない・・・。
「今日からでも入室可能よ。ただし入室許可が出たのは3人まで。私とあんたと・・・、もう一人は誰を連れて行く?」
トラヴィスにそう言われて、私はよーく考えた。考えた上で・・・あまり嬉しくない選択をした。
「・・・ディーンが良いと思います」
トラヴィスは少し意外に思ったのか、片眉を上げて
「へぇ!異論は無いけど、どうして?。てっきりクラークを連れて行くと思ったけど?」
私だってそうしたかった。だけど・・・
「禁書ルームに入るのは、大分目立つ行為ですよね?。皇太子に加えてコールリッジ家の者が二人となると、変な憶測をされそうで・・・」
トラヴィスは腕を組んで、
「確かにね。それで無くても私はコールリッジ家びいきと思われてるからねぇ」
(それは貴方が私を秘書にしてるからでしょ?)
心の中で抗議してみる。
「皇太子ですら許可取りが難しかった場所に行くのですから、多分注目されてるでしょう?。そうなると・・・こういう考えは嫌いなんですが・・・家の権力が強い人を連れて行った方が無難です。後々難癖を付けられても困るので」
「ふうん、確かにねぇ。そうなるとディーン以外に候補はパーシヴァルかクリフ?もしくはグローシアになるけど?」
「皇太子と皇子だと私が目立ち過ぎでしょうが!?。クリフは面倒くさがりなので探し物には向いて無いです。グローシアは私の護衛にばかり気が行きそうなので・・・」
「なるほど、だからディーンな訳ね」
「はい、彼は真面目で集中力もありますから。それに・・・一応、私の婚約者なので一緒行っても不自然でないです・・・」
なんとなく最後の方の声が小さくなってしまう。
「へぇ・・・?」
トラヴィスが意味ありげな視線を寄越してきたので、少しイラっとした。
「・・・なんですか?その目は」
「べっつに~」
そう言って鍵をポケットに入れる。
「じゃ、ディーンを連れて図書館へ行きましょうか。隣の部屋に居るんでしょ?」
「・・・・」
トラヴィスはさっさと執務室がら生徒会の作業部屋に続くドアを開けて出て行く。私は舌打ちしたい気分でその後を付いて行った。
苦いものを噛んだような顔でトラヴィスは言った。
(隠したのは恐らく何代か前の皇帝、もしくはその血統にあたる人だろう)
トラヴィスにはそれが分かっているのだ。
(昔の皇帝が隠したかった事・・・?)
「ゲームではどう言う内容だったのですか?。それに、そもそもゲームではどうやって禁書ルームに入れたんです?」
「イーサン様が保管していた鍵を盗み出したのよ」
呆れた様子で両手を広げた。
「ようするに力技。厳重に張られていたシールドを、魔術でぶっ壊したってわけ。もちろんイーサン・ルートじゃないと起きないイベントよ。その時に調べたのは確か、闇の組織の地下神殿の場所だったわ」
「という事は、やっぱり闇の組織についての文献がそこにはあるんですね!?」
これでやっと、闇の組織に一歩近づくことが出来る。私は片手で小さくガッツポーズした。
最初は単にイーサンをとっちめたくて調べ始めた事だったが、今は純粋に闇の組織と闇の魔力について知りたかった。
それはイーサンが言ってた『闇の魔力の持ち主は昔から迫害されていた。そして国はそれを隠してきた』という事が気になったから。そして精神魔術を使える者達も、同様に皇国から弾圧を受けていたと言う事実。
(この皇国はゲームで思ってたような、純粋でキラキラした世界では無いんだ)
私は上辺の綺麗さに騙されないで、この国の事をちゃんと知りたいと思ったのだ。
きっとトラヴィスも同じ思いなのかだろう。私に全面的に協力してくれている。・・・いや皇太子という立場の彼は、私よりももっと強い思いを持っているのかもしれない・・・。
「今日からでも入室可能よ。ただし入室許可が出たのは3人まで。私とあんたと・・・、もう一人は誰を連れて行く?」
トラヴィスにそう言われて、私はよーく考えた。考えた上で・・・あまり嬉しくない選択をした。
「・・・ディーンが良いと思います」
トラヴィスは少し意外に思ったのか、片眉を上げて
「へぇ!異論は無いけど、どうして?。てっきりクラークを連れて行くと思ったけど?」
私だってそうしたかった。だけど・・・
「禁書ルームに入るのは、大分目立つ行為ですよね?。皇太子に加えてコールリッジ家の者が二人となると、変な憶測をされそうで・・・」
トラヴィスは腕を組んで、
「確かにね。それで無くても私はコールリッジ家びいきと思われてるからねぇ」
(それは貴方が私を秘書にしてるからでしょ?)
心の中で抗議してみる。
「皇太子ですら許可取りが難しかった場所に行くのですから、多分注目されてるでしょう?。そうなると・・・こういう考えは嫌いなんですが・・・家の権力が強い人を連れて行った方が無難です。後々難癖を付けられても困るので」
「ふうん、確かにねぇ。そうなるとディーン以外に候補はパーシヴァルかクリフ?もしくはグローシアになるけど?」
「皇太子と皇子だと私が目立ち過ぎでしょうが!?。クリフは面倒くさがりなので探し物には向いて無いです。グローシアは私の護衛にばかり気が行きそうなので・・・」
「なるほど、だからディーンな訳ね」
「はい、彼は真面目で集中力もありますから。それに・・・一応、私の婚約者なので一緒行っても不自然でないです・・・」
なんとなく最後の方の声が小さくなってしまう。
「へぇ・・・?」
トラヴィスが意味ありげな視線を寄越してきたので、少しイラっとした。
「・・・なんですか?その目は」
「べっつに~」
そう言って鍵をポケットに入れる。
「じゃ、ディーンを連れて図書館へ行きましょうか。隣の部屋に居るんでしょ?」
「・・・・」
トラヴィスはさっさと執務室がら生徒会の作業部屋に続くドアを開けて出て行く。私は舌打ちしたい気分でその後を付いて行った。
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