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姉と妹

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「いらっしゃ~い」

妹は相変わらずヨレヨレの白衣でやってきた。

「あなた!なんて格好で」
相変わらずの格好だけど、ここは王宮だ。実家でも研究室でもない。
クリスティ―ヌは王子の婚約者だというのに。
「お妃教育は真面目にやってるんだから息抜きに好きな格好くらいさせてほしいってば。
夜会やお茶会ではちゃんとしてるわよ。お姉ちゃんだから許してもらえたわ」

肌も髪も磨かれてきれいになっているのに、無造作にくくっている。大口を開けて笑う。
全くこの子は。

「殿下はどこが良かったのかしら」

「知らないわよ。でも、私だったら毎日飽きないだろうって言ってたわ」
「それまでちゃんとした令嬢ばかり見てらっしゃったから、眼が肥えてしまわれたのかもしれないわね。」

「まあ私も飽きないからいいけど。で、お姉ちゃんはどうなの?私のせいで望まない婚約をしたんなら、お父さんも本家の年寄りたちも私から言ってあげようか?

……って、大丈夫みたいね」

「何も言ってないわよ」
「顔を見たらわかるよ。
リッキー家のアラン様なら、真面目な騎士様って有名だし、女性関係もキレイでしょ。変な噂を聞かないもん」

「恋人はいたのかしら」

妹は笑い出した

「笑うことないじゃない」
「だって、アラン様と同じことを気にしているから」


「会ったの?」

「殿下と騎士団に挨拶に行ったのよ。そうしたらアラン様がチラチラ見ているから殿下が呼んだの。私も挨拶したかったからちょうど良かったわ」

「そう、そうね、そういう機会もあるだろうとは思っていたけれど」

扇でパタパタと顔を扇ぐのを妹がニヤニヤして見てくる。

「なんて仰ってたの」

「なーにーがー?」

「……!だから、アラン様が!」

「ふふっ、あのね

私のせいで急な結婚を姉に強いてしまって、申し訳ないって言ったの。アラン様、青くなってたわ」

「なんでそんな失礼なことを言うのよ」

妹はこういう人間だった。殿下、本当にこの子でいいのですか。才女と言われているけれど中身は子供ですよ。

「とても真剣な顔で、お姉ちゃんに恋人や想い人は居なかったのかって聞いてきたわ。


アラン様が

「政略結婚っぽくないわね」

「やめて。茶化さないで」

姉は自己評価が低い。
だから結婚相手は姉のことを大切にしてくれる人じゃないと困ると思っていた。

アラン様なら、悪くないわ。真面目だし。
そう思っていたけれど、頬を染める姉は可愛かった。
悪くないどころか、恋をする姉が見れるなんて思ってもいなかった。アラン様感謝します。




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