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第2章 悪役令嬢は巻き込まれたくない
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この一連の騒動はちょうどテスト前から始まり、テスト期間中も続いていた。
私が父に手紙を書いたのは、一番難しいと言われるエライシャ先生のテストを控えた前の晩だ。
良くこんな騒ぎの中で、学年1位が取れたもんだと、自分で自分を褒めてやりたいくらいである。
そしてやっとこのゴタゴタが収まってホッとした頃だった。
事の原因となったグローシア嬢が、突然私の部屋にやってきたのだ。
そして、
「わたくし、アリアナ様に生涯の忠誠を誓いますわっ!」
そう、高らかに宣言したのだ。
(えっ?)
グローシアは私の足元に膝まづき、左手を胸に当て、そして右手を捧げるように私に向かって伸ばした。その眼はきらきらと言うより、ぎらぎらと光っていたように思う。
(どゆこと?)
私は若干のけ反って、額に汗が流れた。
「あ、あの忠誠っていったい・・・?」
「わたくし、今回の事で自分の至らなさ、未熟さ、狭量さを痛感致しましたの。そしてアリアナ様の清廉さ、聡明さ、寛大さに感銘を受けましたわ。」
「は、はぁ・・・。」
「ですから、わたくしはこの身を一生かけて、アリアナ様に捧げる事に致しましたの!」
「はい、・・・はっ?・・・えええええっ?」
聞けば、ボルネス家は昔から騎士の家系であり、代々帝都近くの国境を隣国から守って来たらしい。
その騎士道精神と矜持は娘のグローシアにもしっかり教育されているようで・・・。
「アリアナ様の身を守って死ぬことこそ、我幸せ。もし叶わぬならその剣をもってわが身を刺したまへ・・・。」
(いやいやいや、そんな事急に言われたって、それに剣って、そんなもん無いじゃんよ?!ど、どうしたら・・・?)
正直焦ったし、引いてもいた。顔も引きつっていたと思う。
(でも、このままにはしておけないし・・・、もうっ)
「あ、あ~、とりあえず、弱者には優しくね。」
そう言ってとんとんと、グローシアの肩を叩いた。
グローシアは感動に目を潤ませながら、叩いた肩に触れ、
「有難き幸せ。わたくし、アリアナ様のお言葉を命かけて守り続けますわ。」
そう言って、涙を流した。
(いや、命はかけんでくれいっ!)
それ以来、グローシアは授業中と寮に居る時以外、私を陰で見守っているらしい。
本当は傍に居たいようなのだが、一度ミリア達と揉めたことがあり、それを私が注意してからは、姿は見せないようにしている。まるでストーカーのようで、ちょっと恐ろしい・・・。
「別に皆で仲良くすればいいじゃない。それにこのお菓子、美味しいわよ。ミリー食べないの?」
平和主義で楽天的なジョージアは、どんどんお菓子を口に放り込みながら、のほほんとしている。
それとは対照的にレティシアは、
「でも、あの方リリーを虐めていたのでしょう?」
心配そうな顔をリリーに向けた。
「ええ・・・、以前は少し厳しい事を言われましたが、でも最近は良くしてくださいます。」
「あら、そうなの?」
「はい、他の方に何か言われた時など、庇ってくださったり、注意してくれたり。」
(ああ、弱者に優しくねって言ったこと、守ってるんだ。)
なにしろ本人、騎士だから。
「へー!?良いとこあるじゃないの。」
ジョーが感心したようにそう言ってミリアに顔を向けたが、ミリアはつんと顔をそむけた。
ジョーは肩をすくめ、私は2度目の溜息をついた。
そんなごちゃごちゃした事はあったが、私の生活はおおむね平和だった。
(最近はディーンとも関わってないし、もうすぐ夏休みだしね。)
ディーンと言えば学年の成績は、私の次の2位だった。本来のゲームの世界では彼は成績トップだったはずである。
(くっくっく、まさかアリアナに1位を奪われるとは思ってなかったわよね。あ~愉快、愉快。)
ディーンが歯噛みしている様子を思い浮かべて、私は一人楽しんでいた。だが、そんな意地悪い想像をしていたせいだろうか?どうやら罰が当たってしまった。
私が父に手紙を書いたのは、一番難しいと言われるエライシャ先生のテストを控えた前の晩だ。
良くこんな騒ぎの中で、学年1位が取れたもんだと、自分で自分を褒めてやりたいくらいである。
そしてやっとこのゴタゴタが収まってホッとした頃だった。
事の原因となったグローシア嬢が、突然私の部屋にやってきたのだ。
そして、
「わたくし、アリアナ様に生涯の忠誠を誓いますわっ!」
そう、高らかに宣言したのだ。
(えっ?)
グローシアは私の足元に膝まづき、左手を胸に当て、そして右手を捧げるように私に向かって伸ばした。その眼はきらきらと言うより、ぎらぎらと光っていたように思う。
(どゆこと?)
私は若干のけ反って、額に汗が流れた。
「あ、あの忠誠っていったい・・・?」
「わたくし、今回の事で自分の至らなさ、未熟さ、狭量さを痛感致しましたの。そしてアリアナ様の清廉さ、聡明さ、寛大さに感銘を受けましたわ。」
「は、はぁ・・・。」
「ですから、わたくしはこの身を一生かけて、アリアナ様に捧げる事に致しましたの!」
「はい、・・・はっ?・・・えええええっ?」
聞けば、ボルネス家は昔から騎士の家系であり、代々帝都近くの国境を隣国から守って来たらしい。
その騎士道精神と矜持は娘のグローシアにもしっかり教育されているようで・・・。
「アリアナ様の身を守って死ぬことこそ、我幸せ。もし叶わぬならその剣をもってわが身を刺したまへ・・・。」
(いやいやいや、そんな事急に言われたって、それに剣って、そんなもん無いじゃんよ?!ど、どうしたら・・・?)
正直焦ったし、引いてもいた。顔も引きつっていたと思う。
(でも、このままにはしておけないし・・・、もうっ)
「あ、あ~、とりあえず、弱者には優しくね。」
そう言ってとんとんと、グローシアの肩を叩いた。
グローシアは感動に目を潤ませながら、叩いた肩に触れ、
「有難き幸せ。わたくし、アリアナ様のお言葉を命かけて守り続けますわ。」
そう言って、涙を流した。
(いや、命はかけんでくれいっ!)
それ以来、グローシアは授業中と寮に居る時以外、私を陰で見守っているらしい。
本当は傍に居たいようなのだが、一度ミリア達と揉めたことがあり、それを私が注意してからは、姿は見せないようにしている。まるでストーカーのようで、ちょっと恐ろしい・・・。
「別に皆で仲良くすればいいじゃない。それにこのお菓子、美味しいわよ。ミリー食べないの?」
平和主義で楽天的なジョージアは、どんどんお菓子を口に放り込みながら、のほほんとしている。
それとは対照的にレティシアは、
「でも、あの方リリーを虐めていたのでしょう?」
心配そうな顔をリリーに向けた。
「ええ・・・、以前は少し厳しい事を言われましたが、でも最近は良くしてくださいます。」
「あら、そうなの?」
「はい、他の方に何か言われた時など、庇ってくださったり、注意してくれたり。」
(ああ、弱者に優しくねって言ったこと、守ってるんだ。)
なにしろ本人、騎士だから。
「へー!?良いとこあるじゃないの。」
ジョーが感心したようにそう言ってミリアに顔を向けたが、ミリアはつんと顔をそむけた。
ジョーは肩をすくめ、私は2度目の溜息をついた。
そんなごちゃごちゃした事はあったが、私の生活はおおむね平和だった。
(最近はディーンとも関わってないし、もうすぐ夏休みだしね。)
ディーンと言えば学年の成績は、私の次の2位だった。本来のゲームの世界では彼は成績トップだったはずである。
(くっくっく、まさかアリアナに1位を奪われるとは思ってなかったわよね。あ~愉快、愉快。)
ディーンが歯噛みしている様子を思い浮かべて、私は一人楽しんでいた。だが、そんな意地悪い想像をしていたせいだろうか?どうやら罰が当たってしまった。
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