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第2部 自由
魔力測定
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クレアはアーサーの指示により手のひらを広げ、彼が測定器をかざすとチリリンという音がした。
「どうやら、やはり君に魔力はないようだ」
「左様ですか……」
魔力がないのに魔法のような力が使える。
考えてみると、どうにも不思議で腑に落ちない話だった。
「そもそも、魔力があるから魔法を使えるというわけではないが、魔力がなければ魔法は使えないというのが通説だ」
「左様なのですね」
そういうものなのだろうとは思っていたが、改めて説明をしてもらうと、ますますクレアの力は何なのだろうと思う。
「それに、気になる点は君の力は再生の力だけではないことだ。先ほど薔薇を持ってきただろう」
その言葉に、クレアはハッと気がついた。
「はい。薔薇は再生というよりも成長しました」
アーサーは頷いた。
「再生魔法ではなく、特別な何かなのだろうか」
「特別な何か……」
そういえば以前乳母が「クレアには希望がある」と言っていた。もしかしたら故郷に帰ればクレアの力の正体が判明するのかもしれない。
「ともかく、現状では推測しか立てられないな。俺も調査しておく」
「ありがとうございます」
返事をしたものの、アーサーの言葉のあることが気にかかり、彼にそのことを訊ねてみたい衝動に駆られた。
「あの、アーサー様」
「何だろうか」
「以前から訊いてみたかったのですが、……アーサー様はご自身のことを『俺』と呼ぶのですね」
「あ、ああ。そうだな」
予想外の質問だったのか、少々言葉を濁らせた。
「……元々、公の場でなければ俺と言っていたんだ。君は気心がしれているし構わないかと思ったのだが」
瞬間、クレアの瞳が輝いた。加えて潤んでもいる。
「……そうだったのですね」
「悪い、君が嫌なら戻すが」
「いいえ! そのままがよいです!」
クレアは珍しく机に両手をつき、アーサーの机に身を乗り出した。
「差し支えがなければ、そのまま俺って言って欲しいです!」
普段とは違うクレアの様子にアーサーはたじろくが、深く頷いた。
「君が望むならそうしよう」
「はい」
クレアはなんて大胆なことを言ってしまったのだろうかと思ったが、アーサーの笑顔をみると後悔の念は薄れていったのだった。
「どうやら、やはり君に魔力はないようだ」
「左様ですか……」
魔力がないのに魔法のような力が使える。
考えてみると、どうにも不思議で腑に落ちない話だった。
「そもそも、魔力があるから魔法を使えるというわけではないが、魔力がなければ魔法は使えないというのが通説だ」
「左様なのですね」
そういうものなのだろうとは思っていたが、改めて説明をしてもらうと、ますますクレアの力は何なのだろうと思う。
「それに、気になる点は君の力は再生の力だけではないことだ。先ほど薔薇を持ってきただろう」
その言葉に、クレアはハッと気がついた。
「はい。薔薇は再生というよりも成長しました」
アーサーは頷いた。
「再生魔法ではなく、特別な何かなのだろうか」
「特別な何か……」
そういえば以前乳母が「クレアには希望がある」と言っていた。もしかしたら故郷に帰ればクレアの力の正体が判明するのかもしれない。
「ともかく、現状では推測しか立てられないな。俺も調査しておく」
「ありがとうございます」
返事をしたものの、アーサーの言葉のあることが気にかかり、彼にそのことを訊ねてみたい衝動に駆られた。
「あの、アーサー様」
「何だろうか」
「以前から訊いてみたかったのですが、……アーサー様はご自身のことを『俺』と呼ぶのですね」
「あ、ああ。そうだな」
予想外の質問だったのか、少々言葉を濁らせた。
「……元々、公の場でなければ俺と言っていたんだ。君は気心がしれているし構わないかと思ったのだが」
瞬間、クレアの瞳が輝いた。加えて潤んでもいる。
「……そうだったのですね」
「悪い、君が嫌なら戻すが」
「いいえ! そのままがよいです!」
クレアは珍しく机に両手をつき、アーサーの机に身を乗り出した。
「差し支えがなければ、そのまま俺って言って欲しいです!」
普段とは違うクレアの様子にアーサーはたじろくが、深く頷いた。
「君が望むならそうしよう」
「はい」
クレアはなんて大胆なことを言ってしまったのだろうかと思ったが、アーサーの笑顔をみると後悔の念は薄れていったのだった。
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