モブ系悪役令嬢は人助けに忙しい(完結)

優摘

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第3章 悪役令嬢は関わりたくない

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「ノエル?ノエルが神セブンに入ってるわけ無いじゃない。」

ジョーがあっけらかんと言う。

「そうよね・・・、わが弟だけど、それは無いです。」

ミリアも容赦が無い。

「で、でもノエル様は、とても優しい方だと思いますよ。」

私が慌ててフォローのつもりで言うと、ミリアが、

「ありがとうございます。アリアナ様にそう言って頂けて、弟はもう思い残す事は無いと思います。」

なんて、人生最後の様な言い方をする。

(なんか、ノエルって不憫・・・。良い子なのに。)

「ノエルも一応、裏の肖像画のラインナップには入ってましたよ。・・・あまり売れてないようですけど・・・。」

レティが思い出したように言った。

(レティ・・・、フォローになってないよ・・・)


すると、さっきまで黙っていたグローシアが突然立ち上がり、


「わ、わたくしは、クラーク様が一番カッコいいと思います。」

「しーっ、グローシア声を抑えて!」

男子達が一瞬、いぶかしげにこちらを見たが、皆で曖昧な笑みを浮かべて、ごまかした。
私達はテーブルの真ん中に頭を寄せて声を潜めた。

グローシアはもう一度、

「クラーク様が一番だと思いますっ。」

そう言った頬は赤くなってるし、呼吸も荒くなってる・・・。

(グローシア・・・、分かりやす過ぎる・・・)


すると、

「私は3年のケイシー先輩かな?。ミリーのお兄さんなんだけど。」

ジョーがそう言ってニッと笑った。

(・・・ケイシー・・・?。ケイシーって、もしかして、ケイシー・バークレイ?攻略者の一人の。)

確か、バークレイ伯爵家の子息で、男気があって元気印が特徴だった。

(何度か攻略したけど、嫌みの無い明るい性格が好感持てたのよね・・・。そういえば、ミリーと同じ苗字じゃないの!。今頃気付くなんて、うかつだわ!)

思い返すと、ケイシーの設定で兄弟多いって書いてあった気がした。


「ミリーのお兄様も神セブンに入っているのですか?」

「そうよ、リリー。ケイシー様は筋肉系男子なの。」

「き、筋肉系男子!?」


レティの説明に私は目を丸くする。見るとリリーも同じようだった。


「とても、運動神経が良いんですよ。爽やかなイケメンですし。さぁ、今度はミリーよ。あなたは誰が良い?」


すっかり、好きな男子の告白大会みたいになってる。


「え~私?。う~ん、やっぱり皇太子殿下かしら?。学園では一番尊い方ですし・・・。」

さりげなく言ってはいるが、ミリアの頬も赤くなってる。やっぱり女子は好きよね。こういう話。

(皇太子のトラヴィスも神セブンか。攻略者だもんね。)

「そういうレティはどうなの!?。」

ミリアが聞き返す。

「そうねぇ・・・。」

レティの端正な顔が、ピシッと引き締まる。


「ビジュアル的にはクリフ様。でも、ディーン様も違うタイプで捨て難いですわね。全体のバランスを考えると、やはり皇太子殿下かクラーク様・・・。」


クラークの名が出た所で、グローシアが一瞬ピクリと反応する。


「でもパーシヴァル様に遊ばれてみたい感じや、ケイシー様の肉体美も見逃せないです。それに・・・。」

「もう良いわ・・・、レティ。」

ミリアが首を振りながら呆れた声で、止めた。
大人しいと思っていたレティだったけど・・・、

(こうい趣味・・・?があったのね、あはは・・・。)

「さぁ、次はリリーよ。リリーは誰が一番素敵だと思う?」

仕切り直したように、ミリアがリリーに言った。その瞬間、全員の目が真剣になり、リリーに注目した。

「えっ、わ、わたしですか!?。」

リリーが戸惑っている。

(リリーの好きな人・・・。これは聞き逃せない。これからの方針にも関わるし。)

私も思わず息をつめて、リリーの言葉を待った。

「わ、わたしは・・・。」

(ごくりっ!)


「アリアナ!そろそろ、屋敷の中に入ろう。肌寒くなってきたからね。」


私達は全員、ビクッと飛び上がり、声の方を見た。少し離れた男子テーブルから、兄のクラークが手を振っている。


(お、お兄様ぁ・・・!)


私達は渋々屋敷に戻ったが、リリーはホッとした顔をしていた。


(あ~残念!リリーの好きな人が分かるかもしれなかったのに!)


でも、もし他の人と被っていたら、リリーの性格からすると、言わないかもしれない。

(そうよね・・・、ディーンだとしたら、アリアナの前じゃ言えないだろうしなぁ。)

それに、よく考えたらリリーの次は私だったのだ。だから、ここで終わって良かったのかもしれない。婚約者のいる身としては、他の男性の名前をあげる訳にいかないし・・・。

(あ、そっか。だから私は最後だったんだ。)

皆、その辺りは気を使ってくれているのだ。

(でも、皆リリーの好きな相手を聞く時だけは、凄く真剣だったよなぁ。でも・・・そりゃそうか。)

私はちらりとリリーの顔を盗み見て、感嘆の溜息をついた。

(リリーみたいな美少女と、好きな人が被ってたら、超ショックだもんね。)

なんてったって、相手は完全無欠のヒロインなんだから。
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