12 / 12
結婚式
しおりを挟む
一度唇を許されてからアランは、歯止めが効かなかった。
ミランダと会うたびに体を寄せたくなるし唇ばかり見てしまう。
人目のあるところでは我慢しようと思っていたけれど、結婚式の話が進むにつれ両家の、どちらかで会うことも増えた。
未婚の男女が二人きりにならないように気をつけていたけれど、
「はあ、ミランダ、甘い……」
なぜか応接室のソファで押し倒してキスをしていた。
ミランダも握りこぶしで胸を叩いていても、キスが深くなると力が抜けてしまう。
「これは、良くないですわアラン様」
荒い息で二人で反省する。
「本当に毎回申し訳ないです」
頭を下げるアランに、また可愛いと思ってしまう。
いけない。
「結婚までキスはしません」
「そ、そんな」
あと半年以上あるのに。
「もし止まれなくなって、結婚式に、体型が変わっていたり体調が優れないのは嫌ですわ」
ぷいっ、と顔を背けたミランダに、
しばらくたってから意味のわかったアランが口を覆って悶えた。
「それはそうですが、我慢できません。会ったときに一度だけはキスを」
「わかりました、一度だけなら」
この約束は結婚まで守られたが、アランが長いキスをするためにミランダは毎回苦しくなった。
結婚式に招待する家門が今までお互いに交流がないので、披露パーティーもあまり格式張ったものではなく自然な会話が生まれやすいように立食形式にした。
二人の仲睦まじい様子に、若い年齢層からの質問があった。
「違う家風で育ってもあんな風に親しくなれるんですね」
「素敵だわ」
結婚式も寄り添う二人は微笑みあって誓いを述べた。
初夜はなんとかアランは理性を総動員してゆっくりと進めたらしい。
その後、二人は子供に恵まれたあとでも変わらずに仲良く寄り添っていた。
恋愛結婚だと思われていただろう。
「どうしてそんなにお互いを好きでいられるんですか」
こっそり聞かれたミランダは答えた
「政略結婚だったから、結婚してからもずっと恋をしているのかもしれません」
ふふ、と控えめに笑う姿がとても綺麗で幸せそうだったと令嬢たちの間で語り継がれた。
ミランダと会うたびに体を寄せたくなるし唇ばかり見てしまう。
人目のあるところでは我慢しようと思っていたけれど、結婚式の話が進むにつれ両家の、どちらかで会うことも増えた。
未婚の男女が二人きりにならないように気をつけていたけれど、
「はあ、ミランダ、甘い……」
なぜか応接室のソファで押し倒してキスをしていた。
ミランダも握りこぶしで胸を叩いていても、キスが深くなると力が抜けてしまう。
「これは、良くないですわアラン様」
荒い息で二人で反省する。
「本当に毎回申し訳ないです」
頭を下げるアランに、また可愛いと思ってしまう。
いけない。
「結婚までキスはしません」
「そ、そんな」
あと半年以上あるのに。
「もし止まれなくなって、結婚式に、体型が変わっていたり体調が優れないのは嫌ですわ」
ぷいっ、と顔を背けたミランダに、
しばらくたってから意味のわかったアランが口を覆って悶えた。
「それはそうですが、我慢できません。会ったときに一度だけはキスを」
「わかりました、一度だけなら」
この約束は結婚まで守られたが、アランが長いキスをするためにミランダは毎回苦しくなった。
結婚式に招待する家門が今までお互いに交流がないので、披露パーティーもあまり格式張ったものではなく自然な会話が生まれやすいように立食形式にした。
二人の仲睦まじい様子に、若い年齢層からの質問があった。
「違う家風で育ってもあんな風に親しくなれるんですね」
「素敵だわ」
結婚式も寄り添う二人は微笑みあって誓いを述べた。
初夜はなんとかアランは理性を総動員してゆっくりと進めたらしい。
その後、二人は子供に恵まれたあとでも変わらずに仲良く寄り添っていた。
恋愛結婚だと思われていただろう。
「どうしてそんなにお互いを好きでいられるんですか」
こっそり聞かれたミランダは答えた
「政略結婚だったから、結婚してからもずっと恋をしているのかもしれません」
ふふ、と控えめに笑う姿がとても綺麗で幸せそうだったと令嬢たちの間で語り継がれた。
128
お気に入りに追加
196
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
あなたに嘘を一つ、つきました
小蝶
恋愛
ユカリナは夫ディランと政略結婚して5年がたつ。まだまだ戦乱の世にあるこの国の騎士である夫は、今日も戦地で命をかけて戦っているはずだった。彼が戦地に赴いて3年。まだ戦争は終わっていないが、勝利と言う戦況が見えてきたと噂される頃、夫は帰って来た。隣に可愛らしい女性をつれて。そして私には何も告げぬまま、3日後には結婚式を挙げた。第2夫人となったシェリーを寵愛する夫。だから、私は愛するあなたに嘘を一つ、つきました…
最後の方にしか主人公目線がない迷作となりました。読みづらかったらご指摘ください。今さらどうにもなりませんが、努力します(`・ω・́)ゞ
次は絶対に幸せになって見せます!
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢マリアは、熾烈な王妃争いを勝ち抜き、大好きな王太子、ヒューゴと結婚したものの、結婚後6年間、一度も会いに来てはくれなかった。孤独に胸が張り裂けそうになるマリア。
“もしもう一度人生をやり直すことが出来たら、今度は私だけを愛してくれる人と結ばれたい…”
そう願いながら眠りについたのだった。
翌日、目が覚めると懐かしい侯爵家の自分の部屋が目に飛び込んできた。どうやら14歳のデビュータントの日に戻った様だ。
もう二度とあんな孤独で寂しい思いをしない様に、絶対にヒューゴ様には近づかない。そして、素敵な殿方を見つけて、今度こそ幸せになる!
そう決意したマリアだったが、なぜかヒューゴに気に入られてしまい…
恋愛に不器用な男女のすれ違い?ラブストーリーです。
【完結】婚約破棄はしたいけれど傍にいてほしいなんて言われましても、私は貴方の母親ではありません
すだもみぢ
恋愛
「彼女は私のことを好きなんだって。だから君とは婚約解消しようと思う」
他の女性に言い寄られて舞い上がり、10年続いた婚約を一方的に解消してきた王太子。
今まで婚約者だと思うからこそ、彼のフォローもアドバイスもしていたけれど、まだそれを当たり前のように求めてくる彼に驚けば。
「君とは結婚しないけれど、ずっと私の側にいて助けてくれるんだろう?」
貴方は私を母親だとでも思っているのでしょうか。正直気持ち悪いんですけれど。
王妃様も「あの子のためを思って我慢して」としか言わないし。
あんな男となんてもう結婚したくないから我慢するのも嫌だし、非難されるのもイヤ。なんとかうまいこと立ち回って幸せになるんだから!
王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。
これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。
しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。
それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。
事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。
妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。
故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。
婚約者が他の令嬢に微笑む時、私は惚れ薬を使った
葵 すみれ
恋愛
ポリーヌはある日、婚約者が見知らぬ令嬢と二人きりでいるところを見てしまう。
しかも、彼は見たことがないような微笑みを令嬢に向けていた。
いつも自分には冷たい彼の柔らかい態度に、ポリーヌは愕然とする。
そして、親が決めた婚約ではあったが、いつの間にか彼に恋心を抱いていたことに気づく。
落ち込むポリーヌに、妹がこれを使えと惚れ薬を渡してきた。
迷ったあげく、婚約者に惚れ薬を使うと、彼の態度は一転して溺愛してくるように。
偽りの愛とは知りながらも、ポリーヌは幸福に酔う。
しかし幸せの狭間で、惚れ薬で彼の心を縛っているのだと罪悪感を抱くポリーヌ。
悩んだ末に、惚れ薬の効果を打ち消す薬をもらうことを決意するが……。
※小説家になろうにも掲載しています
初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました
山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。
だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。
なろうにも投稿しています。
拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様
オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる