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ミランダ働く
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「アラン、申し訳ないのですけど」
これから二人の夜が始まるという時にミランダがキリッとした顔で言った。
明日は休み。
アランは先に入浴してミランダの入浴を待っていた。ゆっくりと語り合って仕事の疲れを癒してもらって、それから久々にじっくり色々と仲良くするつもりだった。
まだ色々と手加減しているのだ。
それなのに、ここで
『待て』
をされた大型犬のような気持ちになった。
しゅーん、と耳が垂れてしまった状態だ。
ミラの様子から、何かを頼みたいけれど言いよどむような……
「何でも言うことを聞くから捨てないで」
くーん、とすり寄る犬の気持ち。
ミランダは沈黙がアランを不安にさせてしまったと、微笑んで頭を撫でた。
その手の優しさにアランも微笑む。
「殿下から直々に」
ん?
またか?
「王都の学園の講師をしてほしいと頼まれまして」
「ミラが先生に?大変じゃないですか?」
「本当の常勤の先生は授業の準備が大変なようですね。そうではなく特別講師として生徒たちの相談にのったり、自習の手伝いをするようなもので、月に二、三回だそうです。」
「それなら、気晴らしに良いかもしれませんね」
「賛成してくれますか?」
「もちろん。あと、無理して家のことをしなくても良いですよ。俺が早めに上がって学園に迎えにいくので、何か食べて帰ったり買って帰るのもいいですね」
夫婦デート、良いかもしれない。
「ふふ。良かったです。それで、学園に行く際に着る服を買いたいのですがいいですか?」
「もちろん」
「きちんとした既婚者らしく、落ち着いて見えるようにブラウスとスカート、ジャケットなどが欲しいです。高価な品でなくてもいいので動きやすい服を増やしたくて」
キリッとした教師の服装のミランダとデート……
「大賛成です。
でも、もし体力的に無理をするようなら反対しますからね。ミランダの素晴らしさを知る生徒は幸せだと思います。
ちょっと待って、担当するのは女子生徒だけですか?ですよね?」
「多分そうだと思います。騎士科は建物も違いますし、別の先生がいらっしゃるそうですよ。ただ騎士科にも女子生徒がいるので、科目によってはその生徒たちが一緒に受けることもあるそうです」
「じゃあ心配ないですね。明日は休みなのでゆっくりしましょうか」
大型犬が尻尾をパタパタさせて甘えてくるみたいだわ、とミランダは思った。
クリスティーヌが言っていた。
お願い事をするならこのタイミングよ!と。
殿下、うちの妹がすみません。
ミランダやクリスティーヌ、シューゼル家の者は飛び級をすることが多いので、学校に行って普通の生徒たちをみることが楽しみだった。
これから二人の夜が始まるという時にミランダがキリッとした顔で言った。
明日は休み。
アランは先に入浴してミランダの入浴を待っていた。ゆっくりと語り合って仕事の疲れを癒してもらって、それから久々にじっくり色々と仲良くするつもりだった。
まだ色々と手加減しているのだ。
それなのに、ここで
『待て』
をされた大型犬のような気持ちになった。
しゅーん、と耳が垂れてしまった状態だ。
ミラの様子から、何かを頼みたいけれど言いよどむような……
「何でも言うことを聞くから捨てないで」
くーん、とすり寄る犬の気持ち。
ミランダは沈黙がアランを不安にさせてしまったと、微笑んで頭を撫でた。
その手の優しさにアランも微笑む。
「殿下から直々に」
ん?
またか?
「王都の学園の講師をしてほしいと頼まれまして」
「ミラが先生に?大変じゃないですか?」
「本当の常勤の先生は授業の準備が大変なようですね。そうではなく特別講師として生徒たちの相談にのったり、自習の手伝いをするようなもので、月に二、三回だそうです。」
「それなら、気晴らしに良いかもしれませんね」
「賛成してくれますか?」
「もちろん。あと、無理して家のことをしなくても良いですよ。俺が早めに上がって学園に迎えにいくので、何か食べて帰ったり買って帰るのもいいですね」
夫婦デート、良いかもしれない。
「ふふ。良かったです。それで、学園に行く際に着る服を買いたいのですがいいですか?」
「もちろん」
「きちんとした既婚者らしく、落ち着いて見えるようにブラウスとスカート、ジャケットなどが欲しいです。高価な品でなくてもいいので動きやすい服を増やしたくて」
キリッとした教師の服装のミランダとデート……
「大賛成です。
でも、もし体力的に無理をするようなら反対しますからね。ミランダの素晴らしさを知る生徒は幸せだと思います。
ちょっと待って、担当するのは女子生徒だけですか?ですよね?」
「多分そうだと思います。騎士科は建物も違いますし、別の先生がいらっしゃるそうですよ。ただ騎士科にも女子生徒がいるので、科目によってはその生徒たちが一緒に受けることもあるそうです」
「じゃあ心配ないですね。明日は休みなのでゆっくりしましょうか」
大型犬が尻尾をパタパタさせて甘えてくるみたいだわ、とミランダは思った。
クリスティーヌが言っていた。
お願い事をするならこのタイミングよ!と。
殿下、うちの妹がすみません。
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