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23.書状

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「ラルフ、隣国から書状が届いたそうだ。あとで伝わると思うが」

王太子からそう言われて、ラルは一つ息を吐いた。
「よかったです。」
内容がどうであれ、返事を頂けるということが奇跡のようなことなのだから。

午後に陛下に呼ばれた。
「姉が、里帰りしたいと言っておる」

「!まさか、」

「五十年だ。嫁いで、五十年ぶりに。」

「そなたたちの結婚式に出たいと言っておる」

「そんな恐れ多い」

「向こうの国でもつつがなく暮らしているようだが、伴侶を失くしてからは教会と王宮だけしか外出しなかったそうだ。現王も落ち着いてきたし、そろそろ帰りたいと思っていたそうだが、きっかけがなかったようだ。そなたらの事を名分に視察をかねて来たいそうだ。」

そのことをベンには?と問うと、元宰相が笑った。

「一番に陛下から聞いて、張り切っております。手紙にも庭のことを懐かしいと書いて下さっていたので」

フローラ、君の思い付いた結婚式にたくさんの人が救われているよ。

素晴らしいことだろう。めまいがする。

「畏れながら陛下、王族の方の祝福は光栄なことですが、主役は花嫁ですので」

「わかっておる。」

「ラルフ殿は仕事ばかりで色恋方面はあまり聞きませんでしたが、変わられましたね」

「王太子も早くそなたらのように出会えるといいのだが」

候補の令嬢と親睦を深めているが、なかなか多忙なこともあり決められないらしい。

「結婚式には未婚の令嬢も出席されるのでもしかしたら出会われるかもしれませんよ。」
宰相が言った。

「最近の若い方は、決めてからは早いと聞くので大丈夫でしょう」

ラルフは照れながら退出した。

大がかりなことになってきたけれど、フローラなら大丈夫。

きっと領地の者にも愛されて、準備をしているはず。

回廊から、ベンを見つけた。

走ってくる。
老齢なのに。
待て、
「ありがとうございます!
ニナ様が、ニナ殿下が」


あとは男泣きで聞き取れなかった。
「最高の庭に仕上げてやる!嬢ちゃんのためにもな!」



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