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第3章 悪役令嬢は関わりたくない
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男子達と、馬に乗れるジョーとグローシアは、クラークの案内で少し離れた所まで遠乗りに行ってきたらしい。
「楽しかった~!でも凄くお腹が空いちゃった!。」
ジョーは満面の笑みで馬を降りた。グローシアもクラークと遠乗りに行けたのがうれしかったのか、ニコニコしている。
使用人に運んで貰ったお昼ご飯を、皆で存分に楽しみ、しばらく遊んだ後、私達は帰り支度を始めた。
「夕方近くになると、すぐに涼しくなって来るからね。」
クラークが馬の準備をし始めると、自分の馬を引っ張って来たノエルが、少しもじもじしながら、近づいてきた。
「あのさ、帰りは僕も、二人乗りしてみたいんだけど・・・。」
「ああ、良いんじゃないか。ノエルも馬を操るのが上手くなったよ。」
「うん、遠乗りして、だいぶ慣れてきたから。」
「そうか・・・、じゃあどうしょうかな・・・?」
と兄が考え始めたので、私はすかさず手を上げた。
「では、私がノエル様に乗せて頂きます。」
「えっ!?アリアナが。・・・大丈夫かい?」
クラークは心配そうにしたが、私は押し切った。
「ええ。ノエル様にぜひ乗せて頂きたいです!」
私がそう言うと、ノエルは喜んでにこにこし始めた。素直なノエルの顔を見て、私は少し良心がうずいた。なぜなら、本心では、もう一度パーシヴァルと一緒に乗るのが、気まずかった為なのだから・・・。
(だって、あんな事聞いて、何を話せば良いのよ・・・。)
喜んでいるノエルの横でミリアが難しい顔をしている。
「う~ん、ノエルにアリアナ様を任せるのは心配ですが、確かにアリアナ様以外ですと、ノエルは前が見えないと思います。」
ノエルの身長は、私よりちょっと高いくらいですからと言うミリアに、ノエルは「おい、ミリア~・・・。」と情けない声を上げた。
他の面々は、来た時と同じ組で帰るようだ。グローシアがまた、ミリアをジーっと見てはいたが・・・。
「では、ノエル様、よろしくお願いします。」
私はノエルの手を借りて、先に馬の上に乗った。そして、ノエルが私の後ろに乗り込もうとあぶみに足をかけた時だった。一匹の大きな虻が、ノエルに向かって飛んできたのだ。
「うわっ、なんだ・・・、くそ!こいつ。」
ノエルはそう言って、両手を振って虻を追い払おうとした。そしてそれと同時に、彼は誤って、あぶみにかけていた足で、馬の腹を思いっきり蹴ってしまったのだ。
「ブルルルルッ!」
「うわっ!」
「ひゃっ!」
馬は驚き、前足を上げた。ノエルはあぶみから足を踏み外し、地面に転がった。そして、興奮した馬は、私を背に乗せたまま、猛スピードで走りだしたのだ。
(うううううわぁ~~~~~~!!!!)
私は慌てて馬のたてがみにしがみついた。
「アリアナ!」
「アリアナ様!」
兄や皆の叫ぶ声が聞こえる。
(ちょ、ちょっと待って!待って!待って~!)
恐ろしい事に、馬は崖の方に一直線に向かっていた!
「危ない!」
「アリアナ様!!」
(うそうそ、止まって~~~~~!!)
すっかり頭に血が上った様子の馬は、あろう事か、崖をそのまま走り降りだしたのだ!
「ぎ、ぎゃ~~~~~~~~~~~!」
予想外の事に、私はあまり可愛くない叫び声を上げた。
恐怖のあまり目をつぶってしまったが、前のめりになりながらも、振り落とされない様に必死で馬にしがみついた。思いっきりたてがみを引っ張られて、馬もさぞかし痛かったであろう。
(む、無理無理無理~!もっ、これ以上は・・・。)
何度も言うが、アリアナ(私)は身体が小さくて、幼児体形で、非力なのだ。暴れながら崖を下り降りる馬に、振り落とされるのは時間の問題だった。その時、
「アリアナ!」
馬が蹴った石が転がる、ガラガラと言う音に混じって、私を呼ぶ声が聞こえた。
「アリアナ、手をっ!」
薄く目を開け、声の方を見ると、なんとディーンが自分の馬を操って、私の横で崖を下っていたのだ。そうして、私の方に手を伸ばしている。
(う、うそ、ディーン!?危ないって!)
「こっちに手を!」
ディーンは必死の表情で、私の馬に、自分の馬を寄せてきている。私はなんとか彼の方に手を伸ばそうと、片手を話した。その途端、
(あっ・・・)
激しく首を振った馬に、私の手は離れ、身体が宙に浮くのが分かった。
(終わった・・・。)
為すすべなく振り落とされた私は、地面に叩きつけられるのを覚悟した。
しかし、衝撃に備えて、ぎゅっと力を入れていた私の身体は、突如巻き上がった突風によってフワリと上に浮き上がった。
「う、うわっ」
(な。なにこれ?!)
考える間もなく、私は誰かの腕に抱き取られた。思わずその体にしがみつく。
「どう、どうどう・・・!」
頭の上で、ディーンの声が聞こえ、猛スピードで崖をを下っていた彼の馬は、速度を緩めた。
(サ、サーカス・・・。)
いつの間にか、馬は平地を歩いていた。私は心臓が破れそうなくらいバクバクし、今更ながらに身体がガタガタ震えだした。
「・・・怖かった・・・。」
ぽつりと言うと、涙がこぼれてきた。
(・・・も、もう駄目かと・・・う、うう。)
震えなが泣く私を腕に抱いたまま、ディーンは馬を止めた。そして、
「大丈夫・・・、もう大丈夫だから・・・。」
私の背中を、優しくぽんぽんと叩きながら、そう言った。
木漏れ日が落ちる森の中で、私達はしばらく動かず、そうしていた。
「楽しかった~!でも凄くお腹が空いちゃった!。」
ジョーは満面の笑みで馬を降りた。グローシアもクラークと遠乗りに行けたのがうれしかったのか、ニコニコしている。
使用人に運んで貰ったお昼ご飯を、皆で存分に楽しみ、しばらく遊んだ後、私達は帰り支度を始めた。
「夕方近くになると、すぐに涼しくなって来るからね。」
クラークが馬の準備をし始めると、自分の馬を引っ張って来たノエルが、少しもじもじしながら、近づいてきた。
「あのさ、帰りは僕も、二人乗りしてみたいんだけど・・・。」
「ああ、良いんじゃないか。ノエルも馬を操るのが上手くなったよ。」
「うん、遠乗りして、だいぶ慣れてきたから。」
「そうか・・・、じゃあどうしょうかな・・・?」
と兄が考え始めたので、私はすかさず手を上げた。
「では、私がノエル様に乗せて頂きます。」
「えっ!?アリアナが。・・・大丈夫かい?」
クラークは心配そうにしたが、私は押し切った。
「ええ。ノエル様にぜひ乗せて頂きたいです!」
私がそう言うと、ノエルは喜んでにこにこし始めた。素直なノエルの顔を見て、私は少し良心がうずいた。なぜなら、本心では、もう一度パーシヴァルと一緒に乗るのが、気まずかった為なのだから・・・。
(だって、あんな事聞いて、何を話せば良いのよ・・・。)
喜んでいるノエルの横でミリアが難しい顔をしている。
「う~ん、ノエルにアリアナ様を任せるのは心配ですが、確かにアリアナ様以外ですと、ノエルは前が見えないと思います。」
ノエルの身長は、私よりちょっと高いくらいですからと言うミリアに、ノエルは「おい、ミリア~・・・。」と情けない声を上げた。
他の面々は、来た時と同じ組で帰るようだ。グローシアがまた、ミリアをジーっと見てはいたが・・・。
「では、ノエル様、よろしくお願いします。」
私はノエルの手を借りて、先に馬の上に乗った。そして、ノエルが私の後ろに乗り込もうとあぶみに足をかけた時だった。一匹の大きな虻が、ノエルに向かって飛んできたのだ。
「うわっ、なんだ・・・、くそ!こいつ。」
ノエルはそう言って、両手を振って虻を追い払おうとした。そしてそれと同時に、彼は誤って、あぶみにかけていた足で、馬の腹を思いっきり蹴ってしまったのだ。
「ブルルルルッ!」
「うわっ!」
「ひゃっ!」
馬は驚き、前足を上げた。ノエルはあぶみから足を踏み外し、地面に転がった。そして、興奮した馬は、私を背に乗せたまま、猛スピードで走りだしたのだ。
(うううううわぁ~~~~~~!!!!)
私は慌てて馬のたてがみにしがみついた。
「アリアナ!」
「アリアナ様!」
兄や皆の叫ぶ声が聞こえる。
(ちょ、ちょっと待って!待って!待って~!)
恐ろしい事に、馬は崖の方に一直線に向かっていた!
「危ない!」
「アリアナ様!!」
(うそうそ、止まって~~~~~!!)
すっかり頭に血が上った様子の馬は、あろう事か、崖をそのまま走り降りだしたのだ!
「ぎ、ぎゃ~~~~~~~~~~~!」
予想外の事に、私はあまり可愛くない叫び声を上げた。
恐怖のあまり目をつぶってしまったが、前のめりになりながらも、振り落とされない様に必死で馬にしがみついた。思いっきりたてがみを引っ張られて、馬もさぞかし痛かったであろう。
(む、無理無理無理~!もっ、これ以上は・・・。)
何度も言うが、アリアナ(私)は身体が小さくて、幼児体形で、非力なのだ。暴れながら崖を下り降りる馬に、振り落とされるのは時間の問題だった。その時、
「アリアナ!」
馬が蹴った石が転がる、ガラガラと言う音に混じって、私を呼ぶ声が聞こえた。
「アリアナ、手をっ!」
薄く目を開け、声の方を見ると、なんとディーンが自分の馬を操って、私の横で崖を下っていたのだ。そうして、私の方に手を伸ばしている。
(う、うそ、ディーン!?危ないって!)
「こっちに手を!」
ディーンは必死の表情で、私の馬に、自分の馬を寄せてきている。私はなんとか彼の方に手を伸ばそうと、片手を話した。その途端、
(あっ・・・)
激しく首を振った馬に、私の手は離れ、身体が宙に浮くのが分かった。
(終わった・・・。)
為すすべなく振り落とされた私は、地面に叩きつけられるのを覚悟した。
しかし、衝撃に備えて、ぎゅっと力を入れていた私の身体は、突如巻き上がった突風によってフワリと上に浮き上がった。
「う、うわっ」
(な。なにこれ?!)
考える間もなく、私は誰かの腕に抱き取られた。思わずその体にしがみつく。
「どう、どうどう・・・!」
頭の上で、ディーンの声が聞こえ、猛スピードで崖をを下っていた彼の馬は、速度を緩めた。
(サ、サーカス・・・。)
いつの間にか、馬は平地を歩いていた。私は心臓が破れそうなくらいバクバクし、今更ながらに身体がガタガタ震えだした。
「・・・怖かった・・・。」
ぽつりと言うと、涙がこぼれてきた。
(・・・も、もう駄目かと・・・う、うう。)
震えなが泣く私を腕に抱いたまま、ディーンは馬を止めた。そして、
「大丈夫・・・、もう大丈夫だから・・・。」
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