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5 質問だらけの騎士

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「メイさーん、この薬もらったんだけど、俺に合うか見てください」

「リュートさん、他で買ったものを持ち込むのはどうかと思いますよ、ん、これは」

「知り合いが東の大陸で買ってきてくれた塗り薬なんだけど、俺は少し匂いが苦手で。でもそれが効く成分なら我慢するけど。」

「多分、主な成分はうちのも変わりませんね。少しつけてみてもいいですか、少し清涼感があり、スパイシーな、これは面白いですね。冷やす薬草と温める薬草が微量ですが両方入ってます。」

薬を手の甲にくるくると広げている。
仮面越しにも機嫌が良いのがわかる。

「なんかメイさんがつけてたら苦手じゃなくなってきたかも。」

「男性用の香水や石鹸にも使われていたと思いますね、これ系の香料。うちは無香料か、ほんの少し軽いものしか入れませんが。もし、色々な香りがあれば楽しいですか?」

「えっ、作ってくれるの?」

メイは少し考えた。

「日替わりで選べたら楽しめるかと思ったんですが、普通の人は毎日怪我しませんね。商品にしても採算とれません。」

「確かに!メイさんは男がつけている香りで好きなのある?それで今度作ってほしいな」

「好きな香り……男性がつけていたら?うーん。不愉快な香りは思い付きますが、それは量や組み合わせなので、香りより成分重視ですしね」

「そういうことじゃなくて、俺はメイさんが好きな香りを塗りたいんだー。」

何言ってんだ、このワンコ

「メイさんはどんな男が好き?」

更に何いってんだワンコ

「……あんまり怪我しない人ですかね」

「確かに!頑張って怪我しないようにする!でも念のためにいつもの傷薬買っていく」

「やっぱこれが一番好きだな。」
蓋を開けて匂いを嗅ぐ。

メイもつられて微笑む。

「メイさんは猫っぽい人と犬っぽい人とどっちが好き?」

さっきから何なんだワンコ。

「うち、バカにつける薬は売ってないんですよ」

「メイさん、ひどい!」

リュートをさっさと返したあと、メイは紅茶を飲んだ。

「あれは……いかんな。懐かれすぎたか。

断然、犬好きだし
可愛い男性が好きだし

私の好きな香りの傷薬を喜んで塗ってくれてるから、気に入らないわけないじゃないか

バカなのかな、あの人。

こっちに下心あるからサービスしてるのに、バカなの?

あんな無防備でもし私が薬でも盛ったらどうするんだろ」

そう、薬でも……

材料も腕もある人間に隙を見せないでほしい。



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