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第5章 悪役令嬢は絡まれたくない
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「クリフ様はあの時いらっしゃらなかったので、気づかなかったと思いますが、エルドラ達はモーガン先生と、何かしら繋がりがあります。」
「モーガン?。今3年生の担任をしている女性の先生の?」
クリフはピクリと眉を動かした。
「ご存知なのですか!?」
「元侯爵家の方だよ、確か。ただ・・・、父親のモーガン侯爵が犯罪を犯して爵位を剥奪されてから、しばらく行方不明だったんだ。今は、デンゼル公爵の第二夫人になってる。」
「えっ、そうなのですか!?。よくご存じですね。」
「俺の母・・・祖母の実家の遠縁に当たるんだ。だから、この学園の教職に就く時、父が手伝ったんだ。旧姓を名乗っているのは、第二夫人である事を、あまり公にしたくないからみたいだよ。」
(第二夫人か・・・。有力貴族の中には第二、第三と奥さんを持つ人がいるって聞くけど、要はお妾さんの事だよね。家の中が色々揉めそうだなぁ。うちなんかは、両親ラブラブで、そんな影も無いからありがたいけど・・・。
)
「だけど、そのモーガン先生が、どうしてエルドラ嬢と関係があると?。」
クリフの問いに、私は考えをまとめながらゆっくりと答えた。
「まず・・・、エルドラさんは前年度、モーガン先生のクラスだったらしいのです。でも、それよりも、エルドラさん達の態度と言うか、雰囲気というか・・・。」
(う~ん、説明が難しいな。)
「結局、あの時は先生方が来てくれて、騒ぎが治まったのです。その場に居た先生が、エライシャ先生、マリオット先生、そしてモーガン先生。エルドラさん達はエライシャ先生に注意されても、まだ何か言っていたのですが、モーガン先生の一言で大人しくなりました。でもその時の彼女達がまるで・・・。」
「まるで、何?」
「操られてると言うか・・・あまりにも急に素直になって、催眠術にでもかかったような感じだったのです。」
クリフの目がスッと細められた。
「そういう魔術ってありましたよね?。」
「ああ、でもそれは、日常での私用は禁じられている筈だ・・・。」
人間の精神に作用する魔術は、犯罪に利用されると、とても危険だ。過去には国を揺るがす様な、大きな事件もあったらしい。
相手と目を合わすだけで好意を持たせたり、言う事をきかせたり、挙句の果てには人形の様に操ったり・・・、そういう魔力を持つ者は少ないらしいが、一定数はいる。だから見つかった場合は、強制的にそれを封じる魔法具を付けられるのだ。
(そういえば、私がイーサンに眠らされたのも、精神魔術の一つだよね・・・怖っ。あいつ、そっちの魔力も持ってるんだ。)
どこまで能力高いんだよ、あの隠しキャラは、と思いながらクリフを見ると、彼ははすっかり考え込んでしまっている。さすがに、学園の先生が精神魔術を生徒に使っていると言うのは、突飛すぎるだろうか・・・?
「すみません。ちょっと、考えが飛躍しすぎたかもしれませんね。」
私は笑いながらそう言った。でもクリフは真剣な顔を崩そうとしない。
「いや・・・俺も少し気になるから、モーガン先生について、もっと詳しく父に聞いてみるよ。」
「えっ!良いのですか?」
「ああ、それと、マーリン嬢がモーガン先生と関係しているかも、調べた方が良くないか?。」
「そうなんですが・・・。そう言うのって、ミリアが得意なのですが、今はエメライン王女のお世話で忙しそうですから・・・。」
私じゃ目立ちすぎて、こっそり調べると言う風にはいかない。どうしようかな・・・と思っていると、中庭の向こうから誰かが猛スピードで、走って来るのが見えた。しかも髪が長いので女生徒だ。
(すっごいスピード。男子より早いんじゃない?。それにしてもスカートがひるがえり過ぎだよ。・・・ん?)
彼女は真っすぐこちらに向かっていて、何かを叫んでいる。それに・・・あの髪の色って・・・。
「ア、アリアナ様ぁ~~~っ!」
「グ、グローシア!」
グローシアが土煙をあげる勢いで、こちらに走ってきていたのだ。
「ちょ、ちょっとグローシア!スカートで、そんなに走ったら・・・!」
私は、思わず椅子から立ち上がっていた。走ってきたグローシアは私の前で急停止すると、私の前にひざまづいた。
「申し訳ございません!。アリアナ様!。このグローシア、アリアナ様の有事にはせ参じる事が出来きなかった事、大変申し訳なく・・・。」
「そんな事は良いから、立ち上がって!。スカートが汚れるから。」
それに、こんな生徒が大勢いるカフェで、目立ち過ぎでしょ!これじゃ。
「場所を移動しましょう。ノエル様はいらっしゃらないのですか?。」
グローシアはスカートをはたきながら立ち上がった。
「もうすぐ来ます。わたくしは一刻も早く、アリアナ様にお会いしたかったので。」
「そ、それはありがとう・・・。」
クリフはクスクスと笑いながら椅子から立ち上がった。
「俺は、さっきの件について、今から父に手紙を書くよ。ノエルが来たら、そう言っておいて。」
「あ、はい。では、また明日教室で。」
「ああ。」
クリフはそう言って、中庭の芝生を寮の方へ向かって歩いて行った。周りにいる女生徒達が皆、頬を染めながら、ずっとクリフの方を目で追っているのが見えた。
(さすがだよね・・・。ああいう人とさっきから二人きりで喋ってたと思うと、ちょっと不思議な気分だよ。)
「モーガン?。今3年生の担任をしている女性の先生の?」
クリフはピクリと眉を動かした。
「ご存知なのですか!?」
「元侯爵家の方だよ、確か。ただ・・・、父親のモーガン侯爵が犯罪を犯して爵位を剥奪されてから、しばらく行方不明だったんだ。今は、デンゼル公爵の第二夫人になってる。」
「えっ、そうなのですか!?。よくご存じですね。」
「俺の母・・・祖母の実家の遠縁に当たるんだ。だから、この学園の教職に就く時、父が手伝ったんだ。旧姓を名乗っているのは、第二夫人である事を、あまり公にしたくないからみたいだよ。」
(第二夫人か・・・。有力貴族の中には第二、第三と奥さんを持つ人がいるって聞くけど、要はお妾さんの事だよね。家の中が色々揉めそうだなぁ。うちなんかは、両親ラブラブで、そんな影も無いからありがたいけど・・・。
)
「だけど、そのモーガン先生が、どうしてエルドラ嬢と関係があると?。」
クリフの問いに、私は考えをまとめながらゆっくりと答えた。
「まず・・・、エルドラさんは前年度、モーガン先生のクラスだったらしいのです。でも、それよりも、エルドラさん達の態度と言うか、雰囲気というか・・・。」
(う~ん、説明が難しいな。)
「結局、あの時は先生方が来てくれて、騒ぎが治まったのです。その場に居た先生が、エライシャ先生、マリオット先生、そしてモーガン先生。エルドラさん達はエライシャ先生に注意されても、まだ何か言っていたのですが、モーガン先生の一言で大人しくなりました。でもその時の彼女達がまるで・・・。」
「まるで、何?」
「操られてると言うか・・・あまりにも急に素直になって、催眠術にでもかかったような感じだったのです。」
クリフの目がスッと細められた。
「そういう魔術ってありましたよね?。」
「ああ、でもそれは、日常での私用は禁じられている筈だ・・・。」
人間の精神に作用する魔術は、犯罪に利用されると、とても危険だ。過去には国を揺るがす様な、大きな事件もあったらしい。
相手と目を合わすだけで好意を持たせたり、言う事をきかせたり、挙句の果てには人形の様に操ったり・・・、そういう魔力を持つ者は少ないらしいが、一定数はいる。だから見つかった場合は、強制的にそれを封じる魔法具を付けられるのだ。
(そういえば、私がイーサンに眠らされたのも、精神魔術の一つだよね・・・怖っ。あいつ、そっちの魔力も持ってるんだ。)
どこまで能力高いんだよ、あの隠しキャラは、と思いながらクリフを見ると、彼ははすっかり考え込んでしまっている。さすがに、学園の先生が精神魔術を生徒に使っていると言うのは、突飛すぎるだろうか・・・?
「すみません。ちょっと、考えが飛躍しすぎたかもしれませんね。」
私は笑いながらそう言った。でもクリフは真剣な顔を崩そうとしない。
「いや・・・俺も少し気になるから、モーガン先生について、もっと詳しく父に聞いてみるよ。」
「えっ!良いのですか?」
「ああ、それと、マーリン嬢がモーガン先生と関係しているかも、調べた方が良くないか?。」
「そうなんですが・・・。そう言うのって、ミリアが得意なのですが、今はエメライン王女のお世話で忙しそうですから・・・。」
私じゃ目立ちすぎて、こっそり調べると言う風にはいかない。どうしようかな・・・と思っていると、中庭の向こうから誰かが猛スピードで、走って来るのが見えた。しかも髪が長いので女生徒だ。
(すっごいスピード。男子より早いんじゃない?。それにしてもスカートがひるがえり過ぎだよ。・・・ん?)
彼女は真っすぐこちらに向かっていて、何かを叫んでいる。それに・・・あの髪の色って・・・。
「ア、アリアナ様ぁ~~~っ!」
「グ、グローシア!」
グローシアが土煙をあげる勢いで、こちらに走ってきていたのだ。
「ちょ、ちょっとグローシア!スカートで、そんなに走ったら・・・!」
私は、思わず椅子から立ち上がっていた。走ってきたグローシアは私の前で急停止すると、私の前にひざまづいた。
「申し訳ございません!。アリアナ様!。このグローシア、アリアナ様の有事にはせ参じる事が出来きなかった事、大変申し訳なく・・・。」
「そんな事は良いから、立ち上がって!。スカートが汚れるから。」
それに、こんな生徒が大勢いるカフェで、目立ち過ぎでしょ!これじゃ。
「場所を移動しましょう。ノエル様はいらっしゃらないのですか?。」
グローシアはスカートをはたきながら立ち上がった。
「もうすぐ来ます。わたくしは一刻も早く、アリアナ様にお会いしたかったので。」
「そ、それはありがとう・・・。」
クリフはクスクスと笑いながら椅子から立ち上がった。
「俺は、さっきの件について、今から父に手紙を書くよ。ノエルが来たら、そう言っておいて。」
「あ、はい。では、また明日教室で。」
「ああ。」
クリフはそう言って、中庭の芝生を寮の方へ向かって歩いて行った。周りにいる女生徒達が皆、頬を染めながら、ずっとクリフの方を目で追っているのが見えた。
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