4 / 12
姉と妹
しおりを挟む
「いらっしゃ~い」
妹は相変わらずヨレヨレの白衣でやってきた。
「あなた!なんて格好で」
相変わらずの格好だけど、ここは王宮だ。実家でも研究室でもない。
クリスティ―ヌは王子の婚約者だというのに。
「お妃教育は真面目にやってるんだから息抜きに好きな格好くらいさせてほしいってば。
夜会やお茶会ではちゃんとしてるわよ。お姉ちゃんだから許してもらえたわ」
肌も髪も磨かれてきれいになっているのに、無造作にくくっている。大口を開けて笑う。
全くこの子は。
「殿下はどこが良かったのかしら」
「知らないわよ。でも、私だったら毎日飽きないだろうって言ってたわ」
「それまでちゃんとした令嬢ばかり見てらっしゃったから、眼が肥えてしまわれたのかもしれないわね。」
「まあ私も飽きないからいいけど。で、お姉ちゃんはどうなの?私のせいで望まない婚約をしたんなら、お父さんも本家の年寄りたちも私から言ってあげようか?
……って、大丈夫みたいね」
「何も言ってないわよ」
「顔を見たらわかるよ。
リッキー家のアラン様なら、真面目な騎士様って有名だし、女性関係もキレイでしょ。変な噂を聞かないもん」
「恋人はいたのかしら」
妹は笑い出した
「笑うことないじゃない」
「だって、アラン様と同じことを気にしているから」
「会ったの?」
「殿下と騎士団に挨拶に行ったのよ。そうしたらアラン様がチラチラ見ているから殿下が呼んだの。私も挨拶したかったからちょうど良かったわ」
「そう、そうね、そういう機会もあるだろうとは思っていたけれど」
扇でパタパタと顔を扇ぐのを妹がニヤニヤして見てくる。
「なんて仰ってたの」
「なーにーがー?」
「……!だから、アラン様が!」
「ふふっ、あのね
私のせいで急な結婚を姉に強いてしまって、申し訳ないって言ったの。アラン様、青くなってたわ」
「なんでそんな失礼なことを言うのよ」
妹はこういう人間だった。殿下、本当にこの子でいいのですか。才女と言われているけれど中身は子供ですよ。
「とても真剣な顔で、お姉ちゃんに恋人や想い人は居なかったのかって聞いてきたわ。
」
アラン様が
「政略結婚っぽくないわね」
「やめて。茶化さないで」
姉は自己評価が低い。
だから結婚相手は姉のことを大切にしてくれる人じゃないと困ると思っていた。
アラン様なら、悪くないわ。真面目だし。
そう思っていたけれど、頬を染める姉は可愛かった。
悪くないどころか、恋をする姉が見れるなんて思ってもいなかった。アラン様感謝します。
妹は相変わらずヨレヨレの白衣でやってきた。
「あなた!なんて格好で」
相変わらずの格好だけど、ここは王宮だ。実家でも研究室でもない。
クリスティ―ヌは王子の婚約者だというのに。
「お妃教育は真面目にやってるんだから息抜きに好きな格好くらいさせてほしいってば。
夜会やお茶会ではちゃんとしてるわよ。お姉ちゃんだから許してもらえたわ」
肌も髪も磨かれてきれいになっているのに、無造作にくくっている。大口を開けて笑う。
全くこの子は。
「殿下はどこが良かったのかしら」
「知らないわよ。でも、私だったら毎日飽きないだろうって言ってたわ」
「それまでちゃんとした令嬢ばかり見てらっしゃったから、眼が肥えてしまわれたのかもしれないわね。」
「まあ私も飽きないからいいけど。で、お姉ちゃんはどうなの?私のせいで望まない婚約をしたんなら、お父さんも本家の年寄りたちも私から言ってあげようか?
……って、大丈夫みたいね」
「何も言ってないわよ」
「顔を見たらわかるよ。
リッキー家のアラン様なら、真面目な騎士様って有名だし、女性関係もキレイでしょ。変な噂を聞かないもん」
「恋人はいたのかしら」
妹は笑い出した
「笑うことないじゃない」
「だって、アラン様と同じことを気にしているから」
「会ったの?」
「殿下と騎士団に挨拶に行ったのよ。そうしたらアラン様がチラチラ見ているから殿下が呼んだの。私も挨拶したかったからちょうど良かったわ」
「そう、そうね、そういう機会もあるだろうとは思っていたけれど」
扇でパタパタと顔を扇ぐのを妹がニヤニヤして見てくる。
「なんて仰ってたの」
「なーにーがー?」
「……!だから、アラン様が!」
「ふふっ、あのね
私のせいで急な結婚を姉に強いてしまって、申し訳ないって言ったの。アラン様、青くなってたわ」
「なんでそんな失礼なことを言うのよ」
妹はこういう人間だった。殿下、本当にこの子でいいのですか。才女と言われているけれど中身は子供ですよ。
「とても真剣な顔で、お姉ちゃんに恋人や想い人は居なかったのかって聞いてきたわ。
」
アラン様が
「政略結婚っぽくないわね」
「やめて。茶化さないで」
姉は自己評価が低い。
だから結婚相手は姉のことを大切にしてくれる人じゃないと困ると思っていた。
アラン様なら、悪くないわ。真面目だし。
そう思っていたけれど、頬を染める姉は可愛かった。
悪くないどころか、恋をする姉が見れるなんて思ってもいなかった。アラン様感謝します。
62
お気に入りに追加
196
あなたにおすすめの小説
あなたに嘘を一つ、つきました
小蝶
恋愛
ユカリナは夫ディランと政略結婚して5年がたつ。まだまだ戦乱の世にあるこの国の騎士である夫は、今日も戦地で命をかけて戦っているはずだった。彼が戦地に赴いて3年。まだ戦争は終わっていないが、勝利と言う戦況が見えてきたと噂される頃、夫は帰って来た。隣に可愛らしい女性をつれて。そして私には何も告げぬまま、3日後には結婚式を挙げた。第2夫人となったシェリーを寵愛する夫。だから、私は愛するあなたに嘘を一つ、つきました…
最後の方にしか主人公目線がない迷作となりました。読みづらかったらご指摘ください。今さらどうにもなりませんが、努力します(`・ω・́)ゞ
夫が愛人を離れに囲っているようなので、私も念願の猫様をお迎えいたします
葉柚
恋愛
ユフィリア・マーマレード伯爵令嬢は、婚約者であるルードヴィッヒ・コンフィチュール辺境伯と無事に結婚式を挙げ、コンフィチュール伯爵夫人となったはずであった。
しかし、ユフィリアの夫となったルードヴィッヒはユフィリアと結婚する前から離れの屋敷に愛人を住まわせていたことが使用人たちの口から知らされた。
ルードヴィッヒはユフィリアには目もくれず、離れの屋敷で毎日過ごすばかり。結婚したというのにユフィリアはルードヴィッヒと簡単な挨拶は交わしてもちゃんとした言葉を交わすことはなかった。
ユフィリアは決意するのであった。
ルードヴィッヒが愛人を離れに囲うなら、自分は前々からお迎えしたかった猫様を自室に迎えて愛でると。
だが、ユフィリアの決意をルードヴィッヒに伝えると思いもよらぬ事態に……。
【完結】お荷物王女は婚約解消を願う
miniko
恋愛
王家の瞳と呼ばれる色を持たずに生まれて来た王女アンジェリーナは、一部の貴族から『お荷物王女』と蔑まれる存在だった。
それがエスカレートするのを危惧した国王は、アンジェリーナの後ろ楯を強くする為、彼女の従兄弟でもある筆頭公爵家次男との婚約を整える。
アンジェリーナは八歳年上の優しい婚約者が大好きだった。
今は妹扱いでも、自分が大人になれば年の差も気にならなくなり、少しづつ愛情が育つ事もあるだろうと思っていた。
だが、彼女はある日聞いてしまう。
「お役御免になる迄は、しっかりアンジーを守る」と言う彼の宣言を。
───そうか、彼は私を守る為に、一時的に婚約者になってくれただけなのね。
それなら出来るだけ早く、彼を解放してあげなくちゃ・・・・・・。
そして二人は盛大にすれ違って行くのだった。
※設定ユルユルですが、笑って許してくださると嬉しいです。
※感想欄、ネタバレ配慮しておりません。ご了承ください。
女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜
流雲青人
恋愛
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。
偶然にも居合わせてしまったのだ。
学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。
そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。
「君を女性として見ることが出来ない」
幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。
その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。
「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」
大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。
そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。
※
ゆるふわ設定です。
完結しました。
次は絶対に幸せになって見せます!
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢マリアは、熾烈な王妃争いを勝ち抜き、大好きな王太子、ヒューゴと結婚したものの、結婚後6年間、一度も会いに来てはくれなかった。孤独に胸が張り裂けそうになるマリア。
“もしもう一度人生をやり直すことが出来たら、今度は私だけを愛してくれる人と結ばれたい…”
そう願いながら眠りについたのだった。
翌日、目が覚めると懐かしい侯爵家の自分の部屋が目に飛び込んできた。どうやら14歳のデビュータントの日に戻った様だ。
もう二度とあんな孤独で寂しい思いをしない様に、絶対にヒューゴ様には近づかない。そして、素敵な殿方を見つけて、今度こそ幸せになる!
そう決意したマリアだったが、なぜかヒューゴに気に入られてしまい…
恋愛に不器用な男女のすれ違い?ラブストーリーです。
私はどうしようもない凡才なので、天才の妹に婚約者の王太子を譲ることにしました
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
フレイザー公爵家の長女フローラは、自ら婚約者のウィリアム王太子に婚約解消を申し入れた。幼馴染でもあるウィリアム王太子は自分の事を嫌い、妹のエレノアの方が婚約者に相応しいと社交界で言いふらしていたからだ。寝食を忘れ、血の滲むほどの努力を重ねても、天才の妹に何一つ敵わないフローラは絶望していたのだ。一日でも早く他国に逃げ出したかったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる