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異世界転生の闇 3
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12時10分、佐藤和也はそそくさと校門から出てきた。
今日は始業式のため、早く学校が終わる日であった。
急いで家に帰り、録画していたアニメを見ようと思っていた佐藤は少し注意散漫だった。
横断歩道を走り抜けようとした佐藤の横から車が突っ込み佐藤の目の前は真っ暗になった。
目が覚めるとそこは見知らぬ世界であった。なぜか目の前には眉間に皺を寄せて、怒り狂った顔をしたイケメンがいた。
佐藤はこいつを知っている。
「見損なったぞアルベルト!お前がそんな手段でクリスティーナを手に入れようとするとはな!」
最悪だ。
佐藤は自身が好きであったアニメ、「ライトニング・ワールド」の登場人物であり、主人公のかませ犬、アルベルト・グレインに転生したのだと悟った。
アルベルトは性格が悪く、横柄なやつである。
そして、見た目が綺麗な聖女クリスティーナ・セレンを力づく自分のものにしようとするのである。しかし、主人公アレンの力により失敗する。
これに腹をたてたアルベルトは家の力を使ってアレンに抗議をする。アレンの家は男爵、アルベルトは公爵であったため、アレンは今度こそ負けるかに見えた。
しかし、次もアレンは阻止する。アルベルトが行ってきた悪事を国王に申し立て、アルベルトはグレイン公爵家から追放されることとなり、路頭に迷っていたところを盗賊に殺されるのである。
なんとしてでもそれは回避せねばならぬ。
こんなことを考えている暇はなかった。
「いくぞ、アルベルト!」
大剣を持って迫るイケメンに成す術がなくアルベルトの意識は暗転した。
と、ここで疑問に思ったことはないだろうか?
元々のアルベルトの意識はどこにいったのかと。
実は佐藤和也は死んでいなかった。
つまり、今アルベルトの意識は佐藤の中にあるということである。
ここは病院。
アルベルトは目を覚ました。
アレンとかいうクソみたいにうざい男に絡まれたところまでは覚えているが、そこからが記憶がない。
ふと天井を見ると見知らぬ天井である。
体は包帯でぐるぐる巻きになっており、全身が痛い。
状況判断がつかずアルベルトは落ち着かないのであった。
「佐藤さんー入りますよー、あら目を覚まされたのね、ここにお食事置いていきますね~」
みたこともない料理が置いてある。
一口食べてみるととても美味であった。
素晴らしいなここは。
アルベルトは自身が自身ではなくなっていることにとっくに気づいていたが現状を楽しむことにした。
家族が会いに来ると流石にこの人間が佐藤ではないことはバレた。
アルベルトは記憶喪失として扱われることとなった。
いくつかの検診を受け、一月ほど経った後、彼は退院した。
考えてみてほしい、佐藤に入る前のアルベルトは横柄で意地の悪いやつである。こんなやつが佐藤の体に入ったのだ。
彼は佐藤の体で好き勝手なことをした。気に食わないやつをいじめ、女子にセクハラ、学校はサボり、非行し放題。
アルベルトは退学となり、自宅に謹慎された。
アルベルトが入っている佐藤は本当の佐藤ではない、しかし周りの人間は佐藤が変わってしまったと思うだろう。
異世界転生で恐ろしいのは意識が入れ替わることなのではないかと思った。
今日は始業式のため、早く学校が終わる日であった。
急いで家に帰り、録画していたアニメを見ようと思っていた佐藤は少し注意散漫だった。
横断歩道を走り抜けようとした佐藤の横から車が突っ込み佐藤の目の前は真っ暗になった。
目が覚めるとそこは見知らぬ世界であった。なぜか目の前には眉間に皺を寄せて、怒り狂った顔をしたイケメンがいた。
佐藤はこいつを知っている。
「見損なったぞアルベルト!お前がそんな手段でクリスティーナを手に入れようとするとはな!」
最悪だ。
佐藤は自身が好きであったアニメ、「ライトニング・ワールド」の登場人物であり、主人公のかませ犬、アルベルト・グレインに転生したのだと悟った。
アルベルトは性格が悪く、横柄なやつである。
そして、見た目が綺麗な聖女クリスティーナ・セレンを力づく自分のものにしようとするのである。しかし、主人公アレンの力により失敗する。
これに腹をたてたアルベルトは家の力を使ってアレンに抗議をする。アレンの家は男爵、アルベルトは公爵であったため、アレンは今度こそ負けるかに見えた。
しかし、次もアレンは阻止する。アルベルトが行ってきた悪事を国王に申し立て、アルベルトはグレイン公爵家から追放されることとなり、路頭に迷っていたところを盗賊に殺されるのである。
なんとしてでもそれは回避せねばならぬ。
こんなことを考えている暇はなかった。
「いくぞ、アルベルト!」
大剣を持って迫るイケメンに成す術がなくアルベルトの意識は暗転した。
と、ここで疑問に思ったことはないだろうか?
元々のアルベルトの意識はどこにいったのかと。
実は佐藤和也は死んでいなかった。
つまり、今アルベルトの意識は佐藤の中にあるということである。
ここは病院。
アルベルトは目を覚ました。
アレンとかいうクソみたいにうざい男に絡まれたところまでは覚えているが、そこからが記憶がない。
ふと天井を見ると見知らぬ天井である。
体は包帯でぐるぐる巻きになっており、全身が痛い。
状況判断がつかずアルベルトは落ち着かないのであった。
「佐藤さんー入りますよー、あら目を覚まされたのね、ここにお食事置いていきますね~」
みたこともない料理が置いてある。
一口食べてみるととても美味であった。
素晴らしいなここは。
アルベルトは自身が自身ではなくなっていることにとっくに気づいていたが現状を楽しむことにした。
家族が会いに来ると流石にこの人間が佐藤ではないことはバレた。
アルベルトは記憶喪失として扱われることとなった。
いくつかの検診を受け、一月ほど経った後、彼は退院した。
考えてみてほしい、佐藤に入る前のアルベルトは横柄で意地の悪いやつである。こんなやつが佐藤の体に入ったのだ。
彼は佐藤の体で好き勝手なことをした。気に食わないやつをいじめ、女子にセクハラ、学校はサボり、非行し放題。
アルベルトは退学となり、自宅に謹慎された。
アルベルトが入っている佐藤は本当の佐藤ではない、しかし周りの人間は佐藤が変わってしまったと思うだろう。
異世界転生で恐ろしいのは意識が入れ替わることなのではないかと思った。
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