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7 嘘だらけの男

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リュートは賑やかな酒場に入ろうと言ってきた。カイはそんな気分ではなかったが、

「こういう店の方が聞かれなくて良いんだよ?」
と言われたので頷いた。

「あの店、守護みたいな魔法がかかってないか?あの女も貴族だろう。なんであんな小さな店で商売をしてるんだ?それと」

「はい、とりあえず乾杯」

ビールで乾杯をする。

「ごまかすな、あと、なんでリュートはあそこで演技をしてたんだ?」

「演技?どんな風に見えた?」

「……俺の口からは言いにくいですけどね」

「バカっぽい可愛い甘え上手な感じに見えた?子犬っぽかった?」

リュートはビールをさっさと空けてキツい酒のロックを頼む。
店員がカイの前に置く。

リュートの前に押すと、ニヤリと笑った。

「カイには気付かれるかも、とは思ってたよ。メイさんがなぜ商売を始めたのかはわからないし、どうでもいい。

あの店に加護を与えたのは俺だよ。

あと、可愛く見えるようにしてるのはメイさんがそういうのが好きだから。隠してるつもりだけどね。

欲しい女のためなら容姿くらい使えるものは何でも使わなきゃ」

にっこり笑って首を傾げる。

「俺に可愛いフリしなくていいですから」

「あ、ほら。また敬語に戻ってる。同期なんだからやめてよ」

「単にその使い分けが怖いからだ!」

料理が運ばれてきた。

「で、その、惚れてるとかそういうことですか。あの人に?」

「カイの口からそんな言葉が出るとはね。まだどうするか決めてないけど、なかなかあそこまでの腕はいないよ」

「薬師として?」

「それももちろんだけど。」

「リュートは、この国にずっと留まる気は無いんだろう?」

「なぜそう思った?」

カイの三つ編みを軽く引っ張る

「……なんとなく」

椅子にもたれてグラスを揺らしている。琥珀色がリュートの髪と瞳の色と似ている。

「騎士団も嫌いではないけど、やっぱり向いてないかなって思うよ」

それはカイも思っている。
特性を活かす場所を探しているから。

「カイはまだ18だから、これからだろ」

「同期とか言うくせに都合のいい時だけ年上っぽくなるのやめてくれ。その顔で」

完全にリュートを年下だと思っていた初対面。

6歳も年上だった。
顔面詐欺も甚だしい。

しかも貴族の女だなんて。
関わり合いにならないタイプかと思っていた。

だいたい仮面つけてるのに気にいるとか意味がわからない。

カイの表情から全てを読み取ったように、にこにこしながら酒を軽々と飲んでいた。

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