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第6章 悪役令嬢は利用されたくない
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笑みを浮かべて私を見下ろすトラヴィスは壮絶に格好良かったが、そんな呑気な事は考えられないくらい私は焦った。
(う、嘘でしょ、トラヴィス。まさか本気じゃ無いよね?。)
冷や汗が止まらない。
でもトラヴィスがフリーになった場合、家格、年齢、その他もろもろ条件が合うのは確かに『アリアナ』だ。
(じょ、冗談じゃない!。皇太子妃なんてムリムリムリ!。私はロリコン回避して平和に暮らしたいだけなんだよ!?。)
「ごごご、ご冗談を・・・あはは。やだなぁ、殿下。か、からかわないでくださいよ。」
「からかう?私は、至極真面目に言ってるのだが?。」
「ちょ、ちょっと!。なんで顔を近づけて来るんですか!?!。」
「君はイケメンが大好きだろう?。」
「イケメンは、程よい距離で眺めるのが良いんです!」
「ふ~ん。でもたまには触れてみるのも悪くないんじゃないか?。」
(ぎゃ、ぎゃー!)
どんどん顔を近づけて来るトラヴィスに、私はほぼパニック状態だ。
「ね、ねーさん!いい加減にしてください!」
両手で顔を庇いながら、目を瞑って下に逃げた。這い出す様に、トラヴィスの壁ドンから抜け出すと、後ろでクスクス笑う声が聞こえてきた。
(な?何?。)
「くっくっく・・・ほんと、お子様・・・、OK。あんたの為に、しばらく私はねーさんで居てあげるわよ。でも気を付けなさい。自分がどういう立場にいるのか、ちゃんと理解しなさいよ。」
そう言って髪を手で払ったトラヴィスは、いつものアラサーねーさんに戻っていた。
「や、やっぱり、からかってたんですね!?。」
涙目で睨んだ私に呆れたように溜息をついたトラヴィスは、自分の机に戻って座り、私にも座るように椅子を指さした。
「至極真面目に話してるって言ったでしょ?。要は私とあんたがフリーになったら、周りが放っておかないって事。それを忘れないで。あんたのお父さんだって、グスタフよりも私が相手の方が、メリットあるって考えるわよ?。」
「た、確かに・・・。」
コールリッジ家にとっては、その方が絶対絶対都合が良い。
(ま、まずい・・・。このままじゃ、ずーっとディーンと婚約解消できないんじゃ・・・?。)
「理解出来たのなら、授業に戻りなさい。護衛を付けてあげるから。ああ、それから『例の仕事』に関しては新しい案が出来たから。また放課後に話しましょ。」
ドッと疲れている私に向かって、トラヴィスは神々しいまでの微笑を放った。そしてひらひらと手を振ると、引き出しから書類を出して読み始める。もう私の方なんて見もしない。
「・・・失礼します。」
執務室から出て私は扉にもたれると、ずるずると座り込んで頭を抱えた。
(私がヒロイン?。トラヴィスと結婚!?。いや・・・そんな事ありえないから!)
ロリコンと結婚するのも嫌だけど、皇太子妃なんてもっと無理だ!。どうして?私は平和に暮らしたいだけなのに・・・。
うつうつした気分で教室に戻ると、ちょうど授業が終わった所だった。皆それぞれ仲の良いグループで昼食に向かおうとしている。
「あ、アリアナ様!」
ミリアが目ざとく私を見つけて駆け寄ってきた。
「先生の用事は終わったのですか?。なかなか戻られないので心配しましたわ。」
「お昼ごはんを食べ損ねちゃったら大変だもんね。」
ジョージアがミリアの肩に後ろから抱きつきながら両手をまわし、私に笑いかける。レティシアとクリフもやってきて、
「今日は良いお天気ですから中庭のカフェに行きません?。」
「良いな。席が無くなる前に早く行こう。」
と笑顔を私に向ける。
(あ~、ホッとする・・・。)
皆、私が落ち込んでいるのを察してくれているのだろう。その上で何も聞かずに気遣ってくれているのが分かる。問題は山積みのままだけど、さっきまでのモヤモヤした気分が溶けていった。
「ええ、そうしましょう!。え~っと、リリーとディーン様は・・・?」
「あ、二人は・・・。」
微妙な表情でミリアは顔を教室の出口に方へ向ける。そこにはリリーとディーンがマーリンと一緒に立っているのが見えた。
(う、嘘でしょ、トラヴィス。まさか本気じゃ無いよね?。)
冷や汗が止まらない。
でもトラヴィスがフリーになった場合、家格、年齢、その他もろもろ条件が合うのは確かに『アリアナ』だ。
(じょ、冗談じゃない!。皇太子妃なんてムリムリムリ!。私はロリコン回避して平和に暮らしたいだけなんだよ!?。)
「ごごご、ご冗談を・・・あはは。やだなぁ、殿下。か、からかわないでくださいよ。」
「からかう?私は、至極真面目に言ってるのだが?。」
「ちょ、ちょっと!。なんで顔を近づけて来るんですか!?!。」
「君はイケメンが大好きだろう?。」
「イケメンは、程よい距離で眺めるのが良いんです!」
「ふ~ん。でもたまには触れてみるのも悪くないんじゃないか?。」
(ぎゃ、ぎゃー!)
どんどん顔を近づけて来るトラヴィスに、私はほぼパニック状態だ。
「ね、ねーさん!いい加減にしてください!」
両手で顔を庇いながら、目を瞑って下に逃げた。這い出す様に、トラヴィスの壁ドンから抜け出すと、後ろでクスクス笑う声が聞こえてきた。
(な?何?。)
「くっくっく・・・ほんと、お子様・・・、OK。あんたの為に、しばらく私はねーさんで居てあげるわよ。でも気を付けなさい。自分がどういう立場にいるのか、ちゃんと理解しなさいよ。」
そう言って髪を手で払ったトラヴィスは、いつものアラサーねーさんに戻っていた。
「や、やっぱり、からかってたんですね!?。」
涙目で睨んだ私に呆れたように溜息をついたトラヴィスは、自分の机に戻って座り、私にも座るように椅子を指さした。
「至極真面目に話してるって言ったでしょ?。要は私とあんたがフリーになったら、周りが放っておかないって事。それを忘れないで。あんたのお父さんだって、グスタフよりも私が相手の方が、メリットあるって考えるわよ?。」
「た、確かに・・・。」
コールリッジ家にとっては、その方が絶対絶対都合が良い。
(ま、まずい・・・。このままじゃ、ずーっとディーンと婚約解消できないんじゃ・・・?。)
「理解出来たのなら、授業に戻りなさい。護衛を付けてあげるから。ああ、それから『例の仕事』に関しては新しい案が出来たから。また放課後に話しましょ。」
ドッと疲れている私に向かって、トラヴィスは神々しいまでの微笑を放った。そしてひらひらと手を振ると、引き出しから書類を出して読み始める。もう私の方なんて見もしない。
「・・・失礼します。」
執務室から出て私は扉にもたれると、ずるずると座り込んで頭を抱えた。
(私がヒロイン?。トラヴィスと結婚!?。いや・・・そんな事ありえないから!)
ロリコンと結婚するのも嫌だけど、皇太子妃なんてもっと無理だ!。どうして?私は平和に暮らしたいだけなのに・・・。
うつうつした気分で教室に戻ると、ちょうど授業が終わった所だった。皆それぞれ仲の良いグループで昼食に向かおうとしている。
「あ、アリアナ様!」
ミリアが目ざとく私を見つけて駆け寄ってきた。
「先生の用事は終わったのですか?。なかなか戻られないので心配しましたわ。」
「お昼ごはんを食べ損ねちゃったら大変だもんね。」
ジョージアがミリアの肩に後ろから抱きつきながら両手をまわし、私に笑いかける。レティシアとクリフもやってきて、
「今日は良いお天気ですから中庭のカフェに行きません?。」
「良いな。席が無くなる前に早く行こう。」
と笑顔を私に向ける。
(あ~、ホッとする・・・。)
皆、私が落ち込んでいるのを察してくれているのだろう。その上で何も聞かずに気遣ってくれているのが分かる。問題は山積みのままだけど、さっきまでのモヤモヤした気分が溶けていった。
「ええ、そうしましょう!。え~っと、リリーとディーン様は・・・?」
「あ、二人は・・・。」
微妙な表情でミリアは顔を教室の出口に方へ向ける。そこにはリリーとディーンがマーリンと一緒に立っているのが見えた。
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