モブ系悪役令嬢は人助けに忙しい(完結)

優摘

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第6章 悪役令嬢は利用されたくない

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「え?。」

「つまり、この世界はね、リリーじゃなくて、あんたをヒロインだと認識してるって事なのよ。」

最初、トラヴィスがまた私をからかおうと思って、とんでもない冗談を言い始めたのかと思った。けれど、彼の表情は真剣そのもので、本気でそう思っているようだ。

「は?。何を言ってるんですか?。リリーは聖女候補で、私は悪役令嬢ですよ。そんなわけないでしょう。」

また、このねーさんは、何を突飛な事を考え始めたんだろう?。

「エメラインが私を狙ったのは、殿下がそう仕向けたからだって、さっき仰ってたじゃないですか。何度も言いますが、アリアナですよ?私は。悪役で、しかも1部で消えるモブキャラなんですよ。殿下もゲームをやり込んでるなら、良くご存知でしょ?。それとも、私の知らない3部で復活して、活躍したりするんですか?。」

それで、ロリコンと結婚回避できるのなら、ぜひそうであって欲しいけど?。

「残念ながら、ゲームの3部でアリアナを見た事は無いわね・・・。ちょっと!だから、論点はそこじゃ無くてぇ。さっきも言ったように、この世界はゲームのストーリーから、大きく逸れて来てるのは、あんただって認めるでしょ?。」

「ええ・・・まぁ。」

「で、思い出して欲しいのよ。まずは最近起こった、『廃寮に監禁』。これは本来ヒロインのイベントだけど、実際閉じ込められたのは?。」

「・・・私ですけど、これは殿下のせい・・・」

「そうだけど、イベント自体はあんたが中心だったでしょ?。」

「・・・そうですけど・・・。」

なんだか納得がいかない。

「それから、ダンスパーティの時の、『女生徒達に囲まれていびられる』。ゲームでも、ヒロインが女生徒達に絡まれるイベントがあったの覚えてない?。」

(ん?。)

そう言われてみれば、ディーン・ルート以外では、そういうシーンもあったような・・・

「でも、私の場合はモーガン先生の精神魔法の仕業ですし・・・、それにアリアナの断罪イベントが、捻じ曲がって、ああいう形になったのでは?。」

「確かに、ゲームの断罪イベントにも関係してると思うわよ。でもね、女生徒達に囲まれて意地悪されるのって、どうみてもヒロインの立ち位置よね?。それにゲームでもこの世界でも、原因は攻略者と仲良くしている者に対する嫉妬よ!。」

「・・・別に、そうとは限らないと思いますけど・・・。」

納得していない私に対し、トラヴィスはさらに続ける。

「あんたが1年の時のピクニックの話も聞いたわよ。馬車にひかれそうになった所をクリフに助けられたんだって?。さらに湖にも落ちて、今度はディーンに助けられたらしいわね。これも本当ならヒロインのイベントよね?。」

「た、たまたまです!、両方ともリリーと一緒に居た時だったので、巻き込まれただけです。」

確かにあの時は、どうしてヒロインが遭うはずだった事故を肩代わりしてるのか不思議だったけど・・・、

「よく考えたら、トラブル系のイベントにばかり、巻き込まれてるような・・・。どうしてでしょう?。やっぱり私のデフォルトが悪役だからでしょうか!?。」

ヒロインを虐める様なキャラだ。この世界に嫌われててもおかしくない。

焦った私に、トラヴィスは呆れた顔をして、声を大きくした。

「そうじゃないでしょ!。あんたは今、悪役やって無いって自分でも言ってたじゃない。それに、本当にトラブルばっかりだった?。ゲームと内容は違っていたかもしれないけど、胸キュンイベントもあったんじゃ無いの?。」

「む、胸キュン?。」

あったっけ?そんなの。攻略者達が格好良すぎて、一方的にどきどきしたり、にやにやした事はあるけど・・・、

「あっ!。リリーになら、しょっちゅうキュンキュンしてますが。」

そう言った私に、トラヴィスは目を向いて怒鳴りだした。

「ちょっともう!、この恋愛音痴が!。リリーの事は一旦忘れて、周りのイケメンたちを思い出しなさい!。私があんたをヒロインだと思ったのはねぇ!ゲームの攻略対象者の過半数があんたに好意、もしくは関心を持ってるからなのよ。一番の理由はそれなの!。」
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