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第7章 悪役令嬢は目覚めたくない
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いつの間にかクラークの目からは涙が流れていた。
レティシアとグローシアはハンカチが足りない程泣いているし、リリーは綺麗な涙をホロホロこぼしていた(さすがヒロイン!)。
ミリアやジョーですら鼻をすすり上げている。
「両親も僕も、アリアナには好きな事をさせてやりたいと思いました。願いがあるなら全て叶えてやりたかった。行きたい場所があれば何処へでも連れて行ってやりいって思った。だから、最初は無理だと諦めさせていたこの学園に、入学する事も許したのです。だけど、学園への移動中にあの事故が起きました」
(馬車の事故だ!)
思えば全て、この馬車の事故から始まったのだ。
(どうして今まで考えなかったんだろう!?。ゲームでは事故なんて無かったじゃないか!。アリアナは四月からちゃんと学園に通ってた。この世界の一番のイレギュラーはアリアナが事故に遭った事だったんだ)
「事故の後、アリアナは3日間気を失ったままでした。そして目覚めた時・・・」
クラークは両手をグッと握ってから、
「アリアナは彼女に代わっていました」
そう言って目を伏せた。
するとミリアが訝し気な表情で、
「クラーク様は、アリアナ様が・・・違う人物に代わっている事に最初から気付いてたのですか?。なのに、それを受け入れてた・・・どうしてです?」
そう尋ねた。
(そうそう!それを私も知りたかった。クラークは私がアリアナじゃ無いって分かってて、どうして何も言わなかった?。どうして私を『アリアナ』として接してくれてたの?)
クラークは静かな声で、
「それは、彼女がアリアナを助けてくれたからだ。彼女がいなかったアリアナは馬車の事故で命を落としていただろうから・・・」
そう言ったのだ。
(へ?・・・ど、どういう事?。私何もしてないよ?)
だって、気付いたら『アリアナ』だったんだもん。
「学園に向かう道の途中で、僕とアリアナは嵐に巻き込まれました。雷雨の中、ひときわ大きな稲妻が近くに落ちて、その衝撃で馬車は横転してしまったのです。横たわった馬車の中で僕は慌ててアリアナを探して這い寄りました。でも、アリアナは・・・」
クラークは青ざめた顔で唇を噛みしめた。
「アリアナの呼吸は止まっていました。」
「ええ!?」
(えええ!?)
皆と驚きがシンクロしてしまったよ!?。
(と、ちょっと待って、じゃその時アリアナは一度・・・)
「アリアナは一度死んだという事か?」
私の疑問をトラヴィスが代弁してくれた。
「・・・・」
クラークはその問いには答えず、アリアナを気づかわしそうな顔でチラリと見た。彼女は今、いったいどんな表情をしているのだろう?。
「・・・あの時、僕はすっかり動転してしまい、どうしたら良いのか分からず、ただ馬車の中で座り込んでいました・・・。そしてその時、アリアナの身体の中から小さな光が飛び立つのが見えたのです。僕にはそれが、アリアナの精神だと分かりました。・・・逃してしまうと本当にアリアナが死んでしまうと思って、その光を必死で捕まえようとしました。馬車の外まで追いかけて・・・だけど届かなくて・・・雨の中、僕は空に向かって手を伸ばすしかなかった。でもその時雲を割る様に、空から光が・・・」
「光?。稲妻では無く?」
「ええ、光です。大きくて美して、そして力強い光でした。それは、最初どこかへ飛び去ろうとしていました。だけど、恐らくアリアナの精神に気付いたのでしょう・・・少なくとも僕にはそのように見えました。真っすぐ僕達の方へ凄いスピードで降りて来て、アリアナの精神を巻き込むようにして馬車に落ちました。馬車が一瞬、大きく輝いて・・・僕は慌てて駆け寄って扉を開けました。そうしたら・・・アリアナは息を吹き返していたのです」
溜息の様な息づかいが、リビングの中にたくさん響いた。
(そんな事があったんだ・・・)
放心状態にも似た静寂の中、最初に口を開いたのはトラヴィスだった。
「では、その大きな光?・・・が、もしかして?」
「ええ、恐らく殿下やクリフ達の良く知る『アリアナ』でしょう。・・・彼女がアリアナとして目覚めた時、僕も両親も一目で別人だと分かりました」
(そ、そんな・・・結局最初からバレてたってこと!?)
私はがっくり項垂れた・・・あくまでイメージだけどさ。
(そ、それにしてはさ、クラークもアリアナのお父さんとお母さんも、態度に違和感なかったって言うか・・・なんていうか受け入れすぎじゃ無い?。そうだよ!、もうちょっと私に対して警戒心持っても良かったんじゃないか?)
何せ、娘の身体を乗っ取った張本人だよ?
(わ、私はさ、ありがたかったけど。もし私が悪い奴だったらどうするつもりだったのさ?)
「・・・最初に会った彼女は、」
クラークは少しクスクス笑うと、
「自分がアリアナになっている事に酷く驚いている様子でした。何せ鏡を見た途端に、気を失ってしまいましたから」
そうだった・・・、あの時はびっくりしすぎて、目覚めて直ぐに卒倒したんだった。
レティシアとグローシアはハンカチが足りない程泣いているし、リリーは綺麗な涙をホロホロこぼしていた(さすがヒロイン!)。
ミリアやジョーですら鼻をすすり上げている。
「両親も僕も、アリアナには好きな事をさせてやりたいと思いました。願いがあるなら全て叶えてやりたかった。行きたい場所があれば何処へでも連れて行ってやりいって思った。だから、最初は無理だと諦めさせていたこの学園に、入学する事も許したのです。だけど、学園への移動中にあの事故が起きました」
(馬車の事故だ!)
思えば全て、この馬車の事故から始まったのだ。
(どうして今まで考えなかったんだろう!?。ゲームでは事故なんて無かったじゃないか!。アリアナは四月からちゃんと学園に通ってた。この世界の一番のイレギュラーはアリアナが事故に遭った事だったんだ)
「事故の後、アリアナは3日間気を失ったままでした。そして目覚めた時・・・」
クラークは両手をグッと握ってから、
「アリアナは彼女に代わっていました」
そう言って目を伏せた。
するとミリアが訝し気な表情で、
「クラーク様は、アリアナ様が・・・違う人物に代わっている事に最初から気付いてたのですか?。なのに、それを受け入れてた・・・どうしてです?」
そう尋ねた。
(そうそう!それを私も知りたかった。クラークは私がアリアナじゃ無いって分かってて、どうして何も言わなかった?。どうして私を『アリアナ』として接してくれてたの?)
クラークは静かな声で、
「それは、彼女がアリアナを助けてくれたからだ。彼女がいなかったアリアナは馬車の事故で命を落としていただろうから・・・」
そう言ったのだ。
(へ?・・・ど、どういう事?。私何もしてないよ?)
だって、気付いたら『アリアナ』だったんだもん。
「学園に向かう道の途中で、僕とアリアナは嵐に巻き込まれました。雷雨の中、ひときわ大きな稲妻が近くに落ちて、その衝撃で馬車は横転してしまったのです。横たわった馬車の中で僕は慌ててアリアナを探して這い寄りました。でも、アリアナは・・・」
クラークは青ざめた顔で唇を噛みしめた。
「アリアナの呼吸は止まっていました。」
「ええ!?」
(えええ!?)
皆と驚きがシンクロしてしまったよ!?。
(と、ちょっと待って、じゃその時アリアナは一度・・・)
「アリアナは一度死んだという事か?」
私の疑問をトラヴィスが代弁してくれた。
「・・・・」
クラークはその問いには答えず、アリアナを気づかわしそうな顔でチラリと見た。彼女は今、いったいどんな表情をしているのだろう?。
「・・・あの時、僕はすっかり動転してしまい、どうしたら良いのか分からず、ただ馬車の中で座り込んでいました・・・。そしてその時、アリアナの身体の中から小さな光が飛び立つのが見えたのです。僕にはそれが、アリアナの精神だと分かりました。・・・逃してしまうと本当にアリアナが死んでしまうと思って、その光を必死で捕まえようとしました。馬車の外まで追いかけて・・・だけど届かなくて・・・雨の中、僕は空に向かって手を伸ばすしかなかった。でもその時雲を割る様に、空から光が・・・」
「光?。稲妻では無く?」
「ええ、光です。大きくて美して、そして力強い光でした。それは、最初どこかへ飛び去ろうとしていました。だけど、恐らくアリアナの精神に気付いたのでしょう・・・少なくとも僕にはそのように見えました。真っすぐ僕達の方へ凄いスピードで降りて来て、アリアナの精神を巻き込むようにして馬車に落ちました。馬車が一瞬、大きく輝いて・・・僕は慌てて駆け寄って扉を開けました。そうしたら・・・アリアナは息を吹き返していたのです」
溜息の様な息づかいが、リビングの中にたくさん響いた。
(そんな事があったんだ・・・)
放心状態にも似た静寂の中、最初に口を開いたのはトラヴィスだった。
「では、その大きな光?・・・が、もしかして?」
「ええ、恐らく殿下やクリフ達の良く知る『アリアナ』でしょう。・・・彼女がアリアナとして目覚めた時、僕も両親も一目で別人だと分かりました」
(そ、そんな・・・結局最初からバレてたってこと!?)
私はがっくり項垂れた・・・あくまでイメージだけどさ。
(そ、それにしてはさ、クラークもアリアナのお父さんとお母さんも、態度に違和感なかったって言うか・・・なんていうか受け入れすぎじゃ無い?。そうだよ!、もうちょっと私に対して警戒心持っても良かったんじゃないか?)
何せ、娘の身体を乗っ取った張本人だよ?
(わ、私はさ、ありがたかったけど。もし私が悪い奴だったらどうするつもりだったのさ?)
「・・・最初に会った彼女は、」
クラークは少しクスクス笑うと、
「自分がアリアナになっている事に酷く驚いている様子でした。何せ鏡を見た途端に、気を失ってしまいましたから」
そうだった・・・、あの時はびっくりしすぎて、目覚めて直ぐに卒倒したんだった。
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