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結婚式

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一度唇を許されてからアランは、歯止めが効かなかった。
ミランダと会うたびに体を寄せたくなるし唇ばかり見てしまう。
人目のあるところでは我慢しようと思っていたけれど、結婚式の話が進むにつれ両家の、どちらかで会うことも増えた。
未婚の男女が二人きりにならないように気をつけていたけれど、

「はあ、ミランダ、甘い……」
なぜか応接室のソファで押し倒してキスをしていた。

ミランダも握りこぶしで胸を叩いていても、キスが深くなると力が抜けてしまう。

「これは、良くないですわアラン様」 

荒い息で二人で反省する。
「本当に毎回申し訳ないです」

頭を下げるアランに、また可愛いと思ってしまう。
いけない。

「結婚までキスはしません」

「そ、そんな」

あと半年以上あるのに。

「もし止まれなくなって、結婚式に、体型が変わっていたり体調が優れないのは嫌ですわ」

ぷいっ、と顔を背けたミランダに、

しばらくたってから意味のわかったアランが口を覆って悶えた。
「それはそうですが、我慢できません。会ったときに一度だけはキスを」

「わかりました、一度だけなら」

この約束は結婚まで守られたが、アランが長いキスをするためにミランダは毎回苦しくなった。
結婚式に招待する家門が今までお互いに交流がないので、披露パーティーもあまり格式張ったものではなく自然な会話が生まれやすいように立食形式にした。

二人の仲睦まじい様子に、若い年齢層からの質問があった。

「違う家風で育ってもあんな風に親しくなれるんですね」

「素敵だわ」

結婚式も寄り添う二人は微笑みあって誓いを述べた。

初夜はなんとかアランは理性を総動員してゆっくりと進めたらしい。

その後、二人は子供に恵まれたあとでも変わらずに仲良く寄り添っていた。
恋愛結婚だと思われていただろう。
「どうしてそんなにお互いを好きでいられるんですか」

こっそり聞かれたミランダは答えた

「政略結婚だったから、結婚してからもずっと恋をしているのかもしれません」

ふふ、と控えめに笑う姿がとても綺麗で幸せそうだったと令嬢たちの間で語り継がれた。

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