5 / 12
5 質問だらけの騎士
しおりを挟む
「メイさーん、この薬もらったんだけど、俺に合うか見てください」
「リュートさん、他で買ったものを持ち込むのはどうかと思いますよ、ん、これは」
「知り合いが東の大陸で買ってきてくれた塗り薬なんだけど、俺は少し匂いが苦手で。でもそれが効く成分なら我慢するけど。」
「多分、主な成分はうちのも変わりませんね。少しつけてみてもいいですか、少し清涼感があり、スパイシーな、これは面白いですね。冷やす薬草と温める薬草が微量ですが両方入ってます。」
薬を手の甲にくるくると広げている。
仮面越しにも機嫌が良いのがわかる。
「なんかメイさんがつけてたら苦手じゃなくなってきたかも。」
「男性用の香水や石鹸にも使われていたと思いますね、これ系の香料。うちは無香料か、ほんの少し軽いものしか入れませんが。もし、色々な香りがあれば楽しいですか?」
「えっ、作ってくれるの?」
メイは少し考えた。
「日替わりで選べたら楽しめるかと思ったんですが、普通の人は毎日怪我しませんね。商品にしても採算とれません。」
「確かに!メイさんは男がつけている香りで好きなのある?それで今度作ってほしいな」
「好きな香り……男性がつけていたら?うーん。不愉快な香りは思い付きますが、それは量や組み合わせなので、香りより成分重視ですしね」
「そういうことじゃなくて、俺はメイさんが好きな香りを塗りたいんだー。」
何言ってんだ、このワンコ
「メイさんはどんな男が好き?」
更に何いってんだワンコ
「……あんまり怪我しない人ですかね」
「確かに!頑張って怪我しないようにする!でも念のためにいつもの傷薬買っていく」
「やっぱこれが一番好きだな。」
蓋を開けて匂いを嗅ぐ。
メイもつられて微笑む。
「メイさんは猫っぽい人と犬っぽい人とどっちが好き?」
さっきから何なんだワンコ。
「うち、バカにつける薬は売ってないんですよ」
「メイさん、ひどい!」
リュートをさっさと返したあと、メイは紅茶を飲んだ。
「あれは……いかんな。懐かれすぎたか。
断然、犬好きだし
可愛い男性が好きだし
私の好きな香りの傷薬を喜んで塗ってくれてるから、気に入らないわけないじゃないか
バカなのかな、あの人。
こっちに下心あるからサービスしてるのに、バカなの?
あんな無防備でもし私が薬でも盛ったらどうするんだろ」
そう、薬でも……
材料も腕もある人間に隙を見せないでほしい。
「リュートさん、他で買ったものを持ち込むのはどうかと思いますよ、ん、これは」
「知り合いが東の大陸で買ってきてくれた塗り薬なんだけど、俺は少し匂いが苦手で。でもそれが効く成分なら我慢するけど。」
「多分、主な成分はうちのも変わりませんね。少しつけてみてもいいですか、少し清涼感があり、スパイシーな、これは面白いですね。冷やす薬草と温める薬草が微量ですが両方入ってます。」
薬を手の甲にくるくると広げている。
仮面越しにも機嫌が良いのがわかる。
「なんかメイさんがつけてたら苦手じゃなくなってきたかも。」
「男性用の香水や石鹸にも使われていたと思いますね、これ系の香料。うちは無香料か、ほんの少し軽いものしか入れませんが。もし、色々な香りがあれば楽しいですか?」
「えっ、作ってくれるの?」
メイは少し考えた。
「日替わりで選べたら楽しめるかと思ったんですが、普通の人は毎日怪我しませんね。商品にしても採算とれません。」
「確かに!メイさんは男がつけている香りで好きなのある?それで今度作ってほしいな」
「好きな香り……男性がつけていたら?うーん。不愉快な香りは思い付きますが、それは量や組み合わせなので、香りより成分重視ですしね」
「そういうことじゃなくて、俺はメイさんが好きな香りを塗りたいんだー。」
何言ってんだ、このワンコ
「メイさんはどんな男が好き?」
更に何いってんだワンコ
「……あんまり怪我しない人ですかね」
「確かに!頑張って怪我しないようにする!でも念のためにいつもの傷薬買っていく」
「やっぱこれが一番好きだな。」
蓋を開けて匂いを嗅ぐ。
メイもつられて微笑む。
「メイさんは猫っぽい人と犬っぽい人とどっちが好き?」
さっきから何なんだワンコ。
「うち、バカにつける薬は売ってないんですよ」
「メイさん、ひどい!」
リュートをさっさと返したあと、メイは紅茶を飲んだ。
「あれは……いかんな。懐かれすぎたか。
断然、犬好きだし
可愛い男性が好きだし
私の好きな香りの傷薬を喜んで塗ってくれてるから、気に入らないわけないじゃないか
バカなのかな、あの人。
こっちに下心あるからサービスしてるのに、バカなの?
あんな無防備でもし私が薬でも盛ったらどうするんだろ」
そう、薬でも……
材料も腕もある人間に隙を見せないでほしい。
1
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~
石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。
食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。
そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。
しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。
何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。
扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
美形王子様が私を離してくれません!?虐げられた伯爵令嬢が前世の知識を使ってみんなを幸せにしようとしたら、溺愛の沼に嵌りました
葵 遥菜
恋愛
道端で急に前世を思い出した私はアイリーン・グレン。
前世は両親を亡くして児童養護施設で育った。だから、今世はたとえ伯爵家の本邸から距離のある「離れ」に住んでいても、両親が揃っていて、綺麗なお姉様もいてとっても幸せ!
だけど……そのぬりかべ、もとい厚化粧はなんですか? せっかくの美貌が台無しです。前世美容部員の名にかけて、そのぬりかべ、破壊させていただきます!
「女の子たちが幸せに笑ってくれるのが私の一番の幸せなの!」
ーーすると、家族が円満になっちゃった!? 美形王子様が迫ってきた!?
私はただ、この世界のすべての女性を幸せにしたかっただけなのにーー!
※約六万字で完結するので、長編というより中編です。
※他サイトにも投稿しています。
お堅い公爵様に求婚されたら、溺愛生活が始まりました
群青みどり
恋愛
国に死ぬまで搾取される聖女になるのが嫌で実力を隠していたアイリスは、周囲から無能だと虐げられてきた。
どれだけ酷い目に遭おうが強い精神力で乗り越えてきたアイリスの安らぎの時間は、若き公爵のセピアが神殿に訪れた時だった。
そんなある日、セピアが敵と対峙した時にたまたま近くにいたアイリスは巻き込まれて怪我を負い、気絶してしまう。目が覚めると、顔に傷痕が残ってしまったということで、セピアと婚約を結ばれていた!
「どうか怪我を負わせた責任をとって君と結婚させてほしい」
こんな怪我、聖女の力ですぐ治せるけれど……本物の聖女だとバレたくない!
このまま正体バレして国に搾取される人生を送るか、他の方法を探して婚約破棄をするか。
婚約破棄に向けて悩むアイリスだったが、罪悪感から求婚してきたはずのセピアの溺愛っぷりがすごくて⁉︎
「ずっと、どうやってこの神殿から君を攫おうかと考えていた」
麗しの公爵様は、今日も聖女にしか見せない笑顔を浮かべる──
※タイトル変更しました
義妹が本物、私は偽物? 追放されたら幸せが待っていました。
みこと。
恋愛
その国には、古くからの取り決めがあった。
"海の神女(みこ)は、最も高貴な者の妃とされるべし"
そして、数十年ぶりの"海神の大祭"前夜、王子の声が響き渡る。
「偽神女スザナを追放しろ! 本当の神女は、ここにいる彼女の妹レンゲだ」
神女として努めて来たスザナは、義妹にその地位を取って変わられ、罪人として国を追われる。彼女に従うのは、たった一人の従者。
過酷な夜の海に、スザナたちは放り出されるが、それは彼女にとって待ち望んだ展開だった──。
果たしてスザナの目的は。さらにスザナを不当に虐げた、王子と義妹に待ち受ける未来とは。
ドアマットからの"ざまぁ"を、うつ展開なしで書きたくて綴った短編。海洋ロマンス・ファンタジーをお楽しみください!
※「小説家になろう」様にも掲載しています。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
たとえこの想いが届かなくても
白雲八鈴
恋愛
恋に落ちるというのはこういう事なのでしょうか。ああ、でもそれは駄目なこと、目の前の人物は隣国の王で、私はこの国の王太子妃。報われぬ恋。たとえこの想いが届かなくても・・・。
王太子は愛妾を愛し、自分はお飾りの王太子妃。しかし、自分の立場ではこの思いを言葉にすることはできないと恋心を己の中に押し込めていく。そんな彼女の生き様とは。
*いつもどおり誤字脱字はほどほどにあります。
*主人公に少々問題があるかもしれません。(これもいつもどおり?)
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる