上 下
3 / 4

話が違うじゃないですか

しおりを挟む
「美味いか?これはどうだ?酒は飲めないのか?」

膳の上の彩りの良い野菜や、黄金色の油したたる肉を取り分けて口に運ばれている。

正直、味がしません。

なぜ私はこんな目に合っているのでしょう。
と何度思ったことか。

膝に乗せられています。

胡座をかいた蒼の宮さまの片ひざに乗っています。
腰に手を回されているので体を離そうとしても無理でした。
宮さまはお酒も召し上がって上機嫌です。 

時々恥ずかしさに俯く私の顔を上げさせたり、髪を撫でてきます。
悪戯が過ぎる、と睨んでみても、顔が良すぎて赤面してしまう。
うう、大人の余裕というやつでしょうか。

そのあとは部屋に連れていかれました。

もしかしてこのまま宮さまの私室に連れていかれるかと思ったのですが、通りすぎたので安心しました。
考えすぎていたのだと恥ずかしくなりました。

「何を考えているか手に取るようにわかるのだが。」

笑いながら髪の毛に口づけられました。

「可愛いな、そなたは」

この人、顔が良すぎるだけの、悪い大人だ。

連れてこられた部屋は布団が敷いてあり、そこに下ろされる。

「なんで宮さまも入ってくるんですか!」

「つれないなあ。夫婦になったというのに」

「わたしは、お飾りの妻だと」

「言ってないよ?」

「へっ?」

「言ってないけど」

じりじりと距離を詰められて抱き込まれる

「うそ、じゃあ本当に私、宮さまと……?
だって、無理です。身分も釣り合ってないし」

「そのお陰でそなたが断れないのだから、身分も役に立つものだな」

「私、綺麗じゃないし。もっときれいな人がたくさんいるのに」

「綺麗な顔なんか鏡見てりゃいい。見飽きた」

手が、衣服を脱がそうとあちこちを行ったり来たりしている。

「だって、年も」

「ああ。待ちわびた」

「こんな急に、宮さま」


「もういいだろ」

口を閉じるように手でつついた後、額に口づけられた

「逃げんな」

低い声で言われて体が震える。
この人は人に命令することに慣れている立場だった。

混乱して、涙がにじむ。

「怖いか?」

「やめてくれるの?」

「それは無理」

「ふえ、」

よしよしと頭を撫でながら、反対の手で服を脱がせてしまった。
優しくなんかない。
男の人の手。

「なあ、考えてみろ。誰でも初めての時は怖いし痛いらしい。
それなら、顔の良い方がいいだろ?お前、俺の顔好きだろう」

なんて理屈を!大人げない。

「こんな、だますみたいに。好きだったのに、宮さま、初恋だったのに、」

「俺もだ」

「嘘つきぃ、きらい」

「嫌いは堪えるな、さすがに。でも俺は好きだ」

その日は結局、宮さまが譲歩してくれたようで純潔は散らされなかったが、色々と思い知らされた。

父さん母さんに言えない秘密を持ってしまいました。










しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

自宅が全焼して女神様と同居する事になりました

皐月 遊
恋愛
如月陽太(きさらぎようた)は、地元を離れてごく普通に学園生活を送っていた。 そんなある日、公園で傘もささずに雨に濡れている同じ学校の生徒、柊渚咲(ひいらぎなぎさ)と出会う。 シャワーを貸そうと自宅へ行くと、なんとそこには黒煙が上がっていた。 「…貴方が住んでるアパートってあれですか?」 「…あぁ…絶賛燃えてる最中だな」 これは、そんな陽太の不幸から始まった、素直になれない2人の物語。

【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?

雨宮羽那
恋愛
 元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。 ◇◇◇◇  名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。  自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。    運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!  なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!? ◇◇◇◇ お気に入り登録、エールありがとうございます♡ ※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。 ※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。 ※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))

憧れの騎士さまと、お見合いなんです

絹乃
恋愛
年の差で体格差の溺愛話。大好きな騎士、ヴィレムさまとお見合いが決まった令嬢フランカ。その前後の甘い日々のお話です。

拾った仔猫の中身は、私に嘘の婚約破棄を言い渡した王太子さまでした。面倒なので放置したいのですが、仔猫が気になるので救出作戦を実行します。

石河 翠
恋愛
婚約者に婚約破棄をつきつけられた公爵令嬢のマーシャ。おバカな王子の相手をせずに済むと喜んだ彼女は、家に帰る途中なんとも不細工な猫を拾う。 助けを求めてくる猫を見捨てられず、家に連れて帰ることに。まるで言葉がわかるかのように賢い猫の相手をしていると、なんと猫の中身はあの王太子だと判明する。猫と王子の入れ替わりにびっくりする主人公。 バカは傀儡にされるくらいでちょうどいいが、可愛い猫が周囲に無理難題を言われるなんてあんまりだという理由で救出作戦を実行することになるが……。 もふもふを愛するヒロインと、かまってもらえないせいでいじけ気味の面倒くさいヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACより pp7さまの作品をお借りしております。

不憫な侯爵令嬢は、王子様に溺愛される。

猫宮乾
恋愛
 再婚した父の元、継母に幽閉じみた生活を強いられていたマリーローズ(私)は、父が没した事を契機に、結婚して出ていくように迫られる。皆よりも遅く夜会デビューし、結婚相手を探していると、第一王子のフェンネル殿下が政略結婚の話を持ちかけてくる。他に行く場所もない上、自分の未来を切り開くべく、同意したマリーローズは、その後後宮入りし、正妃になるまでは婚約者として過ごす事に。その内に、フェンネルの優しさに触れ、溺愛され、幸せを見つけていく。※pixivにも掲載しております(あちらで完結済み)。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

少し先の未来が見える侯爵令嬢〜婚約破棄されたはずなのに、いつの間にか王太子様に溺愛されてしまいました。

ウマノホネ
恋愛
侯爵令嬢ユリア・ローレンツは、まさに婚約破棄されようとしていた。しかし、彼女はすでにわかっていた。自分がこれから婚約破棄を宣告されることを。 なぜなら、彼女は少し先の未来をみることができるから。 妹が仕掛けた冤罪により皆から嫌われ、婚約破棄されてしまったユリア。 しかし、全てを諦めて無気力になっていた彼女は、王国一の美青年レオンハルト王太子の命を助けることによって、運命が激変してしまう。 この話は、災難続きでちょっと人生を諦めていた彼女が、一つの出来事をきっかけで、クールだったはずの王太子にいつの間にか溺愛されてしまうというお話です。 *小説家になろう様からの転載です。

管理人さんといっしょ。

桜庭かなめ
恋愛
 桐生由弦は高校進学のために、学校近くのアパート「あけぼの荘」に引っ越すことに。  しかし、あけぼの荘に向かう途中、由弦と同じく進学のために引っ越す姫宮風花と二重契約になっており、既に引っ越しの作業が始まっているという連絡が来る。  風花に部屋を譲ったが、あけぼの荘に空き部屋はなく、由弦の希望する物件が近くには一切ないので、新しい住まいがなかなか見つからない。そんなとき、 「責任を取らせてください! 私と一緒に暮らしましょう」  高校2年生の管理人・白鳥美優からのそんな提案を受け、由弦と彼女と一緒に同居すると決める。こうして由弦は1学年上の女子高生との共同生活が始まった。  ご飯を食べるときも、寝るときも、家では美少女な管理人さんといつもいっしょ。優しくて温かい同居&学園ラブコメディ!  ※特別編10が完結しました!(2024.6.21)  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

処理中です...