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夕食

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夕食のときに、また使用人も一緒にテーブルを囲んだ。

今日の買い物がどれほど楽しかったのか、みんなに伝えたいようでミラが興奮しているのがわかった。
途中で、静かになったと思ったら、首がゆらゆらしている。
眠そうだ。
疲れているせいで食前酒が普段より回ったようだ。
「もう寝るか?」

「いえ、大丈夫れ、す」

ぐらりと体も揺れたので、近くに行って支えた。
「ほら、歩けるか」

無理そうなので、少し迷ったが抱き上げた。

「すみませ……」

「首に手を回してしっかりつかまって体重を預けてくれ。その方が安定するから」

「ふぁい」

ぎゅっと抱きつかれてから、気づいた。

当たっている。
胸が。

意識しないように部屋に運んだ。
まだ子供、疲れて寝るなんて子供だからだ。

ベッドに寝かせると
「ん」
と鼻にかかった声を出した。
さくらんぼのような唇が半開きになっている。

(こいつ、やばいな)

あの遊び人の師匠。相手が派手な大人の女性ばかりだったんだろう。だから自分が女だという自覚も薄いし男の目線を気にしていない。

うちの師匠なら、問答無用で女性だと認識して結界を張って隠れただろうな。
まさに今、逃げているわけだが。ワイアットの判断が正しかったとしても
、何もかもを押し付けられるのが当然だと思うのは癪に触る。
けれど、もしここにワイアットがいてミラをみてから拒否していたら彼女は傷ついたかもしれない。
女性として魅力があるから師匠は逃げました。君は悪くありません

などと慰めにもならないだろう。
頭が痛い。
人間関係は希薄なくせに、厄介ごとを増やす師匠に今までも苦労させられている。

ため息をついた。
「まあ、仕方ない。うちにいるのだから面倒は見なければ。」
他の男が下心からミラの世話をするのは困る。

困る?

……保護者の代理的なものだからな、俺は。
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