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第6章 悪役令嬢は利用されたくない
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この後、エメラインはヒロインのリリーを憎むあまりラスボス化して、能力値が普段よりも跳ね上がる。通常ならトラヴィスの方が強いのだけど、この時はヒロインと力を合わせてやっと倒すことが出来るのだ。しかも、トラヴィスとの好感度がかなり上がっていないと、どちらかが殺されると言うバッドエンドになっていた。
(エメラインの強さが、その時と同じになってるとしたら、敵うわけがない。)
エメラインの両手に再び火球が浮かんだ。
「どきなさい・・・。邪魔をするのなら、その女ともども殺してやる。」
(ああああ、このセリフも一緒だぁ!)
やっぱり、ゲームの時と同じセリフを言ってる。万事休すじゃん!。
クリフは肩で息をしている。流れる汗が艶めかしい・・・、なんて思ってる場合じゃない!。このままじゃ、皆やられちゃう。いっそ、私だけエメラインの前に飛び出ようか?と思った時だった。
「やめろ!。エメライン」
(や、やったぁ!。やっと来てくれた!)
私は肩の力が抜けるのが分かった。いけない、まだ油断はできないんだから。
エメラインがゆっくりと声の方を見る。そして、声の主であるトラヴィスの姿を見つけると、その横顔に笑みが広がった。
「トラヴィス様。なぜお止めになるのです?。この女は私とあなたの仲を邪魔する者なのですよ。」
「エメライン・・・私の心には最初からお前は居ない。何故分からないのだ。」
(ん?・・・えええっ!?)
私はこの短いやり取りを聞いて、思いっきりズッコケた。
(待て、待てい!。これって、トラヴィスもゲームと同じセリフ言ってんじゃん!。もしかして、ねーさん、ゲームと同じシーンを楽しんでんじゃないでしょうね!?。若干、小鼻が膨らんでるっての!こっちは生命の危機だっていうのに。)
二人の会話は続く。
「わたくしは、由緒あるセルナク国の王女。このような小娘に負ける事などあってはならない。」
(いやいや、エメライン!。別に私、あんたを負かした事なんてないよ!?)
「エメライン。君は彼女に対し、罪を犯し続けた。これは許しがたい事だ。それに・・・それに、私にとって彼女は必要な人なのだ。」
(ねーさん!!。無理にセリフを言うんじゃないよ!。あんたが必要なのは、裏の仕事をする人でしょうが!)
「お可哀そうにトラヴィス様・・・。すっかりあの女に騙されて・・・。少しばかりお待ちくださいねぇ。あの女を殺して、貴方様の目を醒まさせてあげましょう!」
エメラインが両手を振り上げたと同時に、さっきよりも大きい二つの火球が私に向かって飛んできた。
「ぎゃっ!」
(トラヴィスのあほう!)
「くっ!」
クリフが私を庇う様に両手を広げた。
(駄目だ、焼かれる!)
けれど、炎は私の所まで飛んでくることはなく、エメラインとの中間当たりで弾かれ、空に向かって炎の柱を上げると消えてしまった。そしてその炎のオレンジの光に照らされながら、私とクリフの前には、ディーンとクラークが立っていた。
「ディーン様!。それにお兄様も・・・。」
私はへなへなと座り込んだ。
「アリアナ!。大丈夫だったか!?。可哀そうに・・・。」
クラークが私の元に来ると、心配そうに頬に手を添えた。
(は、はは・・・もう駄目かと思いましたよ。)
それに、まだ終わってはいない。エメラインは悔しそうに顔を歪めた。
「この、しつこい女め!」
エメラインが再び手を振り上げた。けれど、その振り上げた手に向かってバシッと言う音と共に大きな稲妻が走った。トラヴィスが魔術を使ったのだ。
「あああっ!」
エメラインの悲鳴が響く。彼女は咄嗟にシールドを張ったようだが、それを突き抜けて彼女の身体を電撃が走り抜けた。エメラインは崩れる様に、ゆっくりと座り込んだ。
「捕縛魔術をかける。」
トラヴィスがそう言ってパシッと手を打ち鳴らすと、エメラインの身体がビクリと硬直して倒れた。魔術で彼女の身体を縛ったのだろう。エメラインは倒れたまま、動けないようだった。
赤い髪が、まるで血の様に地面に広がっている。それを見るとなんだか胸が痛んだ。
(悪役令嬢か・・・。)
彼女だってこんな役、やりたくなかっただろうに。
モブとは言え、私も同じ立場だった。なんとかすり抜けてきたとはいえ、彼女の姿に自分の姿が重なる様な気がした。
「クラーク、ディーン。手を貸せ。エメラインを拘引する。」
「はい」
クラークは私に笑みを向けて頭をポンっと撫でると、ディーンと共にエメラインの方へ走って行った。
(エメラインの強さが、その時と同じになってるとしたら、敵うわけがない。)
エメラインの両手に再び火球が浮かんだ。
「どきなさい・・・。邪魔をするのなら、その女ともども殺してやる。」
(ああああ、このセリフも一緒だぁ!)
やっぱり、ゲームの時と同じセリフを言ってる。万事休すじゃん!。
クリフは肩で息をしている。流れる汗が艶めかしい・・・、なんて思ってる場合じゃない!。このままじゃ、皆やられちゃう。いっそ、私だけエメラインの前に飛び出ようか?と思った時だった。
「やめろ!。エメライン」
(や、やったぁ!。やっと来てくれた!)
私は肩の力が抜けるのが分かった。いけない、まだ油断はできないんだから。
エメラインがゆっくりと声の方を見る。そして、声の主であるトラヴィスの姿を見つけると、その横顔に笑みが広がった。
「トラヴィス様。なぜお止めになるのです?。この女は私とあなたの仲を邪魔する者なのですよ。」
「エメライン・・・私の心には最初からお前は居ない。何故分からないのだ。」
(ん?・・・えええっ!?)
私はこの短いやり取りを聞いて、思いっきりズッコケた。
(待て、待てい!。これって、トラヴィスもゲームと同じセリフ言ってんじゃん!。もしかして、ねーさん、ゲームと同じシーンを楽しんでんじゃないでしょうね!?。若干、小鼻が膨らんでるっての!こっちは生命の危機だっていうのに。)
二人の会話は続く。
「わたくしは、由緒あるセルナク国の王女。このような小娘に負ける事などあってはならない。」
(いやいや、エメライン!。別に私、あんたを負かした事なんてないよ!?)
「エメライン。君は彼女に対し、罪を犯し続けた。これは許しがたい事だ。それに・・・それに、私にとって彼女は必要な人なのだ。」
(ねーさん!!。無理にセリフを言うんじゃないよ!。あんたが必要なのは、裏の仕事をする人でしょうが!)
「お可哀そうにトラヴィス様・・・。すっかりあの女に騙されて・・・。少しばかりお待ちくださいねぇ。あの女を殺して、貴方様の目を醒まさせてあげましょう!」
エメラインが両手を振り上げたと同時に、さっきよりも大きい二つの火球が私に向かって飛んできた。
「ぎゃっ!」
(トラヴィスのあほう!)
「くっ!」
クリフが私を庇う様に両手を広げた。
(駄目だ、焼かれる!)
けれど、炎は私の所まで飛んでくることはなく、エメラインとの中間当たりで弾かれ、空に向かって炎の柱を上げると消えてしまった。そしてその炎のオレンジの光に照らされながら、私とクリフの前には、ディーンとクラークが立っていた。
「ディーン様!。それにお兄様も・・・。」
私はへなへなと座り込んだ。
「アリアナ!。大丈夫だったか!?。可哀そうに・・・。」
クラークが私の元に来ると、心配そうに頬に手を添えた。
(は、はは・・・もう駄目かと思いましたよ。)
それに、まだ終わってはいない。エメラインは悔しそうに顔を歪めた。
「この、しつこい女め!」
エメラインが再び手を振り上げた。けれど、その振り上げた手に向かってバシッと言う音と共に大きな稲妻が走った。トラヴィスが魔術を使ったのだ。
「あああっ!」
エメラインの悲鳴が響く。彼女は咄嗟にシールドを張ったようだが、それを突き抜けて彼女の身体を電撃が走り抜けた。エメラインは崩れる様に、ゆっくりと座り込んだ。
「捕縛魔術をかける。」
トラヴィスがそう言ってパシッと手を打ち鳴らすと、エメラインの身体がビクリと硬直して倒れた。魔術で彼女の身体を縛ったのだろう。エメラインは倒れたまま、動けないようだった。
赤い髪が、まるで血の様に地面に広がっている。それを見るとなんだか胸が痛んだ。
(悪役令嬢か・・・。)
彼女だってこんな役、やりたくなかっただろうに。
モブとは言え、私も同じ立場だった。なんとかすり抜けてきたとはいえ、彼女の姿に自分の姿が重なる様な気がした。
「クラーク、ディーン。手を貸せ。エメラインを拘引する。」
「はい」
クラークは私に笑みを向けて頭をポンっと撫でると、ディーンと共にエメラインの方へ走って行った。
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