上 下
12 / 12

12 ツッコミだらけの報告

しおりを挟む
リュートはメイの両親に報告に行った。

「娘の危機を救ってくれたとはいえ、君はまだ若いだろう、なにも今すぐ結婚しなくても」

「こう見えて僕、24です」

「でも、お仕事は?騎士団の見習いをされていると聞いたのだけれど」

「あ、それはこの国にいる間の仮の身分で一時的に。国では外交官をしています。まあ小国なのであちこち出向いています」

「それではシェリーは国で一人残されるのか?」

「いえ、この国に戻ってもらって構いませんよ。講師の仕事もあるそうですし」

現時点で反対する要素がなくて両親は歯がゆい。でも何よりシェリーメイナが笑顔でリュートの腕を組んで離さないので。

「お父様、わたし、リュート様とのことを反対されたら何をしでかすか自分でもわかりませんわ」

「くっ、また親を脅すとは」

「最後のわがままだと思ってください」

「お前の最後のわがままは何回あるんだ!」

「後のわがままは僕が叶えますので、本当に最後かもしれませんよ、お義父さん」

リュートが言うと、父は泣き笑いのようになった。

「反対したら一生後味がわるいんだろうなあ。
こんな娘ですが、よろしくお願いします」


そうして晴れて二人は恋人になったわけだが。

「聞いてない聞いてない、王族だなんて聞いてないわ、リュートさん」

「王族っていっても、こーんなに小さい国の、末端の末端の末端でいろんな国の偵察に行かされてるだけだから。パシリだよ。ちょっと公的で国際的なパシリ」

「しかも来月25歳って!私より7つも年上って」

「年上きらい?」

「そんなあざとく笑う可愛いくせに年上というのがなっとくいかないだけです!

嫌いじゃありません」

ーーーーーーー


「というわけでー。国に帰りますー。」

「は?まてまて。外交官?そりゃ剣下手だわ」

カイは リュートに聞かされて驚いたが、それよりも。
「エルフってホントに居るんだな」

「いやー、混血進んでるしほとんどいないけど、メイさんがエルフにファンタジー感じてるから、使えるものは使わないとね。あ、剣はたまたま俺が合わないだけ。ここにいる間に克服したかったんだけどな」

「エルフって性欲ないって本当?」

「フツーにありますけど。まあ可愛いとか淡白そうとか思われて油断されるのも便利なんで、イメージは守るけどね」

可愛い顔してえげつねえな、こいつ。
と思ったら

「カイも東洋のツボとか経絡とか覚えたら便利だよー。女の子めっちゃ喜ぶし、神秘的でモテるよ多分」

そうか、覚えて損は無いかもな。そこから休暇の度に東の大陸にいくようになった。

リュートは年に何度か騎士団に来て、訓練に参加して傷を作って

「メイさーん!薬~」

と甘えているらしい。

多分若い奴らには謎の新人騎士だと思われている。
いつまでも十代に見えるし相変わらず剣が下手だから。

それでも公式の場では夫婦で社交などもこなしているそうだ。

【完】




しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

婚約者の不倫相手は妹で?

岡暁舟
恋愛
 公爵令嬢マリーの婚約者は第一王子のエルヴィンであった。しかし、エルヴィンが本当に愛していたのはマリーの妹であるアンナで…。一方、マリーは幼馴染のアランと親しくなり…。

婚約者が不倫しても平気です~公爵令嬢は案外冷静~

岡暁舟
恋愛
公爵令嬢アンナの婚約者:スティーブンが不倫をして…でも、アンナは平気だった。そこに真実の愛がないことなんて、最初から分かっていたから。

契約婚しますか?

翔王(とわ)
恋愛
クリスタ侯爵家の長女ミリアーヌの幼なじみで婚約者でもある彼、サイファ伯爵家の次男エドランには愛してる人がいるらしく彼女と結ばれて暮らしたいらしい。 ならば婿に来るか子爵だけど貰うか考えて頂こうじゃないか。 どちらを選んでも援助等はしませんけどね。 こっちも好きにさせて頂きます。 初投稿ですので読みにくいかもしれませんが、お手柔らかにお願いします(>人<;)

婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

きさらぎ
恋愛
テンネル侯爵家の嫡男エドガーに真実の愛を見つけたと言われ、ブルーバーグ侯爵家の令嬢フローラは婚約破棄された。フローラにはとても良い結婚条件だったのだが……しかし、これを機に結婚よりも大好きな研究に打ち込もうと思っていたら、ガーデンパーティーで新たな出会いが待っていた。一方、テンネル侯爵家はエドガー達のやらかしが重なり、気づいた時には―。 ※『婚約破棄された地味令嬢は、あっという間に王子様に捕獲されました。』(現在は非公開です)をタイトルを変更して改稿をしています。  お気に入り登録・しおり等読んで頂いている皆様申し訳ございません。こちらの方を読んで頂ければと思います。

外では氷の騎士なんて呼ばれてる旦那様に今日も溺愛されてます

刻芦葉
恋愛
王国に仕える近衛騎士ユリウスは一切笑顔を見せないことから氷の騎士と呼ばれていた。ただそんな氷の騎士様だけど私の前だけは優しい笑顔を見せてくれる。今日も私は不器用だけど格好いい旦那様に溺愛されています。

公爵子息に気に入られて貴族令嬢になったけど姑の嫌がらせで婚約破棄されました。傷心の私を癒してくれるのは幼馴染だけです

エルトリア
恋愛
「アルフレッド・リヒテンブルグと、リーリエ・バンクシーとの婚約は、只今をもって破棄致します」 塗装看板屋バンクシー・ペイントサービスを営むリーリエは、人命救助をきっかけに出会った公爵子息アルフレッドから求婚される。 平民と貴族という身分差に戸惑いながらも、アルフレッドに惹かれていくリーリエ。 だが、それを快く思わない公爵夫人は、リーリエに対して冷酷な態度を取る。さらには、許嫁を名乗る娘が現れて――。 お披露目を兼ねた舞踏会で、婚約破棄を言い渡されたリーリエが、失意から再び立ち上がる物語。 著者:藤本透 原案:エルトリア

「お前を愛するつもりはない」な仮面の騎士様と結婚しました~でも白い結婚のはずなのに溺愛してきます!~

卯月ミント
恋愛
「お前を愛するつもりはない」 絵を描くのが趣味の侯爵令嬢ソールーナは、仮面の英雄騎士リュクレスと結婚した。 だが初夜で「お前を愛するつもりはない」なんて言われてしまい……。 ソールーナだって好きでもないのにした結婚である。二人はお互いカタチだけの夫婦となろう、とその夜は取り決めたのだが。 なのに「キスしないと出られない部屋」に閉じ込められて!? 「目を閉じてくれるか?」「えっ?」「仮面とるから……」 書き溜めがある内は、1日1~話更新します それ以降の更新は、ある程度書き溜めてからの投稿となります *仮面の俺様ナルシスト騎士×絵描き熱中令嬢の溺愛ラブコメです。 *ゆるふわ異世界ファンタジー設定です。 *コメディ強めです。 *hotランキング14位行きました!お読みいただき&お気に入り登録していただきまして、本当にありがとうございます!

憧れの騎士さまと、お見合いなんです

絹乃
恋愛
年の差で体格差の溺愛話。大好きな騎士、ヴィレムさまとお見合いが決まった令嬢フランカ。その前後の甘い日々のお話です。

処理中です...