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2. 印象的だった彼女

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伴侶に求めるものは何かと男たちが集まって話すことがある。
学園にいる頃は一目惚れで恋を始めても卒業が近づく頃には現実を見るようになる。
ある者は美だと言い、ある者は優しさだと言った。
それは正しいのかもしれない。それでも、年月と共に変わるものではないのか?と思った。
幼い頃からの婚約者同士で穏やかに信頼しあっているような関係こそ、羨ましいと思った。
恋は自分の感情もコントロールできなくなるらしい。
そういった者をみてきた。
私は、自分と合う人間を伴侶にして穏やかに過ごしたいと思っていた。
ところが。
自分に無いものを持っている令嬢に惹かれている。

フローラ・ホトレイク嬢は、夜会では目立たないが、とても発想が豊かだ。
孤児院のバザーで、驚異的な売上げを叩き出した。

経済を本格的に学んだのかと思うほど。
自分を飾ることには興味がないようだが、いつも紺色やグレーの質素なドレスを着ているのを好ましいと思う。
話しかければ応じてくれる。

好意をそれとなく伝えてみても通じてない気がする。

栗色の髪と夜空色の瞳は派手ではないが見つめていて飽きない。
彼女と話をすると政策がどんどん浮かんでくる。
家に彼女が居てくれたらどんなにいいか
と思ったときにこれでは仕事のために結婚を申し込むのかと誤解されると自嘲した。

結婚するなら彼女がいいが、焦ったら逃げられそうだ。
幸い、まだ目立って彼女に言い寄っている男はいない。

しかし、おとなしそうな令嬢を弄ぶのが好きだという悪趣味な男もいるので油断ならない。

フローラ嬢は結婚したいと思っているんだろうか。

恋愛に憧れているようには見えないが、打算で結婚するとも思えない。
令嬢を口説いたこともないから彼女の気をどうやって引けばいいのかわからない。
優秀と言われている頭脳も役にたたない。
ただ、私には君が必要だと言えたらいいのに。

「フローラ嬢、もし名産品を作るとしたら何から始めればいいと思う?」

つい色気のない世間話をしてしまう。

「そうですねえ、思いきって田舎を観光にしてしまうとか。
例えば親類の家や別荘なら何もない退屈さが新鮮だったりしますでしょう。
昔話や伝説があれば、ただの森も想像力を刺激しますね。初めて来たのに懐かしいような空間は、別荘を持たない方には」

やはり、彼女は面白い。
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