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14.開かれた王宮
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「王宮の庭園部分を市民に解放ですか」
「もちろん、日を決めて安全に配慮した上でだが」
上司からの話にラルフは少し考える。
「女性の方がガーデンパーティーに詳しいと思いますので、どなたかイベントを開いてくださったら良いのでは」
「その誰かを思い付かないから若者に相談しているんだよ。」
フローラなら何か思い付きそうだ。
次の機会に話してみると、
「広さもありますし、かなりの人数が入れ替わり立ち寄れるような音楽会なども素敵でしょうね」
「お料理は王宮から運べますの?問題なさそうですね、緑も多いし開放的で。
夜に照明をつけて月や花を見るのも神秘的ではないでしょうか」
なるほど。
やはりフローラは面白い。
メモを取りながら彼女を見ると、また何か思い付いたのか目をキラキラさせていた。
「あの、ラルフ様。もしかしたら無理かもしれないし、お嫌かもしれませんが」
頬を染めている。
「結婚式、はどうでしょうか」
「ああ、けっこんし……私達の?」
「はい、昼間の屋外の式も良いなと思っていて。教会で式を上げたあとのパーティーをどこか広いところを借りれば、孤児院の子供たちも呼べますし。友人方にも気軽に参加していただけるかと」
目をつむって考えた。確かに別の式典やパーティーでも長時間拘束されるのが苦痛だったことがある。
「今後、貴族や市民に結婚式やパーティーに利用してもらうなら、良いモデルケースになるだろうか。
しかし」
「ダメですか?」
「フローラはしたいの?」
「綿の軽いドレスならお客様のテーブルを移動するのも簡単ですし、それに、
お城で結婚するのはお姫様になったみたいじゃありませんか?」
「……仕事のうえでは、君の案は面白いし魅力的だし、上司に言う価値はあるんだけど、
本当はもったいないから
誰にも見せずに結婚してしまいたい気分なんだよ」
テーブルに肘をついて頬杖をついてため息をつく。
珍しく行儀悪く子供のような態度に、笑ってしまう。
「まあ、珍しいこと尽くしの私達には似合いかもしれないな」
上司に言ったら、喜ばれた。
同僚には、奥様が見られるなんて!と感激された。
絶対に溺愛して会わせてもらえないだろうと思っていたと言われた。
人をなんだと思っているんだ。
両親にも素晴らしいと言われた。もともと庭自慢のガーデンパーティー好きの母が特に張り切っていた。
ドレスのデザインにも考慮するけど、共布のパラソルもかわいいと言い出した。
デザイナーのアンリさんが張り切ってしまう。
見えるところに絶対にキスマークなど付けるなと念押しされた。
するわけない。
人をなんだと思っているのだ。
しかも息子になんてことを言うのだ。こっちが恥ずかしい。
「聞いてるの?大事なことなんですからね!」
「そんなはしたない真似するわけないでしょう!」
なんで父上が茶をむせたんですか。
あ、これは数十年にわたって言われている案件だな。
「もちろん、日を決めて安全に配慮した上でだが」
上司からの話にラルフは少し考える。
「女性の方がガーデンパーティーに詳しいと思いますので、どなたかイベントを開いてくださったら良いのでは」
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フローラなら何か思い付きそうだ。
次の機会に話してみると、
「広さもありますし、かなりの人数が入れ替わり立ち寄れるような音楽会なども素敵でしょうね」
「お料理は王宮から運べますの?問題なさそうですね、緑も多いし開放的で。
夜に照明をつけて月や花を見るのも神秘的ではないでしょうか」
なるほど。
やはりフローラは面白い。
メモを取りながら彼女を見ると、また何か思い付いたのか目をキラキラさせていた。
「あの、ラルフ様。もしかしたら無理かもしれないし、お嫌かもしれませんが」
頬を染めている。
「結婚式、はどうでしょうか」
「ああ、けっこんし……私達の?」
「はい、昼間の屋外の式も良いなと思っていて。教会で式を上げたあとのパーティーをどこか広いところを借りれば、孤児院の子供たちも呼べますし。友人方にも気軽に参加していただけるかと」
目をつむって考えた。確かに別の式典やパーティーでも長時間拘束されるのが苦痛だったことがある。
「今後、貴族や市民に結婚式やパーティーに利用してもらうなら、良いモデルケースになるだろうか。
しかし」
「ダメですか?」
「フローラはしたいの?」
「綿の軽いドレスならお客様のテーブルを移動するのも簡単ですし、それに、
お城で結婚するのはお姫様になったみたいじゃありませんか?」
「……仕事のうえでは、君の案は面白いし魅力的だし、上司に言う価値はあるんだけど、
本当はもったいないから
誰にも見せずに結婚してしまいたい気分なんだよ」
テーブルに肘をついて頬杖をついてため息をつく。
珍しく行儀悪く子供のような態度に、笑ってしまう。
「まあ、珍しいこと尽くしの私達には似合いかもしれないな」
上司に言ったら、喜ばれた。
同僚には、奥様が見られるなんて!と感激された。
絶対に溺愛して会わせてもらえないだろうと思っていたと言われた。
人をなんだと思っているんだ。
両親にも素晴らしいと言われた。もともと庭自慢のガーデンパーティー好きの母が特に張り切っていた。
ドレスのデザインにも考慮するけど、共布のパラソルもかわいいと言い出した。
デザイナーのアンリさんが張り切ってしまう。
見えるところに絶対にキスマークなど付けるなと念押しされた。
するわけない。
人をなんだと思っているのだ。
しかも息子になんてことを言うのだ。こっちが恥ずかしい。
「聞いてるの?大事なことなんですからね!」
「そんなはしたない真似するわけないでしょう!」
なんで父上が茶をむせたんですか。
あ、これは数十年にわたって言われている案件だな。
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