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16章 『秘薬』の開発
第152話 残飯漁りの野良犬にしてはよくやるよ
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俺は怯えるようにして振り返ってきた盗賊のリーダーの肩に片手を置くと、優しく笑みを向けてやる。今さらになって誰に喧嘩を売ったのかを理解した盗賊連中は、怯えた様子で俺へと視線を返してきた。
そんな哀れな子羊達を前に、俺は紳士然とした様子で言葉を返してやる。
「おいおい、そんな目で見るなよ? せっかくお前達の鬼ごっこに付き合ってやったんだ。もう少し嬉しそうにしたらどうだ?」
「な……なんでだよ……なんでお前……用心棒の奴らはどうしたんだよ……?」
俺に肩を叩かれた盗賊のリーダーはどうにかそれだけを口にすると、息を飲むようにして喉を鳴らす。
そんな恐怖に満ちた男に、優しい俺は懇切丁寧に話を返していく。
「なに、少し運命的な出会いを感じて祝ってやっただけさ。まさか、盗人に雇われてた用心棒が知人だったなんてな。運命ってのはあるもんだ」
「知人……?」
「ああ、直接的なものじゃないがね。あの連中はとある事件で俺が仕留めたクズが雇ってた用心棒だったんだよ。性根から腐ってた連中だが、お前のおかげで引導を渡してやれたよ」
「は……はは……数十人は雇ってたんだぜ? あの水にはそれだけの価値があると思って……」
「これはお目が高い、『秘薬』の価値にすぐに気が付いたか。まあ、価値が分かるがゆえに手を出しちゃいけない禁断の果実に手を出したのはまずかったな」
明らかに動揺している盗賊だが、そんな中でもどうにか周囲の手下に目配せしているのが分かる。どうやら、後ろから奇襲でも掛けようとしているらしい。
それに気付きつつも、俺は手下の一人だろう男がゆっくりと後ろから近付くのを見計らい、そちらを振り向かないまま声を掛けた。
「ちゃんと狙った方が良い。そんな小さいナイフでは致命傷を与えるのは難しいからな」
「え……?」
「なっ―!?」
俺がそう口にすると、後ろから迫っていた手下の一人と目の前のリーダーが声を上げる。
バレていないはずだ……そう思っていたのだろう。
あまりにもお粗末な行動に俺はやれやれと肩を竦めてみせると、ゆっくりと背後から近付こうとしていた手下の一人の方へ振り返りながら言葉を投げ掛けてやる。
「どうした? せっかくアドバイスをしてやったんだ。一撃を狙うなら羽交い締めにした後に喉をやれば良い。その位置からなら気付いた時にはもう遅いだろう。いやはや、なかなかに良い連携じゃないか。盗賊風情と侮ってる連中を殺るには十分だ。残飯漁りをする野良犬にしてはよくやるよ」
「あ……いや……」
「どうした? 焦りが見えるぞ? 俺の命を取るんだろ? 愛しの頭を助けたいなら、ここで命を張らないでどうするよ?」
俺に振り向かれ、ナイフを持ったまま立ち尽くす手下の一人。
ただ目を向けただけだというのに、まるで地面に足が張り付いてしまったように動かない手下に、リーダーの男が焦りと苛立ちの混じった声を上げた。
「ば、馬鹿野郎! 何してんだ!? とっとと殺すんだよ、このカスが! こいつを殺して、早く俺を助けろってんだよ!」
そんな哀れな子羊達を前に、俺は紳士然とした様子で言葉を返してやる。
「おいおい、そんな目で見るなよ? せっかくお前達の鬼ごっこに付き合ってやったんだ。もう少し嬉しそうにしたらどうだ?」
「な……なんでだよ……なんでお前……用心棒の奴らはどうしたんだよ……?」
俺に肩を叩かれた盗賊のリーダーはどうにかそれだけを口にすると、息を飲むようにして喉を鳴らす。
そんな恐怖に満ちた男に、優しい俺は懇切丁寧に話を返していく。
「なに、少し運命的な出会いを感じて祝ってやっただけさ。まさか、盗人に雇われてた用心棒が知人だったなんてな。運命ってのはあるもんだ」
「知人……?」
「ああ、直接的なものじゃないがね。あの連中はとある事件で俺が仕留めたクズが雇ってた用心棒だったんだよ。性根から腐ってた連中だが、お前のおかげで引導を渡してやれたよ」
「は……はは……数十人は雇ってたんだぜ? あの水にはそれだけの価値があると思って……」
「これはお目が高い、『秘薬』の価値にすぐに気が付いたか。まあ、価値が分かるがゆえに手を出しちゃいけない禁断の果実に手を出したのはまずかったな」
明らかに動揺している盗賊だが、そんな中でもどうにか周囲の手下に目配せしているのが分かる。どうやら、後ろから奇襲でも掛けようとしているらしい。
それに気付きつつも、俺は手下の一人だろう男がゆっくりと後ろから近付くのを見計らい、そちらを振り向かないまま声を掛けた。
「ちゃんと狙った方が良い。そんな小さいナイフでは致命傷を与えるのは難しいからな」
「え……?」
「なっ―!?」
俺がそう口にすると、後ろから迫っていた手下の一人と目の前のリーダーが声を上げる。
バレていないはずだ……そう思っていたのだろう。
あまりにもお粗末な行動に俺はやれやれと肩を竦めてみせると、ゆっくりと背後から近付こうとしていた手下の一人の方へ振り返りながら言葉を投げ掛けてやる。
「どうした? せっかくアドバイスをしてやったんだ。一撃を狙うなら羽交い締めにした後に喉をやれば良い。その位置からなら気付いた時にはもう遅いだろう。いやはや、なかなかに良い連携じゃないか。盗賊風情と侮ってる連中を殺るには十分だ。残飯漁りをする野良犬にしてはよくやるよ」
「あ……いや……」
「どうした? 焦りが見えるぞ? 俺の命を取るんだろ? 愛しの頭を助けたいなら、ここで命を張らないでどうするよ?」
俺に振り向かれ、ナイフを持ったまま立ち尽くす手下の一人。
ただ目を向けただけだというのに、まるで地面に足が張り付いてしまったように動かない手下に、リーダーの男が焦りと苛立ちの混じった声を上げた。
「ば、馬鹿野郎! 何してんだ!? とっとと殺すんだよ、このカスが! こいつを殺して、早く俺を助けろってんだよ!」
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