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閑話2 ディーンの戸惑い
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アリアナに振り回されない学園生活は楽しかった。
授業で、聞いたことも無い、新しい事を習うのは新鮮だった。
親友のパーシヴァルとも同じクラスになれたし、友人たちと昼休みに中庭で、この皇国の未来について語りあったり、1日1日が充実していた。
それに新しい出会いも沢山あった。
私達のクラスには、平民から学園に特待生として入学した女生徒も居た。素晴らしい事に、光の魔力の持ち主だと言う事だ。
彼女の名はリリー・ハートと言った。優しく聡明で、そして淡くピンク色に光る髪の、とても美しい少女だった。
(同じ女の子なのに、アリアナとはえらい違いだ。)
彼女と話すのはとても楽しく、そして有意義だった。それに彼女の笑顔を見ると、心が温かくなるような安心感を覚えた。
だが、平民である彼女は、他の貴族の女生徒からは理不尽な行為を受けているようで、私は心配だった。だから、パーシヴァルと二人で彼女を庇ったり、助けたり、なるべく一緒に居る様にしていたのだ。
アリアナは2週間だっても、学園に来ることは無かった。
私は若干の後ろめたさを感じながら、
(このまま入学しなければ良いのに・・・。)
そんな風にさえ思っていた。
でも、そんな穏やかな日々も終わりを告げる事になった。寮に戻ると1通の手紙が来ていたのだ。私は、差出人がコールリッジ公爵からであるのを見て、心臓がどきりとなった。
(ああ、とうとう来たか・・・。)
手紙の内容は、アリアナが二日後に学園に入学すると言う事。事故のショックもあるだろうから、よろしく頼むとの事だった。
私は手紙を放り投げ、ベッドに後ろ向きに飛びこんだ。
(これで、学園での楽しい生活も終了か・・・。)
そして、彼女の事を思い出すにつれ、どんどん不安が募ってきた。
(アリアナは、私がリリー嬢と話している所を見ると、きっと酷く癇癪を起こすだろう。彼女を虐めるかもしれない。)
そんな事は許せないと思った。我儘なアリアナのせいで、あの優しいリリー嬢が辛い思いをするなんて・・・。
「彼女を守らなくては・・・。」
父には申し訳ないと思ったが、コールリッジ家に逆らう覚悟もしていた。
そして、ふと不思議に思った。
(そういえば・・・、アリアナからの手紙は来てないんだな。)
この1カ月、アリアナからの連絡が全く無かった事に、私はうかつにも気づいてなかったのだ。
そんなこと今までの彼女なら、ありえない事なのに・・・。
二日後、私は一日中神経を尖らせていた。いつアリアナがやってくるかとビクビクしていたのだ。だが、どういう訳か、彼女は全く私の前に姿を現わさなかった。
(日にちが間違っていたのだろうか?。もしかしてまだ学園に来ていない?。)
何にせよ、彼女に会わずに済んだのは良かった。だが、どうせその内やってくるだろうと、重い気持ちだった。
そして、次の日の昼休みの時だった。
「おい、リリー嬢が他の女生徒に連れられて行ったたしいぞ。」
「なんだって!?。」
パーシヴァルが他の生徒から耳にしたらしい。
(しまった!。アリアナの事に気を取られて、リリー嬢の事に気を配ってなかった。)
「中庭の方へ行ったらしいから、手分けして探そう。」
「ああ。」
学園に中庭は広い。私とパーシヴァルは二手に分かれて人気の少ない所を探した。
(なんてことだ。リリー嬢を守ると決めたばかりなのに・・・。)
だが、彼女はなかなか見つからない。私は焦っていた。
(もしかして、裏庭かそれとも校舎の中かも?。)
そう思って、私は校舎の中に飛び込み、いつも人の少ない広い廊下の方へ向かった。すると、
(やっぱり!。)
思った通り、リリー嬢はそこに居た。しかも、それだけではない。
(・・・アリアナ!。)
なんという事だろう。アリアナが彼女と一緒にいたのだ。私はそれを見た瞬間、冷静ではいられなくなった。恐れていた事が起こったと思ったのだ。
(もう、リリー嬢に目を付けたのか!。こんな所に連れ出して虐め行為をするなんて!。)
「何をしている、アリアナ。」
私は怒りを必死で抑えながらそう言った。こんな冷たい口調で、アリアナに話しかけるのは初めてだった。
(今までは、どんなに彼女が癇癪を起こしても、私は寛容であろうとしていた。だが、それももう今日で終わりだ。)
私は覚悟を決めていた。そして二人の間に割り込み、リリー嬢を背中に庇った。
「リリー嬢が女生徒達に連れていかれたと聞いたが、やはり君が首謀者だったんだね。」
そう言うとアリアナは明らかに狼狽えた。
(やっぱりそうか・・・。)
私は憎悪のまま、彼女を睨みつけた。
「あ、あのディーン様、これは・・・」
「君のつまらない言い訳など、聞きたくもない。」
彼女の声すら、聴きたくなかった。
この時の私は、今までアリアナに我慢してきたことへの鬱憤と、リリー嬢を守りたいと言う気持ちで心が高ぶっていたのだと思う。コールリッジ家を敵に回すという事すら、崇高な事に思えたのだ。
だが、そんな私の奢り高ぶった考えは、思わぬ事で打ち消される事となった。
アリアナから守っていたつもりだったリリー嬢が、突然私の前に回り込み、何故か私の方に向き直ったのだ。そして彼女の顔は明らかに、私に対して怒りをたたえていた。
(?・・・。)
そして彼女は、いつもとは違う激しい口調で私をなじった。
「ディーン様!どうしてアリアナ様のお話を聞いて下さらないのですか?!。」
「えっ?。」
「えっ?。」
私とアリアナの驚いた声が重なった。
授業で、聞いたことも無い、新しい事を習うのは新鮮だった。
親友のパーシヴァルとも同じクラスになれたし、友人たちと昼休みに中庭で、この皇国の未来について語りあったり、1日1日が充実していた。
それに新しい出会いも沢山あった。
私達のクラスには、平民から学園に特待生として入学した女生徒も居た。素晴らしい事に、光の魔力の持ち主だと言う事だ。
彼女の名はリリー・ハートと言った。優しく聡明で、そして淡くピンク色に光る髪の、とても美しい少女だった。
(同じ女の子なのに、アリアナとはえらい違いだ。)
彼女と話すのはとても楽しく、そして有意義だった。それに彼女の笑顔を見ると、心が温かくなるような安心感を覚えた。
だが、平民である彼女は、他の貴族の女生徒からは理不尽な行為を受けているようで、私は心配だった。だから、パーシヴァルと二人で彼女を庇ったり、助けたり、なるべく一緒に居る様にしていたのだ。
アリアナは2週間だっても、学園に来ることは無かった。
私は若干の後ろめたさを感じながら、
(このまま入学しなければ良いのに・・・。)
そんな風にさえ思っていた。
でも、そんな穏やかな日々も終わりを告げる事になった。寮に戻ると1通の手紙が来ていたのだ。私は、差出人がコールリッジ公爵からであるのを見て、心臓がどきりとなった。
(ああ、とうとう来たか・・・。)
手紙の内容は、アリアナが二日後に学園に入学すると言う事。事故のショックもあるだろうから、よろしく頼むとの事だった。
私は手紙を放り投げ、ベッドに後ろ向きに飛びこんだ。
(これで、学園での楽しい生活も終了か・・・。)
そして、彼女の事を思い出すにつれ、どんどん不安が募ってきた。
(アリアナは、私がリリー嬢と話している所を見ると、きっと酷く癇癪を起こすだろう。彼女を虐めるかもしれない。)
そんな事は許せないと思った。我儘なアリアナのせいで、あの優しいリリー嬢が辛い思いをするなんて・・・。
「彼女を守らなくては・・・。」
父には申し訳ないと思ったが、コールリッジ家に逆らう覚悟もしていた。
そして、ふと不思議に思った。
(そういえば・・・、アリアナからの手紙は来てないんだな。)
この1カ月、アリアナからの連絡が全く無かった事に、私はうかつにも気づいてなかったのだ。
そんなこと今までの彼女なら、ありえない事なのに・・・。
二日後、私は一日中神経を尖らせていた。いつアリアナがやってくるかとビクビクしていたのだ。だが、どういう訳か、彼女は全く私の前に姿を現わさなかった。
(日にちが間違っていたのだろうか?。もしかしてまだ学園に来ていない?。)
何にせよ、彼女に会わずに済んだのは良かった。だが、どうせその内やってくるだろうと、重い気持ちだった。
そして、次の日の昼休みの時だった。
「おい、リリー嬢が他の女生徒に連れられて行ったたしいぞ。」
「なんだって!?。」
パーシヴァルが他の生徒から耳にしたらしい。
(しまった!。アリアナの事に気を取られて、リリー嬢の事に気を配ってなかった。)
「中庭の方へ行ったらしいから、手分けして探そう。」
「ああ。」
学園に中庭は広い。私とパーシヴァルは二手に分かれて人気の少ない所を探した。
(なんてことだ。リリー嬢を守ると決めたばかりなのに・・・。)
だが、彼女はなかなか見つからない。私は焦っていた。
(もしかして、裏庭かそれとも校舎の中かも?。)
そう思って、私は校舎の中に飛び込み、いつも人の少ない広い廊下の方へ向かった。すると、
(やっぱり!。)
思った通り、リリー嬢はそこに居た。しかも、それだけではない。
(・・・アリアナ!。)
なんという事だろう。アリアナが彼女と一緒にいたのだ。私はそれを見た瞬間、冷静ではいられなくなった。恐れていた事が起こったと思ったのだ。
(もう、リリー嬢に目を付けたのか!。こんな所に連れ出して虐め行為をするなんて!。)
「何をしている、アリアナ。」
私は怒りを必死で抑えながらそう言った。こんな冷たい口調で、アリアナに話しかけるのは初めてだった。
(今までは、どんなに彼女が癇癪を起こしても、私は寛容であろうとしていた。だが、それももう今日で終わりだ。)
私は覚悟を決めていた。そして二人の間に割り込み、リリー嬢を背中に庇った。
「リリー嬢が女生徒達に連れていかれたと聞いたが、やはり君が首謀者だったんだね。」
そう言うとアリアナは明らかに狼狽えた。
(やっぱりそうか・・・。)
私は憎悪のまま、彼女を睨みつけた。
「あ、あのディーン様、これは・・・」
「君のつまらない言い訳など、聞きたくもない。」
彼女の声すら、聴きたくなかった。
この時の私は、今までアリアナに我慢してきたことへの鬱憤と、リリー嬢を守りたいと言う気持ちで心が高ぶっていたのだと思う。コールリッジ家を敵に回すという事すら、崇高な事に思えたのだ。
だが、そんな私の奢り高ぶった考えは、思わぬ事で打ち消される事となった。
アリアナから守っていたつもりだったリリー嬢が、突然私の前に回り込み、何故か私の方に向き直ったのだ。そして彼女の顔は明らかに、私に対して怒りをたたえていた。
(?・・・。)
そして彼女は、いつもとは違う激しい口調で私をなじった。
「ディーン様!どうしてアリアナ様のお話を聞いて下さらないのですか?!。」
「えっ?。」
「えっ?。」
私とアリアナの驚いた声が重なった。
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