モブ系悪役令嬢は人助けに忙しい(完結)

優摘

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第5章 悪役令嬢は絡まれたくない

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新学年、2年生の1年間が始まった。


(あ~、久しぶりだな。この感じ・・・。)


新学年、初日の昼休み。私は中庭で一人、買ってきたサンドイッチを、もしゃもしゃと食べていた。こんな風に一人で食事をするのは、ミリア達と友達になってからは初めてだ。辺りでは、男女それぞれのグループが、楽しそうに、あはは、うふふと談笑しながら、昼食をとっている。

そんな中、どうして私が、ボッチ飯となっているのか?。理由はもちろん、ちゃんとある。

まず、リリーであるが、彼女は予想通り、新学年の始業式で聖女候補に選ばれた。
ゲームの内容と同じで、この国の神官が、この世界の危機を予言したからだ。この危機を救えるのは、光の魔術を使える聖女だけなのだと。

(まんま過ぎて、ちょっと笑っちゃったわ。危機っていったい何なのさ?。ゲームじゃ3部に行かないと分からないのよね。)

聖女候補となれば通常授業に加え、聖女としての修行を兼ねた授業もプラスされるので、昼休みや放課後も補講が入るらしいのだ。

そして、ディーンと、クリフ。彼らは成績優秀で魔力、魔術ともに優れている事から、生徒会からスカウトされたのだ。年度始めという事で、何かと忙しいらしく、昼休みになった途端に呼び出されている。

次にグローシアとノエルであるが、あの二人は成績の関係で、私達とは違うクラスになってしまった。私達は上級クラス。彼らは通常クラスだ。授業のカリキュラムが違うので、休み時間がズレてしまった上に、教室の建物がかなり離れてしまったので、昼休みは挨拶程度にしか会えない。

そして最後にミリア、ジョー、レティの3人であるが・・・、

(あ~あ・・・、まさかこんな事態になるとはね。)

3人は、あろう事か、エメライン王女の、学園内でのお世話係の候補に指名されたのだ。どうも、前のお世話係が、皆卒業するか、学園をやめたらしい。
ミリア達3人はもともと遠い親戚同士らしいのだが、共通の親類がエメライン王女と同郷らしいのだ。その縁で、お世話係にの推薦されたらしいのだが・・・、

(エメライン王女も聖女候補に選ばれた。これはゲームの筋書き通りだ。となると、リリーとはライバル同士になるわけで・・・。)

さすがに、エメラインのお世話係となれば、今までみたいな友人関係を続けるのは難しいだろう。

私は何度目かの溜息をついた。

でも、憂鬱なのは、それだけが理由では無かった。

始業式の後、教室に入った私達は、同じ上級クラスに入れた事を喜び合った。ノエルとグローシアは違うクラスになってしまったが、彼らはそもそも上級クラスを諦めていたようだ。

だが、教室で椅子に座った途端、私はどこからかの視線を感じだ。

(この刺すような視線・・・。)

私には覚えがあった。先月の終業式で、最優秀成績者の表彰中に感じたものと似ていたのだ。

そして、その視線の正体は直ぐに分かった。先生が上級クラスの説明を始めた時だった。後ろの方の席に座っていた一人の女生徒が、手を上げたのだ。そして、

「先生、私、この上級クラスの生徒の選定に疑問があります。」

突然そう言いだしたのだ。

私達のクラスの若い男性の先生は、困ったように眉を下げた。驚いた事に、この先生は、ダンスパーティで私が他の女生徒に絡まれている時に、エライシャ先生と、謎の美人先生と共にやってきたあの男の先生だった。しかも、

(この人が最後の神セブンって訳だ。)

2年生で現れる攻略者の一人、クラス担任の『レナルド・マリオット』なのである。

「どういう事でしょう?。えーっと、マーリン・ファンカムさん。」

マリオット先生は、まだ名前と顔が一致しないのだろう、出席簿を見ながら尋ねた。

マーリン・ファンカムと呼ばれた女生徒は、ミルクティベージュの髪を両肩で結んだ、なかなか可愛らしい容姿をしていた。ヘーゼルナッツ色の瞳も、男子に人気そうだ。

(あれ?。でも、この子。どっかで見たような・・・?)

どこでだっただろう?と思っているうちに、彼女は話を続けた。

「はい、先生!。私、この上級クラスに、魔力を全く持っていない方が入っている事に、不信感を感じています。何か不正があって、このクラスに入っているのではないでしょうか?」

(ん?)

魔力を全く持ってない・・・。てことは魔力ゼロ?!。それって私の事だよね!?。


途端にクラス中がざわざわと、騒然とし始めた。
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